グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

海辺の花園・再生プロジェクト

2019年03月05日 | 火山・ジオパーク
表題の、環境省とジオパーク推進委員会の連携プロジェクトに参加しました。

「大島の海岸線を鮮やかに彩っていた花々がだんだん少なくなっている」という複数の島民からの声を受けて、実施に至ったとのこと。

参加しての感想を、簡単にまとめてみたいと思います。

プログラム1・講演会
上條 隆志 氏
(筑波大学大学院生命環境科学研究科教授)



お話の内容は以下の通り。


「大陸に比べ島の生物は絶滅しやすい」というデータは驚きでした!

鳥類は4倍、爬虫類は20倍も多くの種が絶滅しているようです(°_°)

「なぜ生物多様性を守るのか?」のトピックについて上條先生は…

「生き物は今わかっていなくても、将来、抗がん剤の発見など人の役に立つ可能性も秘めている。絶滅したらそれでなくなってしまうので、多様性の維持が大切だと思っている」と語られていました。

長谷川雅美 氏
(東邦大学理学部生物学科地理生態学研究室教授)
ご自分で歩き、海岸植物を調査・観察した結果をもとに、大島の海浜植物の魅力についての紹介がありました。


海浜植物群落が、波や植生の遷移や草刈りの影響を受けている…というお話とともに…

調査し草刈りの仕方を考えることで、花を増やせるのではないか?という提案がありました。

そして今日の午前中が…
“プログラム2:現地植生調査・保全管理実習
”でした!

島の北西部にあるサンセットパームラインに集合し、上條先生から海浜植物についての説明を受けます。


今回の調査・保全目的の植物は“ハマカンゾウ”というオレンジ色のユリの花です。

(2015年6月願法撮影)

こちらは今日のハマカンゾウの若葉です。

枯れたススキの間に育っていました。
柔らかく、ちょっとダメージに弱い雰囲気?です。

踏みつけないように、注意してしゃがみ、観察します。

「とにかく見て、歩き、想像して考える、
観察することが生態を知る上で大切です」by上條先生。

みんなでススキや笹を切り、ハマカンゾウに光が当たるように作業しました。


お世話が終わった場所は、ハマカンゾウの葉の緑が目立つようになりました😀


手入れをしていないのに笹もススキも少なく、ハマカンゾウが元気に生えている場所がありました。

昨年(一昨年だったかも?)の台風で潮を被り、植物が枯れた場所とのこと。

近くには、その時海から打ち上がったと言われる大きな石が転がっていました。

海辺で生きる植物って大変ですね〜^^;

草刈りはもう一箇所、“赤ハゲ”でも行いました。


笹やススキに覆われていた斜面を、ハマカンゾウに光が当たるように手入れして、楽しそうな柳場です😀

ここに一面、オレンジ色の花が咲いてくれたら良いのですけれど…。

手つかずの自然が魅力の三原山周辺と違い、人が暮らす地域の、道路周辺に生きる植物たち。
人が適正な管理をすれば見事な花を咲かせ、島らしい風景を多くの人に楽しんでもらえるでしょう。

でも“適正”って難しい…今回の草刈りがハマカンゾウたちにどんな影響を及ぼすのか?
風の影響を受けやすくなることや、キョン(小型の鹿)にとって食べやすい状況になること等、色々気になることもあります。

花いっぱいの火山島の風景を夢見つつ、関心を持って観察を続けたいと思います😀

(かな)
コメント
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