浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

『河北新報』コラム

2017-06-16 21:39:35 | その他
「政府の答弁しどろもどろ 更(あらた)めてやり直し」「法律に暗い大臣が属僚(官僚)の答弁するところまで口を差し入れた結果がこの矛盾」。きのう成立した改正組織犯罪処罰法の審議中、金田勝年法相が演じた失態の話ではない。が、そっくりだ

▼1925(大正14)年、旧帝国議会で成立した治安維持法の審議を報じた河北新報の記事。旧ソビエト連邦建国で革命波及を恐れた政府が、天皇制国家の変革を企てる「無政府主義、共産主義」「危険極まる社会運動や宣伝」を取り締まるのを目的にした

▼現代風に言えばテロを企てる結社と加入者、実行の相談や宣伝、資金提供をする者を摘発し罰する。「対象の定義が曖昧」「国民の思想を支配するのは誤り」「労働組合も含まれかねない」「武断政治家に乱用されないか」。反対論も当時の審議で相次いだ

▼改正組織犯罪処罰法は「テロ等準備罪」と銘打たれるが、実行行為がなくても人を取り締まれる強権という点で治安維持法以来か。国会や世論の批判も92年前と重なる

▼与党の強行採決後、菅義偉官房長官は「恣意(しい)的運用はされない」と語った。が、治安維持法は、その後の権力者が戦争、国家総動員のため都合良く改正し、異を唱える者への弾圧の道具とした。「怪物」のよみがえりはご免である。(2017.6.16) 
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『琉球新報』社説

2017-06-16 21:37:24 | その他

<社説>「共謀罪」法成立 民主主義の破壊許さず

2017年6月16日 06:01

 数の力を借りた議会制民主主義の破壊は許されない。

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法が参院本会議で成立した。自民、公明両党が参院法務委員会での審議を省略する「中間報告」と呼ばれる手続きで採決を強行し、与党と日本維新の会などの賛成多数で可決した。

 この法律は監視社会を招き、憲法が保障する「内心の自由」を侵害する。捜査機関の権限を大幅に拡大し、表現の自由、集会・結社の自由に重大な影響を及ぼす。

 衆院は十分な論議もなく法案を強行採決した。「良識の府」であるはずの参院も20時間足らずの審議で同様の暴挙を繰り返したことに強く抗議する。法案の成立は認められない。もはや国民に信を問うしかない。

 中間報告は国会法が定める手続きだが、共謀罪法は熟議が必要であり、一方的に質疑を打ち切るのは国会軽視である。学校法人「加計学園」問題の追及を避けるためだとしたら本末転倒だ。

 政府は共謀罪法の必要性をテロ対策強化と説明し、罪名を「テロ等準備罪」に変更した。テロ対策を掲げて世論の賛同を得ようとしたが、同法なくしては批准できないとする国際組織犯罪防止条約(TOC条約)は、テロ対策を目的としていない。

 TOC条約の「立法ガイド」を執筆した米国の大学教授は「条約はテロ対策が目的ではない」と明言している。政府が強調する根拠は崩れている。

 日本政府は共謀罪法を巡り、国連人権理事会のプライバシーの権利に関する特別報告者からも「プライバシーや表現の自由を制約する恐れがある」と指摘されている。だが、理事国である日本政府は国際社会の懸念に対して真剣に向き合っていない。

 共謀罪法は日本の刑法体系を大きく転換し、犯罪を計画した疑いがあれば捜査できるようになる。政府は当初「組織的犯罪集団」のみが対象であり一般人には関係がないと強調してきた。しかし参院で「組織的犯罪集団と関わりがある周辺者が処罰されることもあり得る」と答弁した。周辺者を入れれば一般人を含めて対象は拡大する。

 さらに人権団体、環境団体であっても当局の判断によって捜査の対象になると言い出した。辺野古新基地建設や原発再稼働、憲法改正に反対する市民団体などが日常的に監視される可能性がある。

 かつてナチス・ドイツは国会で全権委任法を成立させ、当時最も民主的と言われたワイマール憲法を葬った。戦前戦中に監視社会を招いた治安維持法も、議会制民主主義の下で成立した。

 共謀罪法は論議すればするほどほころびが出ていた。強行採決によって幕引きしたのは「言論の府」の責任放棄である。過去の過ちを繰り返した先にある独裁政治を許してはならない。
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『西日本新聞』社説

2017-06-16 21:35:20 | その他

「共謀罪」法成立 憲政史上に汚点残す暴挙

2017年06月16日 10時47分



 市民社会を脅かしかねない法律が十分な審議を経ないまま、奇策に類する手段によって成立した。これを暴挙と言わずに何と言うのか。議会制民主主義の放棄、国民無視も甚だしい。自民、公明の与党は憲政史上、取り返しのつかない汚点を残したといえよう。

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法がきのう、参院本会議で与党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。与党は「中間報告」という手続きで参院法務委員会の採決を省き、本会議の採決を強行した。

 ●「禁じ手」の中間報告

 国会は委員会の審議と採決を経て本会議に議案を付すのが原則だ。委員会が専門的に審議し、論点を深めるのが狙いである。例外として国会法は、衆参各院が特に必要とするときは委員長らに審議の中間報告を求め、それを受ける形で本会議の審議を認めている。

 臓器移植法やその改正法で、ほとんどの党が死生観に関わるとして党議拘束を外したため、本会議で議員個々の判断に任せようと中間報告をしたのが代表例だ。

 今回は特別の事情などない。与党は改正処罰法を成立させて国会を早く閉じたいだけだ。文部科学省の再調査で「総理のご意向」文書が確認され、安倍晋三首相が矢面に立つ学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題で野党の追及を避けたかったのだろう。

 公明党が重視する東京都議選の告示も23日に迫っており、18日に会期末を迎える今国会は延長せず閉じるに越したことはない。いわば「禁じ手」の中間報告による採決強行は、首相と与党の事情を優先した結果である。

 衆参両院で単独過半数を占める巨大与党の「自民1強」に支えられ、首相の在任日数が戦後3位(第1次政権を含む)になった長期政権だからこそ成し得た強権的な政治ともいえるだろう。

 今回の「共謀罪」法成立が、いわば1強政治の頂点となるのか、それとも、首相が悲願とする憲法改正へつながる潮流となるかは、なお予断を許さない。

 政府は「東京五輪に備えたテロ対策」「組織犯罪防止の国際条約締結のため」と主張した。テロ対策や国際条約と言えば国民の理解が得やすいと考えたのだろう。

 対象犯罪は277もあり、テロと無関係と思われる森林法や商標法などを含む。条約はマフィアなどの経済犯罪防止が目的で、現行法で締結可能との指摘もある。

 結局、政府から明解な説明はなかった。いくら「テロ対策」と力説したところで改正法は実質的に国民や野党の反発を浴びて過去3回も廃案になった共謀罪の焼き直しにすぎなかったことを物語る。

 多くの人は「テロや組織犯罪とは無関係な市民に影響はない」と考えるだろう。だが金田勝年法相らは「一般の団体が組織的犯罪集団に一変した場合に構成員は一般の方々でなくなる」と答弁した。

 一般の団体がいつ組織的犯罪集団に変わるか、捜査当局の市民監視は強化されるだろう。しかも組織的犯罪集団の定義は明確でない。法相は「組織的犯罪集団の構成員でないと、犯罪が成立しないわけではない」とも語った。捜査対象は当局の恣意(しい)的判断でいくらでも拡大する。

 ●権力の暴走を許さず

 安倍政権は、国民の知る権利を侵害しかねない特定秘密保護法、憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法に続いて、市民社会を萎縮させかねない今回の改正法も強引に押し通した。野党の反対、国民の不安、専門家の懸念を「数の力」で一蹴する政治手法は共通する。

 しかし、このまま市民が縮こまってしまってはいけない。国家権力や捜査当局がどんなことをしようとしているのか、逆に私たち市民は監視していく必要がある。

 2003年の鹿児島県議選で公選法違反に問われた12人全員の無罪が確定した志布志事件、16年の参院選で大分県警別府署員が野党の支援団体が入る建物の敷地に隠しカメラを設置した事件など不正捜査や冤罪(えんざい)事件は後を絶たない。

 国家権力や捜査当局の暴走を許してはならない。憲法の国民主権、平和主義、基本的人権の三大原理をよりどころに、物言う市民であり続けたい。また私たちは、そんな市民を支え、守るメディアであり続けたいと思う。


=2017/06/16付 西日本新聞朝刊=
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『高知新聞』社説

