浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】三浦英之『大河で水が消えた』(集英社文庫)

2020-03-13 21:51:21 | 
 私は、大井川の「河原砂漠」について書いたことがある。大井川は高低差があり、曲がりくねっていることにより、早くから水力発電に適しているとして水力発電が行われてきた。東京電力、中部電力がタダで大井川の水をつかっている。

 大井川では、ダムによってせき止められた水が発電所に運ばれ発電用のタービンを廻す、その後その水は姿を現さずに導水管によって次の水力発電所に運ばれ、そこでまた発電を行う。したがって、大井川中流域では、川の水は細い一筋となり、堤防の中は石ばかり。風が吹けば砂が飛び、当然のごとく川から生物が消えていった。そして川根茶をおいしくすると言われる川霧もなくなった。そこで川根本町の人たちは、「水返せ運動」を行った。

 それと同じことが、信濃川でも起きていた。本書に記された十日町市の水力発電ダムは、東京電力とJR東日本である。

 本書の副題は、「ルポ JR東日本・信濃川不正取水事件」である。まさにJR東日本は、長い間決められた水量をはるかに超える水を取水し発電に利用してきたのである。JR各社はどこもブラック企業であるが、東日本もひどい。そのひどさが、はっきりと書かれている。

 民間企業となって、JR各社はブラック化してしまった。

 本書は、信濃川の水を取り戻そうと尽力した人びとの動きを中心に、その動きが始まり、そしてそのなかでJR東日本の不正が明らかになり、結局JR東日本が水利権を失うところまでを丁寧な取材で明らかにした。正義感と共感力を武器に
厳しく撃つべきものを撃つ。

 私はこの本を読むまで、信濃川で大井川と同じことが起きていることを知らなかった。おそらく他でも同様の事件があるだろう。それほど日本は、地方を犠牲にして都会にエネルギーや富を集めていくのだ。

 本書の中に、「大地の尊厳」ということばを発見した、よいことばだ。もうひとつ「環境犯罪」ということばも。「大地の尊厳」を冒すことが「環境犯罪」なのである。

 一気に読んだ。三浦英之の本は、『南三陸日記』を最初に読んだのだが、その内容に魅せられてしまった。『五色の虹』も注文した。

 読む価値あり。正義感と共感力、それが原動力となって事実に肉迫していく、その取材力、それをもとにして書かれたものは読者のこころを掴むのだ。

 今三浦英之は、朝日新聞福島総局にいる。

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2020-03-13 21:06:37 | 政治
崩壊の予兆 ◇安倍首相はなぜ焦るのか
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これも重要

2020-03-13 21:00:58 | 政治
日本の新型コロナ対策、ここが間違っている

韓国の新型コロナ対策、世界の手本となるか
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翻訳:How this South Korean company created coronavirus test kits in three weeks

2020-03-13 20:55:20 | 国際
 CNN記事の翻訳。いつものように意訳あり。これを訳していて、日本の技術の遅れを痛感した。経済的な指標は、すでに日本は先進国ではないが、こういう科学的・技術的なところでも他国がずっと先を走っていることを日本人は自覚すべきである。おそらく日本の検査は手動で、すごい手間をかけてやっているのだろう。新型コロナウィルスの検査について、「韓国で出来てなぜ日本では出来ないのか」、などという意見を聞くが、日本はもう韓国と技術競争ができるほど力を持っていないことを知るべきなのである。
 感染者数は韓国は多いが、しかし圧倒的な数の検査により、新型コロナウィルスの抑え込み、つまりゴールが見えてきている。日本は?

 以下、訳文である。

韓国企業はいかにして3週間でコロナウイルス検査キットを開発したか

韓国で新型コロナウイルスの症例が発見される前、韓国のバイオテクノロジー企業の1つが、病気を特定するための検査キットをつくる準備を始めていた。1月16日、分子バイオテクノロジー企業Seegeneの最高経営責任者兼創立者であるChun氏は、新型コロナウイルスに焦点を合わせる時が来たとチームに語った。これは、中国を総なめにするウイルスがCovid-19と命名される前であり、韓国が最初の感染を確認する4日前であった。
「誰も私たちに依頼してきていないとしても、私たちは分子の分析会社です。前もって準備しなければなりません」、彼がその時考えていたことを思い出して語った。
2か月後、韓国は世界で最も新型コロナウィルスの被害を受けた国の1つとなり、7800人以上が感染し、60人以上が死亡した。しかし、韓国が他の国よりも感染者数が多い理由の1つは、検査に対して積極的なアプローチをしているからだ。
一部の国では、疑わしい患者を診断するのに十分な検査キットを入手するのに苦労しているが、韓国では、医師が必要と判断した人に無料で簡単に検査を提供している。 韓国の疾病管理予防センター(KCDC)は、国内には検査できる118の施設があり、そのすべてがKCDCに結果を報告していると語る。 これまでに、230000人以上を検査した。
さらに、ドライブスルーコロナウイルスの検査施設を展開し、ドライバーは防護服を身につけた医療従事者に面会する。
「患者を早期に発見することは非常に重要です」と、韓国のパク保健相は月曜日、CNNに語った。 「韓国は開かれた社会であり、人々が動き回ったり旅行したりする自由を保護したいと考えています。だからこそ、大量の検査を実施しています。」
しかし、検査を大量に行うには、まず検査キットが必要である。

