今日は真冬が戻ってきたような冷たい風が吹いている伊豆大島です。
今日は小さな森の住人をご紹介します。
アカネズミです(いや、この絵はハムスターだろ…。)
いきなり話は脇道に逸れますが、伊豆大島からは4種類のネズミ類の記録があります。
このアカネズミと、ハツカネズミ、都会でお馴染みのドブネズミとクマネズミ。
しかしアカネズミ以外の3種は貨物に紛れて侵入したりしてきた外来種であるとされています。特にクマネズミは密航の達人(達ネズミ?)で日本各地の離島で増えており、小笠原などでは物凄い密度で生息して在来野生動植物に多大な影響を与えているとされています。
ネズミといえばどんぐりや胡桃をカリカリ齧っているイメージをお持ちの方が多いので(え?チーズ?)あまり知られていませんが、クマネズミは野鳥の卵や雛も大好物ですし、農作物にも相当被害が出ているようです。そしてそれは小笠原だけの話でもなく、世界中でこうした問題が起こっています。
…しかし、どうしたわけかこんなに本州に近くて毎日船も発着しているこの伊豆大島ではクマネズミもドブネズミもハツカネズミも滅多に見かけません。
過去、いろいろな調査隊が残した記録を見ても、ドブ、クマともに過去数頭しか捕れていないようです。住民の方から「某ホテルには昔から大きいネズミがいる」などと聞いた事がありますが、私は一度ハツカネズミを確認しただけで、ドブとクマはこの島でまだ見たことがありません。
世界中どこの島でもクマネズミには手を焼いていると言うのに、ナゼなのでしょう?
伊豆諸島のほかの島ではどうなのか、とても気になります。
さて、本題のアカネズミですが、伊豆大島での生息密度はやや高いようです。(許可を得て捕獲していた方の手ごたえによると(^▽^;))厳密な調査はされていないようですが、海岸沿いから山の上まで幅広い環境に居るようです。普通、アカネズミは本州では森林に住むネズミですが、伊豆大島では草原を好むハタネズミなどが居ないせいか民家付近から森の中まで多様な環境に進出しているようです。
しかし夜行性で小さいため滅多に人目に触れることはありません。なので島に住んでいる方でもアカネズミを見たことがある方はあまりいらっしゃらないようです。
ところでこの伊豆大島のアカネズミ、ただのアカネズミではないんです。
「オオシマアカネズミ」という名前で呼ぶ研究者も居ます。
ことの発端は1938年、とある博士が伊豆大島のアカネズミを研究し、伊豆大島のものは体色が濃く、体が大きく、後ろ足が長いとし、さらに頭骨や脊椎骨数にも違いがあるとして新亜種「オウシマアカネズミ」として発表したことでした。
ところが、1969年、別の研究グループが異論を発表。
アカネズミは北海道から九州までとその周辺の離島に生息している日本固有種ですが、上記の特徴は佐渡、隠岐、対馬、屋久島などの「島のアカネズミ」にも見られる共通の特徴であることを根拠に、亜種ではなく、「島嶼型」のようなものであるとしました。
現在、同じ伊豆諸島の三宅島の別亜種「ミヤケアカネズミ」や、全国各地の離島に7亜種ほどが提唱されていますが、1969年の説を受けたのかすべて1種とする説が有力のようです。しかし研究者によっては全て亜種でもなく別種だとする方もいるようです。
ごく最近の研究者の方がこれらのDNA分析を試みられているようですが、やはり遺伝的にすこしだけ違うようです。
これから研究が進めば別亜種、あるいは別種になるかもしれない、そんな知られざる住人はこの伊豆大島の森で、今夜もひっそりとどんぐりを食べているのでしょうね。
(あまの)
今日は小さな森の住人をご紹介します。
アカネズミです(いや、この絵はハムスターだろ…。)
いきなり話は脇道に逸れますが、伊豆大島からは4種類のネズミ類の記録があります。
このアカネズミと、ハツカネズミ、都会でお馴染みのドブネズミとクマネズミ。
しかしアカネズミ以外の3種は貨物に紛れて侵入したりしてきた外来種であるとされています。特にクマネズミは密航の達人(達ネズミ?)で日本各地の離島で増えており、小笠原などでは物凄い密度で生息して在来野生動植物に多大な影響を与えているとされています。
ネズミといえばどんぐりや胡桃をカリカリ齧っているイメージをお持ちの方が多いので(え?チーズ?)あまり知られていませんが、クマネズミは野鳥の卵や雛も大好物ですし、農作物にも相当被害が出ているようです。そしてそれは小笠原だけの話でもなく、世界中でこうした問題が起こっています。
…しかし、どうしたわけかこんなに本州に近くて毎日船も発着しているこの伊豆大島ではクマネズミもドブネズミもハツカネズミも滅多に見かけません。
過去、いろいろな調査隊が残した記録を見ても、ドブ、クマともに過去数頭しか捕れていないようです。住民の方から「某ホテルには昔から大きいネズミがいる」などと聞いた事がありますが、私は一度ハツカネズミを確認しただけで、ドブとクマはこの島でまだ見たことがありません。
世界中どこの島でもクマネズミには手を焼いていると言うのに、ナゼなのでしょう?
伊豆諸島のほかの島ではどうなのか、とても気になります。
さて、本題のアカネズミですが、伊豆大島での生息密度はやや高いようです。(許可を得て捕獲していた方の手ごたえによると(^▽^;))厳密な調査はされていないようですが、海岸沿いから山の上まで幅広い環境に居るようです。普通、アカネズミは本州では森林に住むネズミですが、伊豆大島では草原を好むハタネズミなどが居ないせいか民家付近から森の中まで多様な環境に進出しているようです。
しかし夜行性で小さいため滅多に人目に触れることはありません。なので島に住んでいる方でもアカネズミを見たことがある方はあまりいらっしゃらないようです。
ところでこの伊豆大島のアカネズミ、ただのアカネズミではないんです。
「オオシマアカネズミ」という名前で呼ぶ研究者も居ます。
ことの発端は1938年、とある博士が伊豆大島のアカネズミを研究し、伊豆大島のものは体色が濃く、体が大きく、後ろ足が長いとし、さらに頭骨や脊椎骨数にも違いがあるとして新亜種「オウシマアカネズミ」として発表したことでした。
ところが、1969年、別の研究グループが異論を発表。
アカネズミは北海道から九州までとその周辺の離島に生息している日本固有種ですが、上記の特徴は佐渡、隠岐、対馬、屋久島などの「島のアカネズミ」にも見られる共通の特徴であることを根拠に、亜種ではなく、「島嶼型」のようなものであるとしました。
現在、同じ伊豆諸島の三宅島の別亜種「ミヤケアカネズミ」や、全国各地の離島に7亜種ほどが提唱されていますが、1969年の説を受けたのかすべて1種とする説が有力のようです。しかし研究者によっては全て亜種でもなく別種だとする方もいるようです。
ごく最近の研究者の方がこれらのDNA分析を試みられているようですが、やはり遺伝的にすこしだけ違うようです。
これから研究が進めば別亜種、あるいは別種になるかもしれない、そんな知られざる住人はこの伊豆大島の森で、今夜もひっそりとどんぐりを食べているのでしょうね。
(あまの)
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