グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

伊豆大島ジオパークパンフレット外周編(最終回)

2012年10月18日 | 火山・ジオパーク
外周編パンフレットについての最終回です。
今回は、様々な「変更部分」についてです。

まず、地層大切断面の年代についてですが、今まで約1万5000年分の地層、と言われてきたものは、実は約2万年分の地層と言った方が、より正確だということになりました。

「伊豆大島火山地質図」の作者、川辺禎久氏によると、年代が測られているのは1万5000年前の厚いスコリア層までだけれど、実際にはそれよりもっと古い地層まで見えていて、噴火の周期から計算すると「約2万年前」ということなのだそうです。

最下部のあたりには、海底に誕生した大島火山がだんだん成長し、海面に出て水と接触する激しい噴火をしていた時代に積もった層も見られるようです。

その層は「噴火で降り積もったスコリア層と違って粒の大きさが揃っておらず、岩片も多く、おそらく水面からそう遠くない場所で噴火していた時に積もったもの」のようです。

なるほど、地層は語るんですね~。(これに関して詳しい情報を知りたい方は、以下までメールをいただければ、資料をお送りします。gon-kana @amber.plala.or.jp)

しかし1万5000年分と覚えていたものを、2万年に切り替える時には少し戸惑いました。火山の時間で考えたら5000年はわずかでしょうが、人間の時間で考えると結構膨大ですよね。

さて、次に筆島です。

ここには最初「筆のような形から“書き初め”にちなんで何か新しいことを始める時に訪れる場所と言われている」という説明を入れていました。

以前大島を取材した本で読んだり、島に住む高校生が書いた文章で読んで「面白いなぁ。」と思っていたのです。でも念のため、樋口氏や数人の地元の人に確認したら、みなさん「聞いたことが無い」とのことでした。

どうやら、最近、一部の人の間で言い伝えられるようになったものだったようです。で、その部分はカットし「昔から神の宿る場所として崇められて来た。」という文章に落ち着きました。

次に筆島をどう説明するかを議論しました。専門的には「古い火山の火道を埋めていた凝灰角礫岩」という表現になるようなのですが「火道」も「凝灰角礫岩」も使わずに、どう一行で表現するか…?

「古い筆島火山の固い中心部」「マグマの通り道」「地上を目指す途中で固まったマグマ」などなど、様々な表現をみんなで考え、結局「古い火山の中心部にあった硬い岩が、周りを波に削られて尖った形になりました」という文章に落ち着きました。

ふうっ…。
(大なり小なり、各項目こんな感じでした・笑)

ところで今回の外周編に伴って、1年前のパンフレットを「三原山編」として、一部内容を書き換えました。


書き直したのは、主に最終ページ「ジオパークってなんでしょうか?」の部分です。
1年前の文章は…

なんだか、理屈っぽい…。

1年前は「ジオパーク」という「言葉」を読み手に「理解してもらおう」としていたのですね。
(まあ、それが普通のパンフレットなのかもしれませんが・笑)

で、一部の人と議論しながら、つくり直したのがこの文章です。

1年間「火山」を肌で感じながら島を歩くうちに、いつも伊豆大島を通して「地球」を見ているのでは?と思うようになりました。

噴火も、島独特の強い風も、


岩を削る波も


雨も、


美しい夕焼けも、


小さな生き物たちの生命も、


人の暮らしも、

みんな地球の物語の一つのように感じるのです。

「ジオパーク」という言葉を正確に理解してもらうことよりも、パンフレットを見て大島を歩いた人が「あ、この感覚、少しわかる」と共感してくれる方が、ずっと良いような気がしています。

みなさんは、どう思われますか~?

(カナ)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする