浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「大きいもの」には逆らうな

2017-06-14 08:41:37 | その他
 『東京新聞』配信記事。これからは、「大日本帝国」の時代のように、「大きなもの」(政治権力、大企業、団体・・・)にはさからうな、という時代に入るようだ。日本国民は、結果的にそういう選択をしているということなのか。歴史は、一斉に警告を発しているのに。


「共謀罪」の「歯止め」答弁 次々変わる 一般人対象外→処罰あり得る

2017年6月14日 07時05分

 「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案について、与党幹部は十三日午後の参院法務委員会での採決に言及したが、野党から金田勝年法相の問責決議案が出てこの日の審議は打ち切りとなった。与党側は参院での審議時間が二十時間に達することを採決の理由にしようとしているが、政府は国会の最終盤になって当初の答弁を次々と変えている。 (山田祐一郎)

 「共謀罪とは別物」「一般人は対象にならない」といった「歯止め」の根拠は、審議の中で逆に曖昧になってきている。

 法案は約三十時間の審議を経て五月二十三日に衆院を通過した。衆院では通過後も法案に対する質疑があり、今月二日には計画内容の具体性について、法務省の林真琴刑事局長が「犯行の日時、役割の詳細まで定まっている必要はない」とこれまでとは異なる答弁をした。

 四月時点で林氏は、計画した日時や場所、方法などについて「できる限り特定する必要がある」と説明し、逮捕や起訴のハードルが過去の法案よりも高いことを強調。計画内容も「指揮命令や分担なども含めて合意が必要」と述べていた。計画内容の詳細は不要とする二日の答弁は、捜査機関が計画と判断できる範囲が限定されず、計画に基づく準備行為の範囲も広がることを意味する。

 「犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定したので一般人は処罰対象にならない」としていた点も今月に入って説明が変わった。一日の参院法務委で金田勝年法相は「組織的犯罪集団と関わりがある周辺者が処罰されることもあり得る」と答弁を一転。林氏も「構成員以外を一般人というのなら、一般人が計画に参画することはあり得る」と認めた。

 十三日の参院法務委で、民進党の福山哲郎氏がこの点を厳しく追及した。金田氏は「全体の中で同じことを言っている。限定したという説明に訂正はない」と答弁。林氏も「衆院から同じように説明してきた」と述べたが、福山氏は「国民をだまそうとしているのではないか」と政府の姿勢を批判した。

 「組織的犯罪集団はテロリズム集団のほか暴力団、麻薬密売組織などに限られる」との説明も金田氏が八日に参院法務委で「限定されない」と翻した。五月二十九日の参院本会議で「対外的に環境保護や人権保護を標榜(ひょうぼう)していたとしても、それが隠れみのであれば処罰されうる」と初めて言及。隠れみのかどうかを判断するのは捜査機関であり、処罰対象に限定がないことがあらためて浮き彫りとなった。

(東京新聞)
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山川菊栄の本

2017-06-14 08:16:49 | その他
 最近、森まゆみが『暗い時代の人々』(亜紀書房)を出した。それを購入して、少しずつ読み進めている。「暗い時代」に生きた人々、竹久夢二、山川菊栄、斎藤隆夫、山本宣治、九津見房子、古在由重、西村伊作らをとりあげて、その生の軌跡を、森なりに描いているものだ。一冊の本にこれだけの人を描くのだから、それぞれの生の全体像を描くことはできない。だからある意味で、つまみ食いで描いている。

 昨日は山川菊栄について読んでいたところ、森が『二十世紀をあゆむ』(大和書房)、『日本婦人運動小史』(大和書房)を引用していた。この本は買ってあったと思い書庫を探したところ、二冊ともあった。前者は読んであった。ところどころ赤線が引かれていた。といっても、1978年発売の本であるから、その内容は忘れてしまっていた。

 昨夜布団の中で『二十世紀をあゆむ』を読み始めたら、なかなか面白く、現代にも通用することが書かれている。秋に向けて、女性史をひもとかなければならないので、こうしたたぐいの本は、たくさん読まなければならない。

 その本で、こういう記述にであった。

大正一〇年頃から治安維持法が政府によって出されるという噂が出ました。当時一部の人々は、そのような法律が出てもかまわぬ。そうすればますます勇敢な人が残るからといっていました。しかし私は、人間というものは、弱い者で決してそんなものではない。ごく少数の例外は残るかも知れない。しかし一般には言論の水準も低下するし、人間の進歩をはばむので、逆境に堪える覚悟は必要ですが、そんな逆境を来させるほど力がよわくてはならない。今日でも、言論の自由と結社の自由は、絶対に失ってはならないということを、過去の経験にてらして強く感じます。(20)

 治安維持法より広範囲に取り締まることができる「共謀罪」が成立させられようとしているが、日本は山川が経験した時代をもう一度繰り返すのだろうか。

 歴史から学ぶことは多いが、今は学ぼうという人が多くはないようだ。

 今日私は、大逆事件について話す。
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