昨日は午前中に「秋川流域ジオパーク構想」のガイドさんに案内していただき、フィールドを回りました。
長い長い年月をかけて海底にたまった砂や泥が、シマシマの模様を作っている渓谷の風景。
本当はシマシマを近くで観察する予定だったようですが、雪で滑るため、遠くから観察することになりました。
ガイドさんの少々専門的な地質の説明に、一緒に参加していたJGC委員の目代さんから「もっと目の前の景色を説明した方が良いですよ」とアドバイスがありました。
「なんで川の両側の崖の傾斜が違うのかとか、なんで片側にだけ人が住んでいるのかとか…」
なるほど確かに言われてみれば、川の片側は急な崖で家はなく、なだらかな側に家が集中しています。何でなんだろ??
不思議でたまらなくなって、理由を聞いてみました。
目代さんの回答を要約すると「“日当たり”が一番大きな理由だろうけれど、水の流れとシマシマの地層の角度との関係で崩れやすさに差が出る」とのこと。今まで考えたことのなかった視点に「へ~!」っと思いました!!
ガイドさんは交代で、説明をしてくれます。
渓谷を流れる美しい水に「ここで死にたい」と言い切るガイドさんに「地元愛」を感じてウレシクなりました。
町中の橋には歴史があって…
この橋だけでも、人とジオの物語を見つけられそうだし…
吉祥寺というお寺の中では…
住職さんに「13仏を回るハイキングコースがある」と教えてもらい、何かジオ物語が見つかりそうな予感が…。
「歩いてみたいなぁ…」と思いました。
そして、開かれた斜面に作られている墓地に、驚きました。
石垣と墓石だけで植物が植えられていないので、整然として見えます。
眺めが良くて明るくて、中に眠る人も明るい気分になれそうなお墓だなぁ、と思いました。
…しかし…なんでこの地域は、お墓に草木を植えなかったのでしょう?
石垣の石は、渓谷の石でしょうか??疑問はつきません…。
そして私が一番印象深かったのが、3月1日の神事の話。
「夜中に男衆がフンドシひとつで川に行き、水で体を清めた後、川縁にあるチャートという固い石をたたいて火を起こす。6人が3回ずつたたくが、誰も火をつけられないともう一度体を清め、再挑戦する」…という儀式があるそうで、その儀式を体験した人がいかに寒いかをリアルに語ってくれました。
面白かったです。
でも、ここでひとつの疑問が…「チャートはどうしてそんなに硬くなったのか?」
以前室戸ジオパークの専門員で、今は別のお仕事をしている地質専門家の柴田さんもこのツアーに参加していたので「なぜ固いんですか?」と聞いてみました。「放散虫という石英でできた固い殻を持つプランクトンの死骸でできているから」なのだそうですが、そのプランクトンは海の中に、それほどたくさんは居ないのだそうです。
では、それほど多くはないプランクトンの死骸でできた石が、この辺りにいっぱいあるのはなぜでしょう?
柴田さんの説明によると「陸の近くには砂や泥がたまるから、数が少ないプランクトンはその中に紛れてしまう。陸から離れていても珊瑚礁などの浅い海では、サンゴの死骸などに紛れてしまう。外洋の深い海には他のものがたまらないので、放散虫の死骸がたまってゆっくり時間をかけてチャートができる」のだそう。この説明、すごくわかりやすかったです。
この説明を聞いて初めて、深い深い真っ暗な海の底に、プランクトンの死骸がゆっくりゆっくり溜まって岩になり、それがプレートに乗って運ばれて、長い長い長~い旅をしてここまでやって来たという「物語」が頭に浮かびました。
そうやって最も固い石になった「チャート」を、人間が火打ち石として寒さに震えながら神事に使っているなんて…面白すぎます!(今まで何度聞いても覚えられなかった自分とは関係のない遠い存在だったチャートを、初めて身近に感じました)
海に囲まれた若い火山島の伊豆大島と対照的な、4億年近く前からの大地の歴史や人との関わりを探していける秋川流域。同じ東京都なのに全然違う角度から地球の物語を語れる場所…秋川流域の皆さんに頑張って地域の宝物をいっぱい探してもらいたいです。
ぜひぜひ、頑張ってください~。
(カナ)
長い長い年月をかけて海底にたまった砂や泥が、シマシマの模様を作っている渓谷の風景。
本当はシマシマを近くで観察する予定だったようですが、雪で滑るため、遠くから観察することになりました。
ガイドさんの少々専門的な地質の説明に、一緒に参加していたJGC委員の目代さんから「もっと目の前の景色を説明した方が良いですよ」とアドバイスがありました。
「なんで川の両側の崖の傾斜が違うのかとか、なんで片側にだけ人が住んでいるのかとか…」
なるほど確かに言われてみれば、川の片側は急な崖で家はなく、なだらかな側に家が集中しています。何でなんだろ??