2017-06-16 21:32:43 | その他

【「共謀罪」法成立】民主主義壊す「安倍1強」


 安倍政権によって「言論の府」が踏みにじられる光景を、これまで何度見せられたことだろう。

 今また「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案の採決を参院本会議で強行、成立させたことで繰り返された。しかも参院法務委員会での採決を省き、本会議採決に持ち込む「中間報告」という奇手を使った。

 中間報告は国会法で「特に必要があるとき」に認められている。しかし今回、委員会審議を打ち切るだけのどんな「必要」があったのか。

 「野党は同じ質問を繰り返すだけ」と与党は批判する。だがそれは、国民が納得できるだけの答弁がなされていないことの裏返しでもある。まるで理由にならない。

 学校法人「加計(かけ)学園」問題の追及を避けるため、早期に成立させ国会を閉じたい。そんな思惑も指摘されている。事実なら実に手前勝手と言うほかない。

 採決の強行は特定秘密保護法や安全保障関連法でも行われた。世論がどれほど割れていようと「審議時間の積み上げ」を理由に、最後は与党が「数の力」で押し切る。異論や反論に真摯(しんし)に耳を傾けることもない。問題点を指摘するメディアには、どう喝めいた振る舞いさえ見せる。

 安倍政権の強権体質への懸念は自民党内にも散見されるが、大きな声となって執行部と対峙(たいじ)することはない。党内に多様な意見を抱え、バランス機能も働いた往時からは程遠い姿だ。

 むろん多数決は民主主義のルールである。そうではあっても立法府には少数意見を尊重し、行政府の行き過ぎにブレーキをかける役割があるはずだ。現状では立法府は行政府のチェックどころか、「追認」「下請け」機関となっている。政権が推し進めていることとは、民主主義を壊すことにほかならない。

 「組織的犯罪集団」はテロ組織や暴力団だけでなく、労働組合など一般の団体も対象となるのではないか。謀議の有無を内偵するため市民監視の手段が拡大され、合法化されはしないか。

 こうした不安に対し政府、与党は「一般市民が処罰されることはない」と、拡大解釈や乱用を否定する。だが、それを担保する仕組みはない。「口約束」だけでどうして安心できるだろう。

 仮にテロ対策であったとしても、プライバシー侵害などに目を光らせる仕組みは必要となってくる。専門家は捜査機関による監視の件数や概要を国会に報告するよう義務付けたり、政府から独立した組織が点検したりすることを提案している。

 実際に共謀罪と同じような法律を整備している国では、検証可能な歯止め策を設けている。組織犯罪処罰法にも最低限、そうした仕組みが入らない限り容認できない。

 安倍1強政権の下、国会で繰り広げられている光景から目をそらしてはならない。民主主義、立憲主義を損なう行為に異議申し立てを続けること。今ほどそれが求められている時はない。
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『中日新聞』社説

2017-06-16 21:30:14 | その他

「私」への侵入を恐れる 「共謀罪」法が成立



 「共謀罪」が与党の数の力で成立した。日本の刑事法の原則が覆る。まるで人の心の中を取り締まるようだ。「私」の領域への「公」の侵入を恐れる。


 心の中で犯罪を考える-。これは倫理的にはよくない。不道徳である。でも何を考えても自由である。大金を盗んでやりたい。殴ってやりたい-。


 もちろん空想の世界で殺人犯であろうと大泥棒であろうと、罪に問われることはありえない。それは誰がどんな空想をしているか、わからないから。空想を他人に話しても、犯罪行為が存在しないから処罰するのは不可能である。

犯罪の「行為」がないと


 心の中で犯罪を考えただけでは処罰されないのは、根本的な人権である「思想・良心の自由」からもいえる。何といっても行為が必要であり、そこには罪を犯す意思が潜んでいなければならない。刑法三八条にはこう定めている。


 <罪を犯す意思がない行為は、罰しない>


 そして、刑罰法規では犯罪となる内容や、その刑罰も明示しておかねばならない。刑事法のルールである。では、どんな「行為」まで含むのであろうか。


 例えばこんなケースがある。暴力団の組長が「目配せ」をした。組員はそれが「拳銃を持て」というサインだとわかった。同じ目の動きでも「まばたき」はたんなる生理現象にすぎないが、「目配せ」は「拳銃を持て」という意思の伝達行為である。


