グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

地面の下の変化

2016年01月03日 | 植物
年末に、何も植物の生えていないように見える場所で土の匂いを嗅いでから、ずっと「土って何?」の思いにとりつかれていました。

で、友人と一緒に行って来ました。
1986年の噴火で流れ出た「LB2」と呼ばれる溶岩の周辺へ!

ここは今も黒々とした溶岩が、あまり植物が生えない状態で残っている場所です。

こんなに荒涼とした所なのに…

蜘蛛の糸が、足首ぐらいの高さの石と石の間に、張り巡らされていました。

何も生き物の気配が感じられない場所なのに、いったい何を取るために糸を張るのでしょう?

ところでこの辺りには、植物が全く生えていない場所と、ハチジョウイタドリやススキが点在している場所とがあります。

こちらが全く生えていない場所。

微妙な地形の関係で、風が当たってタネが定着できないのでしょうか?
なぜ所々に、こういう草が生えない場所ができるのか、未だにわかりません。

ほんの少しだけ表面の小石をどけて、中を観察させてもらいました。
(もちろん観察後は、しっかり元にもどしました~)

ここの地面の中は、噴火で積もった黒い穴だらけの岩くず(スコリア)だけ。

タネも根っこも混ざっていませんでした。(でもかすかに、土の香りがしました)

草地が点在する場所では…


タネや根が混ざり、しっかり『土』の匂いがしました。

でも見た感じは『土』というより『岩くず』でした。

草原に低木が点在する場所では…


黒い穴だらけの岩くずは、ますます細かく砕かれサラサラになっていました。

もちろん、土そのものの匂いでした。

低木林の枯れ葉の下は…


サラサラから『シットリした土』に変化していました!


そして噴火後230数年間、順調に植物たちが森を作ってきたと思われる暗い森。


湿度が充分あるためか、地面には苔が生え…


枯れ葉の下の土は湿っているだけでなく、丸いツブツブになっていました!

「ミミズなどの土壌生物が枯れ葉や土を食べて粒子を作り、それがフカフカの栄養に富む土を作る」と言われていますが、こういうことなのでね。

丸い粒の芯には小さな『岩くず』が入っていました。大島のミミズは、枯れ葉と共に岩くずも一緒に食べて糞として出しているのかも?(痛そうですが…(^_^;)

ところで、1cmの土壌ができるためには100年~1000年の歳月が必要なのでそうです。そしてスプーン1杯の土壌には、億を超える微生物が存在するのだそう。(みなみかつゆき著『18cmの奇跡」より)
 
火山が噴火してマグマのしぶきが地上に降り積もって大地ができ、風に乗って植物のタネが飛んで来る。風や雨や太陽の熱や植物の根で、冷え固まったマグマのしぶきが細かく砕かれて土ができる。するとますます植物が増え、ミミズがやって来てよい土を作る…。

実は地面の下にこういう変化があって初めて、陸の風景も変化して行くのですね。
地面の下の出来事と陸の風景が、これほどシッカリ関わり合っているとは認識していませんでした。

地球ってスゴイです。
面白すぎます!

…あれ?
しかし…

待ってください…

伊豆大島には、噴火をしていない時期に風で運ばれて積もった「レス」とも呼ばれる細かい粒子の層があり、それが2013年の土砂災害にも関係したと言われています。

確かに大島の地層には、黒い火山灰などの間に、明るい茶色の粘土っぽい層が挟まれています。

この粘土っぽい層は、どこに行ってしまったのでしょうか??
なんだか、わからなくなってきました~(^_^;

ああ…調べてみたら、またまた疑問が増えました。
いつも、このパターンが多いです(^_^;

いつかシッカリ『土』のことを学びたいです。

(カナ)









コメント
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