ソウルにあるSeegeneの本社地下に、新型コロナウイルス対応がうまくいった鍵がある。同社は人工知能ベースのビッグデータシステムを備えており、コロナウイルスの検査キットを迅速に開発することができた。分析キットとして知られる検査は、化学溶液のいくつかの小ビンで構成されている。患者から採取された サンプルは、特定の遺伝子が存在する場合に反応する溶液と混合される。
コンピューターがなければ、チームがそのような検査を開発するのに2〜3か月かかったはずだが、今回は数週間で完了した。
1月24日までに、科学者たちは検査キットに必要な原材料を注文していた。 4日後、それらが到着し、2月5日、検査の最初の型の準備が整った。

検査キットを設計するために、研究開発チームが手作業ではなく、スーパーコンピューターを使用したのは3回目であった。 以前は、このシステムを使用して、尿道炎の診断キットをつくった。 同社は、ウイルスについて公開された遺伝的情報のみで、新型コロナウィルスのサンプルなしで検査キットを設計することができた。そして、彼のチームが24時間体制で作業することはなく、関与した人数はごく少数であった、とChun氏は言う。

次のハードルは、検査の使用認可を得ることだった。 韓国では、必要な書類を提出して認可を得るまでに1年半かかるが、今回は1週間だった。新型コロナウィルス検査キット開発に取り組む科学者チームを率いた李氏(彼は一生を病気との闘いに費やしてきた)は、 KCDCが検査キットをそれほど速く認可するのを見たことはなかった。2月12日、Seegeneは、KCDCが認可プロセスを迅速化したおかげで、契約が締結できた(※ここの個所?)。 政府が患者のサンプルを使用して検査しそれを評価したことにより、科学者たちは自らの検査が機能したことを確信した。

2月中旬までに、韓国のコロナウイルス感染者は劇的に急増した。 2月23日、ムン・ジェイン大統領は、危機警報を最高レベルに引き上げた。「私たちは今、新しいコロナウイルスの重要な分岐点にいます。今後数日は非常に重要です」とムンはテレビで語った。 「できるだけ早く感染者を特定し、ウイルスがさらに広がるのを防ぐ必要があります。」

それに続き、Chunはすぐに決定を下した。 彼の会社の395人の従業員は、他のすべての作業をやめ、コロナウイルス検査キットの製作に専念した。 そのため50ほどのその他の製品の生産は、2週間一時的に停止した。「緊急業務とは、すべての部門を意味します。仕事を変えなければなりません」、 「すべてのチームがコロナウイルス製品の開発に集中しています。」と彼は語った。

つまり、博士号を持つ極小の分子生物学者は、組立ラインにつくために研究開発をやめなければならなかった。「時々(上級科学者は)製品の梱包を行います。彼らがどのように教育されていたとしても、狂っているからといっても関係ありません」と企業戦略のエグゼクティブディレクター、ノ氏は語った。

Seegeneは、韓国でコロナウイルス検査キットを提供する4つの国内企業の1つである。しかし、同社はまた、イタリアやドイツを含む約30カ国からの国際的な需要に直面している。イタリアやドイツの患者にSeegene製品の検査キットが使用されている、とChunは述べた。

当初、Seegeneは需要を満たすのに苦労していたが、今ではそれに対処している。同社は週に約10000個の検査キットを製作しており、それぞれのキットで100人の患者を検査できる。 そのため、検査あたり20ドル未満のコストで、毎週100万人の患者を検査できる。企業戦略担当エグゼクティブディレクターのノ氏は、この規模をもって製造するのを見たのは初めてだと語った。
同社には検査キットの在庫が3か月分あるので、注文に対して1〜2か月満たすことができる。 しかし、Chunは、同社がコロナウイルス検査キットの製作を継続することが重要であり、その必要性は金銭的な利益を超えていると述べた。
「私たちは、できるだけ早く計算して、それを提供し貢献しなければなりません。それが全世界に供給する理由です」と彼は言う。

他の国では、当局は検査の需要に追いつくのに苦労している。Chunは、考えられる説明の1つは、一部の場所が自動ではなく手動で検査している可能性があると言う。すべての検査は、看護師が綿棒をもって患者からサンプルを採取するところから始まる。 綿棒をつかって手動で検査する場合、科学者はピペットを使用してサンプルに分析資料を置く。しかし、韓国を含む多くのところでは、科学者は自動で検査を行っている。
人間が溶液を混合するのではなく、代わりにサンプルが診断器械に入れられる。器械の内部では、ロボットアームが溶液をピペットで注入し、複数の検査で液体を一度に混合する。 Chun氏によると、この方法は94人の患者のサンプルを検査するのに4時間しかかからない。これは、手動の方法よりも4倍も速い。 また、人為的ミスや汚染のリスクも低減する。