 目の動きが「行為」にあたるわけだ。実際にあった事件で最高裁でも有罪になっている。「黙示の共謀」とも呼ばれている。ただ、この場合は拳銃所持という「既遂」の犯罪行為である。


 そもそも日本では「既遂」が基本で「未遂」は例外。犯罪の着手前にあたる「予備」はさらに例外になる。もっと前段階の「共謀」は例外中の例外である。

市民活動が萎縮する


 だから「共謀罪」は刑事法の原則を変えるのだ。


 「共謀(計画)」と「準備行為」で逮捕できるということは、何の事件も起きていないという意味である。つまり「既遂」にあたる行為がないのだ。今までの事件のイメージはまるで変わる。


 金田勝年法相は「保安林でキノコを採ったらテロ組織の資金に想定される」との趣旨を述べた。キノコ採りは盗みと同時に共謀罪の準備行為となりうる。こんな共謀罪の対象犯罪は実に二百七十七もある。全国の警察が共謀罪を武器にして誰かを、どの団体かをマークして捜査をし始めると、果たしてブレーキは利くのだろうか。暴走し始めないだろうか。


 身に覚えのないことで警察に呼ばれたり、家宅捜索を受けたり、事情聴取を受けたり…。そのような不審な出来事が起きはしないだろうか。冤罪(えんざい)が起きはしないだろうか。そんな社会になってしまわないか。それを危ぶむ。何しろ犯罪の実行行為がないのだから…。


 準備行為の判断基準については、金田法相はこうも述べた。


 「花見であればビールや弁当を持っているのに対し、(犯行場所の)下見であれば地図や双眼鏡、メモ帳などを持っているという外形的事情がありうる」


 スマートフォンの機能には地図もカメラのズームもメモ帳もある。つまりは取り調べで「内心の自由」に踏み込むしかないのだ。警察の恣意(しい)的判断がいくらでも入り込むということだ。


 だから、反政府活動も判断次第でテロの準備行為とみなされる余地が出てくる。市民活動の萎縮を招くだろう。こんな法律を強引に成立させたのだ。廃止を求めるが、乱用をチェックするために運用状況を政府・警察は逐一、国民に報告すべきである。


 ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン氏が共同通信と会見し、米国家安全保障局(NSA)が極秘の情報監視システムを日本側に供与していたと証言した。これは日本政府が個人のメールや通話などの大量監視を可能にする状態にあることを指摘するものだ。「共謀罪」についても「個人情報の大規模収集を公認することになる」と警鐘を鳴らした。「日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる」とも。


 大量監視の始まりなら、憲法の保障する通信の秘密の壁は打ち破られ、「私」の領域に「公」が侵入してくることを意味する。

異変は気づかぬうちに?


 そうなると、変化が起きる。プライバシーを握られた「私」は、「公」の支配を受ける関係になるのである。監視社会とは国家による国民支配の方法なのだ。おそらく国民には日常生活に異変は感じられないかもしれない。だが気付かぬうちに、個人の自由は着実に侵食されていく恐れはある。





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『信濃毎日新聞社』の社説

2017-06-16 21:28:21 | その他

共謀罪法成立 民主主義の土台が崩れる


 議会制民主主義を破壊しかねないやり方で共謀罪法が成立した。参院法務委員会での審議を与党が一方的に打ち切り、本会議での採決に持ち込んだ。

 加計学園問題での追及を避けるため、会期は延長しない。共謀罪法案は何としても成立させる―。政権の意向に従い、「中間報告」という奇策で委員会採決を省く強硬手段に出た。

 国会議員は、主権者である国民を代表する。数の力に頼んで反対意見を封じる姿勢は、立法府の存在意義を根本から損ない、国民をないがしろにするものだ。



   情報統制と監視強化

 どう洗い出したのかはっきりしない277もの犯罪について、計画に合意しただけで処罰を可能にする。実行行為を罰する刑法の基本原則を覆し、刑罰の枠組みそのものを押し広げる。

 内心の自由や表現の自由を脅かし、民主主義の土台を揺るがす立法だ。個人の尊厳と人権を重んじる憲法と相いれない。

 戦時下、思想・言論を弾圧した治安維持法に通じる危うさをはらんでいる。政治権力によって異論や抵抗が抑え込まれていく、息苦しい社会を再び招き寄せないか。懸念が膨らむ。