不思議でたまらなくなって、理由を聞いてみました。
目代さんの回答を要約すると「“日当たり”が一番大きな理由だろうけれど、水の流れとシマシマの地層の角度との関係で崩れやすさに差が出る」とのこと。今まで考えたことのなかった視点に「へ~!」っと思いました!!
ガイドさんは交代で、説明をしてくれます。
渓谷を流れる美しい水に「ここで死にたい」と言い切るガイドさんに「地元愛」を感じてウレシクなりました。
町中の橋には歴史があって…
この橋だけでも、人とジオの物語を見つけられそうだし…
吉祥寺というお寺の中では…
住職さんに「13仏を回るハイキングコースがある」と教えてもらい、何かジオ物語が見つかりそうな予感が…。
「歩いてみたいなぁ…」と思いました。
そして、開かれた斜面に作られている墓地に、驚きました。
石垣と墓石だけで植物が植えられていないので、整然として見えます。
眺めが良くて明るくて、中に眠る人も明るい気分になれそうなお墓だなぁ、と思いました。
…しかし…なんでこの地域は、お墓に草木を植えなかったのでしょう?
石垣の石は、渓谷の石でしょうか??疑問はつきません…。
そして私が一番印象深かったのが、3月1日の神事の話。
「夜中に男衆がフンドシひとつで川に行き、水で体を清めた後、川縁にあるチャートという固い石をたたいて火を起こす。6人が3回ずつたたくが、誰も火をつけられないともう一度体を清め、再挑戦する」…という儀式があるそうで、その儀式を体験した人がいかに寒いかをリアルに語ってくれました。
面白かったです。
でも、ここでひとつの疑問が…「チャートはどうしてそんなに硬くなったのか?」
以前室戸ジオパークの専門員で、今は別のお仕事をしている地質専門家の柴田さんもこのツアーに参加していたので「なぜ固いんですか?」と聞いてみました。「放散虫という石英でできた固い殻を持つプランクトンの死骸でできているから」なのだそうですが、そのプランクトンは海の中に、それほどたくさんは居ないのだそうです。
では、それほど多くはないプランクトンの死骸でできた石が、この辺りにいっぱいあるのはなぜでしょう?
柴田さんの説明によると「陸の近くには砂や泥がたまるから、数が少ないプランクトンはその中に紛れてしまう。陸から離れていても珊瑚礁などの浅い海では、サンゴの死骸などに紛れてしまう。外洋の深い海には他のものがたまらないので、放散虫の死骸がたまってゆっくり時間をかけてチャートができる」のだそう。この説明、すごくわかりやすかったです。
この説明を聞いて初めて、深い深い真っ暗な海の底に、プランクトンの死骸がゆっくりゆっくり溜まって岩になり、それがプレートに乗って運ばれて、長い長い長~い旅をしてここまでやって来たという「物語」が頭に浮かびました。
そうやって最も固い石になった「チャート」を、人間が火打ち石として寒さに震えながら神事に使っているなんて…面白すぎます!(今まで何度聞いても覚えられなかった自分とは関係のない遠い存在だったチャートを、初めて身近に感じました)
海に囲まれた若い火山島の伊豆大島と対照的な、4億年近く前からの大地の歴史や人との関わりを探していける秋川流域。同じ東京都なのに全然違う角度から地球の物語を語れる場所…秋川流域の皆さんに頑張って地域の宝物をいっぱい探してもらいたいです。
ぜひぜひ、頑張ってください~。
(カナ)