一部の国で、検査の速度が遅くなる可能性については、使用されている検査キットの種類にある。 コロナウイルスを検査できる遺伝子は3つあり、Seegeneの検査キットは、「1つの管で3つの遺伝子すべてを検査することができます」とChun氏は言った。 すべての検査キットが必ずしもそういうものではない、と。

Chunは、米国がSeegeneのシステムにアクセスできれば、週100万人の患者を検査できると考えている。 しかし、現時点では、米国は患者に対する検査をしていない。米国食品医薬品局(FDA)からの認可もない。

Chunは、海外の保健当局を支援したいと考えている。「問題は、彼らが人々を正しく検査するチャンスがないことです」と彼は言った。 「適切な診断がなければ、何が起こっているのかは誰にもわかりません。」


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BBC記事 韓国の新型コロナウィルス対応の実際

2020-03-13 10:00:57 | 政治
 BBCの英文記事を翻訳した。意訳がある。

韓国のコロナウイルス:「追跡、検査、治療」がいかに命を救うか

ソウルの病院の裏にある駐車場で、45歳のキムさんは車の窓を開けて舌を突き出す。 彼女は先週、韓国でコロナウイルスの症例が最も多い地域である大邱に旅行した。

今、彼女はひどい咳と発熱を発症している。 最悪の事態を恐れて、彼女はドライブスルーセンターの1つで新型コロナウィルスの検査を受けることにした。 白い保護服、ゴーグル、手術用フェイスマスクを身に着けた2人の人が待っている。長い綿棒を彼女の口と喉の奥に付け、慎重に長い試験管に入れる。それからいやな検査が来る。 綿棒は鼻の上まで上がった。 彼女は不快に感じたが、数分ですべてが終わった。 彼女は車の窓を閉めて運転する。 彼女は、結果が陽性であれば電話を、陰性であればテキストを受け取る。

韓国ではコロナウイルスの検査が毎日約20000件実施されており、世界のどこよりも多くなっている。キムさんのサンプルは、検査するためにスタッフが24時間働いている近くの研究室にすぐに送られる。
伝染病を封じ込める戦いでは、これらの研究室が最前線になった。 韓国はコロナウイルス検査のために、96の公的および私的研究所のネットワークをつくりあげた。

保健当局は、この方法が命を救うかもしれないと信じている。 韓国のコロナウイルスの死亡率は0.7%である。 WHOは3.4%と報告しているが、科学者は、すべての症例が報告されているわけではないため、死亡率はそれより低いと推定している。

私はソウル郊外のグリーンクロス研究所にやってきた。検査を受ける新しいサンプルが到着した。オウ博士は私を入れてくれた。「検査はこの負圧室で行われます」と彼女は私に言った。 「サンプルからの液滴が漏れることを防ぎます。」

内部では、明るい黄色の防護服を着た2人の医師が密閉された部屋を動き回っている。 彼らは多くの試験管を持ち上げて仕事をしている。私たちのそばには、数十台の器械が動き続け、検査結果を処理している。 これらはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で、サンプル中の新型コロナウィルスの存在を検索する。試験管からの検査で結果がでるまで約5〜6時間かかる。

医学財団のゲ教授は、これを韓国の「バリバリ」遺伝子と呼んでいる。 バリとは韓国語で速いという意味である。 彼は、韓国人が検査を設計および作成し、全国にラボのネットワークを構築し、17日間ですべてを機能させることができたと言う。

しかし、これは苦い経験から来たものだ。

「新しい感染のリスクとその影響は、2015年に起きた中東呼吸器症候群(Mers)の経験から学びました」と彼は言った。 Mersの流行中、韓国では36人が死亡した。

国は感染症対策を再構築することを余儀なくされた。 韓国の疾病対策センターは、最悪の事態に備えて特別な部門を設置した。 今回の新型コロナウィルスの場合、その準備が報われたようだ。

「正確な検査とそれに続く隔離を伴う患者の早期発見は、死亡率を低下させ、ウイルスの拡散を防ぐことができると思います」とカン教授は述べた。 「過去から学び、事前にシステムを準備することは、この新しい種類の災害を克服する真の力かもしれません。」

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2020-03-13 08:35:33 | 政治

“独裁者”安倍首相が「緊急事態宣言」を手にする恐怖! NHK、民放を指定公共機関にして報道統制、批判封じ込めも可能に

 安倍政権の本質をきちんと捉えず、政治の流れに身を任せるだけの政党は存在価値はない。
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