 政府が持つ広範な情報を隠し、漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法、固有の番号で個人情報を管理するマイナンバー制度…。情報を管理・統制し、監視を強化する法整備が安倍晋三政権の下で次々と進められてきた。

 改定された通信傍受法は、対象犯罪を拡大し、捜査機関への縛りを大幅に緩めた。憲法が「通信の秘密」を保障しているにもかかわらず、電話などの傍受(盗聴)が市民の活動や生活に広く及びかねない状況になっている。

 そして共謀罪によって、監視国家化は一段と進むだろう。



   弾圧が強まる怖さ

 まだ起きていない犯罪を取り締まるには、「危険」とみなした組織や個人の動向を常日頃からつかんでおくことが欠かせない。通信傍受のほか、室内に盗聴器を置く「会話傍受」の導入を求める動きが強まりそうだ。

 ひそかに市民の情報を収集して思想信条を調べる、協力者を送り込んで組織の内情を探る、といった公安警察的な活動を正当化する根拠にもなる。その実態を把握する仕組みはない。

 公安警察による人権侵害はこれまでも度々表面化してきた。2010年には、イスラム教徒を広範に監視していたことを示す内部資料が流出している。

 岐阜では14年、風力発電施設の建設に反対する住民らの情報を集め、事業者と対応を協議していたことが明るみに出た。警察庁は国会で「通常の業務の一環」と答弁している。住民を見張ることが警察の仕事なのか。

 市民運動を敵視するような警察の姿勢も目につく。沖縄では、米軍基地反対運動のリーダーが器物損壊などの疑いで逮捕、起訴され、5カ月も勾留された。現場で抗議行動に参加する人たちの強制排除も繰り返されている。

 共謀罪は、市民運動へのさらに厳しい弾圧につながりかねない。適用対象の「組織的犯罪集団」とは何か。何をもって合意したと判断するのか。核心部分はぼやけ、裁量の余地は広い。警察権限が歯止めなく拡大する恐れがある。

 誰か1人でも「準備行為」をすれば、合意した全員を一網打尽にできる。何が準備行為にあたるのかも曖昧だ。資金・物品の手配や下見を例示しているが、日常の行為とどう見分けるのか。

 基地建設を阻もうと座り込みを計画した人たちが、組織的な威力業務妨害の共謀罪で一掃されることさえ起こり得る。原発再稼働や公共事業への抗議を含め、政府の方針に反対する人たちが標的にされる心配がある。



   廃止を見据えつつ

 密告を促す規定も人を疑心暗鬼にさせるだろう。目をつけられないようにしようと人々が縮こまり、口をつぐめば、民主主義は窒息してしまう。

 共謀罪法案は2000年代に3度、廃案になっている。政府は今回、「東京五輪に向けたテロ対策」を前面に出したが、法案にその実体はない。五輪、テロという“錦の御旗”の陰で、国民を監視下に置く体制の強化が進む。

 テロを防ぐためなら仕方ない、と思い込んで、監視が強まっていくことへの警戒を怠れば、権力の暴走は止められなくなる。プライバシーの不当な侵害は、個の尊厳を脅かす。

 共謀罪が民主主義と両立しないことは明らかだ。廃止を見据えつつ、人権侵害や市民運動の弾圧につながらないよう、運用に目を光らせることが欠かせない。

 安倍首相は、9条に自衛隊を明記することを含め、20年までに改憲を目指すと表明した。権力の強化は憲法を空洞化するとともに、改憲に結びついている。政権の動きに厳しい目を注いでいかなければならない。

(6月16日)
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『東奥日報』の社説

2017-06-16 21:26:04 | その他
2017年6月16日(金)
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「1強」のおごり極まった/「共謀罪」法成立


 犯罪の計画を罰する共謀罪の構成要件を取り込み「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が15日の参院本会議で可決、成立した。政府は国民の不安や疑問に十分説明を尽くそうとはせず、与党は衆院通過を強行したのに続いて、参院では「中間報告」という異例の手続きを取り、法務委員会採決を省略して本会議採決を強行した。

 中間報告の根拠は国会法にあり「特に必要があるとき」に認められるが、審議の打ち切りで議会制民主主義の否定につながる異例の手法とされる。加計学園問題を巡る野党の追及を逃れようと、国会を閉じることを最優先したようにも見える。国会の議論や国民の声をないがしろにする暴挙だ。安倍晋三首相の下で増長する「1強」のおごりはここに極まったといえよう。

 犯罪が実行されて初めて罰するという刑事法の原則の大転換である。277の罪で共謀・計画が処罰の対象となり「内心」の領域を探るため警察は団体や個人に対する監視を一層強めることになる。

 社会の隅々に監視が及び、プライバシーが脅かされ、言論・表現の自由が後退するようなことがあってはならない。あらゆる団体や個人が連携し、市民の手で恣意(しい)的な運用や捜査権限の膨張に歯止めをかけていくしかない。

 改正法には、テロ組織や暴力団などの「組織的犯罪集団」の構成員らが重大な犯罪を計画し、資金を用意したり下見をしたりする「実行準備行為」に取り掛かれば処罰するとある。当初、これをもって政府は適用の対象が限定され、準備行為がないと処罰されないから「一般人が対象になることはない」と強調した。

 ところが審議が進むにつれ、正当な活動をしている団体が犯罪集団に一変することもあるとした上で「嫌疑があれば、もはや一般人ではない」とも説明。構成員ではない「周辺者」が処罰される可能性にまで言及した。犯罪集団と正当な団体、構成員と一般人という線引きはあいまいになり、誰が何をすれば罪に問われるか、分かりにくい。

 さらに、電話やメールの内容をチェックする通信傍受の対象犯罪拡大や新たな捜査手法の導入の検討が加速することにもなるだろう。民主主義の根幹を成す自由に物を言える権利を奪われないために何をすべきか、何ができるか-を市民がそれぞれの立場で、じっくり考える必要がある。
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『北海道新聞』の社説

2017-06-16 21:23:47 | その他
口つぐむ国民にはならぬ

06/16 09:00


 安倍晋三首相がかつて繰り返した「戦後レジーム(体制)からの脱却」とは、詰まるところ「戦前回帰」だった。そうした思いが募るばかりだ。

 4年半前の政権復帰以来の道のりをあらためてたどってみたい。

 まず、特定秘密保護法で国民の目と耳に覆いを掛けた。情報を遮断した上で整備したのが、違憲の疑いが強い安全保障法制である。

 そして、今度は、口封じの「共謀罪」法だ。

 正式には、「共謀罪」の構成要件を変えて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法と言うべきなのかもしれない。

 しかし、その内実は国民の内心の自由を脅かし、発言や行動を萎縮させる法律にほかならない。

 だからこそ、私たちは廃案を訴え続けてきた。ところが与党は、疑問点を解消しないばかりか、委員会採決という手続きをすっ飛ばす「中間報告」という奇手まで繰り出し、押し切った。

 極めて異常である。

 憲法の理念に沿わない法律は廃止するべきだ。

 同時に国民は、法の運用に監視の目を光らせ、言論統制につながる動きにはしっかりと「ノー」を突きつけなければならない。

 法案審議を通じて目立ったのは、金田勝年法相の不安定な答弁ぶりである。もちろん、資質もあろうが、法自体が不安定だから、答弁も揺れたのではないか。

 たとえば、一般人が捜査対象になるか否かの問題だ。

 特定秘密保護法や安保法制をめぐっては、多くの市民団体が反対の声を上げた。危機感を持った若者たちの自発的な行動は、大きなうねりとなった。

 「共謀罪」によって、そうした動きにブレーキをかける。そんな思惑すら透けて見える。

 事実、金田氏は「環境保護や人権保護を隠れみのとし、実態は重大犯罪を実行する団体と認められる場合は処罰される」と述べた。

 「隠れみの」かどうかを判断するのは捜査機関だ。一般人が捜査対象にはならないとは言えまい。

 政府は裁判所があるから恣意(しい)的な適用はできないとも強調するが、実際は捜査機関が請求した逮捕状の却下はわずかだ。一般人が逮捕されれば、後に嫌疑なしとされてもダメージは大きい。

 基地反対運動に絡み、器物損壊容疑などで逮捕された沖縄平和運動センター議長の山城博治さんは、約5カ月も勾留された。

 「共謀罪」がなくてもこうなのである。政府に盾を突く行動に出れば捕まる―。そんな心配が広がるのは当然ではないか。

 政府が「テロ等準備罪」と宣伝してきた今回の法律の条文にはもともと「テロ」の文字がなかった。与野党の批判を受け、あわてて「テロ」を追加した。

 つまりは、政府の「印象操作」の産物である。

 ましてや、国会は数の力ばかりが横行する目を覆う惨状だ。

 そうであれば、問われるのは私たちのこれからの行動である。

 物言わぬ国民にはならない。
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地方財政を食い物にする加計学園

2017-06-16 21:20:53 | その他
 こういう記事を読まないと・・・

https://dot.asahi.com/wa/2017032600017.html

http://buzzap.jp/news/20170616-choshi-kake/


 加計学園、今度は今治市を破綻させようとしている。
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醜悪

2017-06-16 21:12:56 | その他
 このような醜悪な実態が明らかにされているのに、それでも逃げ切れると思っているのだろうか。日本は、何という醜悪な内閣をもっているのか、情けなくなる。

http://lite-ra.com/2017/06/post-3250.html
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なりふり構わないお友だちへの利益誘導と政治の私物化を強行し、意のままにならないものへは徹底した攻撃と排除を加える。

2017-06-16 08:44:03 | その他
 まさに恐怖政治。

http://lite-ra.com/2017/06/post-3248.html
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「共謀罪」はテロを招く

2017-06-16 08:07:54 | その他
 テロはどのような条件下で起きるか。人々の政治的意思が、民主的な制度の存在を介して政治権力へとつながって、その意思が少しでも反映される可能性があるとき、テロは起きない。

 テロは、民主的な制度がなく、あるいは機能せず、警察権力が強大で、人々の思想の自由や表現の自由が常に抑圧されているという状況のもとで起きるのである、

 1910年の大逆事件。被告人となった人々のうち、数人が明治天皇を暗殺することを話し合ったことがあり、また実際に爆弾らしきものを製造したが、多くの被告人は全くの冤罪であったことは確認されている。

 なぜそういう企図が生じたのか。内田魯庵は、こう記している。

「一体警視庁を政府の爪牙(そうが=主君のために手足となって働く者)とするは封建の遺習である。憲法既に布かれて議会開かれ、人民が立法府に参する權利ある立憲国では政治探偵といふものは全く不必要である。警視庁が人民の保護よりは政府の保護を重しとし、其費用と労力の過半を国事探偵に割くは専制の遺風である。政府の施設に反対するは国家を危うする所以に非ず、政府の政策と異なる意見を主張するは朝憲を紊乱する所以に非ず。然るに時の政府に利あらざる言議を立つるものを直ちに国賊視して之を恐れ之を嫌ひ、注意人物の称を与へて以て警視庁の監視に付し、或は密偵を放ち或は刑事を尾行せしめて其一挙手一投足をも報告せしめて警戒するは寒心すべきことである」(『自筆本 魯庵随筆』湖北社、1979年)

 また弁護にあたった今村力三郎弁護士も、

「不当なる警察権の行使が古今未曾有の大逆事件を醸したる動機の一たること」(「芻言(すうげん)」)

 と指摘している。

 また石川啄木も、「A LETTER FOM PRISON」において、クロポトキンの言説を引いている。

 「一切の暴力を否認する無政府主義の中に往々にしてテロリズムの発生するのは何故であるかといふ問ひに対して、クロポトキンは大要左の如く答へてゐるさうである。曰く、「熱誠、勇敢な人士は唯言葉のみで満足せず、必ず言語を行為に翻訳しようとする。言語と行為との間には殆ど区別がなくなる。されば暴政抑圧を以て人民に臨み、毫も省みる所なき者に対しては、単に言語を以てその耳を打つのみに満足されなくなることがある。ましてその言語の使用までも禁ぜられるやうな場合には、行為を以て言語に代へようとする人々の出て来るのは、実に止むを得ないのである。」云々。」

 テロは、人権や民主主義に対して強権的な国家権力の抑圧がおこなわれるところで発生するのである。

 今、反民主主義的な小選挙区制により民意を反映させない政治が行われ、「共謀罪」をもうけて人々の自由を抑圧し、あるいは窒息させようとしている。その抑圧が強ければ強いほど、テロを誘発するのである。

 「テロ対策」などという政府の主張がいかに空しいか。

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