グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

コケリンドウの謎

2015年07月03日 | 植物
3~6月、少し開けた日の当たる場所で、小さな水色の花を楽しませてくれるコケリンドウ。

しゃがみ込んで見なければ観察できない小ささですが、元気に花を開いている姿が可愛くて、大好きな花です。

今年の5月中旬、ツアーで三原山の周辺を歩いていた時に、足元のコケリンドウが普段と様子が違うことに気づきました。

花は全て閉じ、代わりに実が2つに割れて開いていました。
「おお~!これは!!」

・・・なぜ私が「!」と思ったかと言うと「コケリンドウのタネは水に運ばれて広がる」と本で読んでいたからです。目の前の風景は、まさに「カップ型の実が開いてタネが雨水で運ばれる現場」かと思ったのです。

この時はツアー中だったので「いつかゆっくり観察に来よう」と思っていました。
そして6月上旬・・・雨が降ったので、嶋田を誘ってコケリンドウ群生地へ。

5月に見たときと同じ状態で、開いている実がたくさんありました。

「中にタネがいっぱい入って水に浮いている図」を想像して、ワクワクしながらのぞきこんだところ・・・

あら・・・

黒いタネだと思った物は、溶岩のかけら・・・
そして、もう一つはスッカラカン!

この状態のものをいくつも調べましたが、タネの入っているものはありませんでした。

むしろ、開きかけの実の方が・・・

タネが入っていました。

・・・考えてみれば、雨を溜めるには開きすぎるより、カップ型の状態の方が良いのかも。
カパ~っと開いている実は、既にタネを流した後なのですね・・・。

突然、嶋田が「あ、蟻がいる」と言ってしゃがみ込みました。

「え?蟻??」

本当だ!


蟻がウロウロしています。

そして驚いたことに・・・

タネを持って、運びだしていました!

巣に運んで食べるのでしょうか?

植物の中には、タネの周りに蟻の好物の甘い物質をつけて蟻に運んでもらい、蟻がそれをなめ終わって捨てると、そこで芽を出す・・・という戦略をとるものもいるようです。

でもコケリンドウのタネには見たところ、そんな物質はついていなさそうです。
では蟻は、タネを食べるのでしょうか?・・・蟻って肉食じゃなかったでしたっけ?

もっともキノコを食べる蟻もいるようだから、食べものがあまり豊富ではない(であろう)活発な火山のもとで暮らす蟻が、植物のタネを食べるようになってもおかしくはないかも???

翌日、再び嶋田と一緒に「晴れている時の状態」を観察に行きました。
水色の花が開き・・・


ガバ~っと開いていた実は、そのままの姿でひからびていました。


翌々日、今度は1人でまたまた山へ。
雨が降り始める・・・予定でした(笑)

カップ型の開きかけの実の中に、タネが入っているのを確認し・・・・・・

雨粒がこの中に入ってあふれるのを待ちました。

が・・・待っているとなかなか本降りにならないんですよね~(笑)

雨粒がポツポツと溶岩に当たりますが、あっという間に乾いてしまいます。

「はあ~、雨粒でタネがあふれるようになるって結構大変なんだなぁ。なかなかうまく入らないなぁ~」・・・ということで、観察1時間ぐらいであっさり挫折しました。

タネは雨水でどこまで運ばれるんでしょう?
蟻はいったい何だったのでしょう?

足元の小さな植物ひとつとっても、わからないことばかりです~!

・・・来年また雨の日に、時間ができたら観察に行ってきます。

(カナ)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする