Japan was expecting a coronavirus explosion. Where is it?
ブルームバーグの記事を、JAPAN TIMES が転載した記事。
日本はコロナウィルスの暴発を期待している、という物騒なものだ。しかし内容は穏当なものだ。現状をそのまま記述しているだけだ。ただ私はそれに賛成するわけにはいかない。政府・厚労省は、当初のやり方を、みずからの無謬神話に沿って変えないからだ。検査・追跡・隔離・情報提供こそが新型コロナウィルスを制圧する最良の手段だと私は考えているが、政府・厚労省は検査を拡大するつもりはまったくないようだ。これでは長期間人々は感染を恐れて生きていかなければならないし、外国からも不安が残る以上訪問者は増えないだろう。
イギリスは、夏頃までに感染のピークを持ってくること、そのために特段の対策を取らずに、人々を集団感染させ、集団の免疫をつくることによっておさえていくという方針を明らかにしたが、しかし批判が多く、その方針を変更した。それについては、岩田健太郎氏のこの文に詳しい。
「感染症は実在しない」あとがき
日本は当初の方針を絶対に変えない、たとえ専門家が批判をしても、である。
以下訳文。
日本はコロナウイルスの被害を受けた中国以外で最初の国の1つであり、そして現在では先進国の中で最も影響を受けていない国の1つである。 それは健康の専門家にとって、謎である。
中国の過酷な隔離措置とは異なり、ヨーロッパの大部分、米国の大都市では大規模な検疫が行われ、人々に適当なところへの避難を命じているが、日本は封鎖を課していない。 学校の休校により混乱が生じているが、多くの人々の生活は通常どおり継続している。 東京のラッシュアワー電車はまだ満員で、レストランは営業している。
ぼんやり見えてくる疑問は、日本が惨事を免れたのか、それとも打撃を受けようとしているのかである。 政府は、集団感染の特定と広がりの抑制に積極的であり、そのため感染症の全体数は先進国の中で最も少ないと主張している。 批評家は、日本は7月に東京でオリンピックを開催する予定であるため、おそらく感染数を低く抑えたいから、検査を手ぬるくしていると主張する。
ウイルスに対する政府の最初の後手後手の対策、ダイアモンドプリンセスクルーズ船の取り扱い(横浜で検疫されたとき、乗船した5人に約1人が感染)、中国からの旅行を最初にブロックしないという決定、これらは「第二の武漢になる」と批判を受けた。 ウイルスを封じ込めるために講じた措置(学校の休校や大規模なイベントの中止など)は、他の国が行ったことと比較して、たいしたことがないように見える。
しかし、3月18日の時点で、日本は900を超える感染症例しかなかった(クルーズ船を除く)。 米国、フランス、ドイツはすべて7000人を超え、イタリアは36000人に近づいている。 2月下旬から確認された感染症の急増の中で積極的に検査した韓国は、約8500あったが、新しい感染者は現在漸減している。
世界で最も密集した大都市圏、東京において、感染者数は人口の0.0008%である。 日本の最悪の被害地域である北海道は、新たな感染者が減少したため、すでに緊急事態を解除している。
キングスカレッジロンドンの教授であり、かつてWHOの健康政策担当長だった渋谷けんじは、2つの可能性を想像している。日本は、集団感染に焦点を当てることで広がりを抑えているか、まだ流行が見つかっていないかである。
「どちらも理にかなっているが、私の推測では、日本は爆発を目前に控え、必然的に封じ込めからピーク時の遅延段階に移行するだろう」と彼は言った。 「検査の数は増えていますが、十分ではありません。」
日本が中国に近いことは、病気がより制御可能な段階にあるときに警報を発するのに役立ったかもしれない。 1月下旬、初めて中国に行ったことのない人が感染した直後、オフィスや店舗で手指消毒剤が用意され、マスクの販売が急増し、人々は公衆衛生を守るための基本的な措置を受け入れ始めた。 これは、国内の感染症の曲線を平坦化するのにも役立ったかもしれない。
「日本は幸運にも、新型コロナウィルスの少数の症例が国内に持ち込まれ、それらは限定された地域に集中しており、制御しやすいようです」と、アメリカのグローバルヘルスライターであるローリーギャレットは述べた。
ウイルスの感染性にもかかわらず、政府が任命した委員会による3月9日の報告書は、日本で特定された症例の約80%は感染を伝播させなかったと述べた。 しかし、ダイアモンドプリンセスの大流行に手がつけられなくなって米国の保健当局からまれな非難を出された同じ政府が、コロナウイルスにきちんと対応しているかどうかについてのコンセンサスはほとんどない。
「多くの集団感染が比較的早い段階で特定されています」と、委員は今月のレポートで述べた。 安倍晋三首相は土曜日に、日本はまだ非常事態を宣言する必要はないと言ったとき、これらの調査結果を引用した。
日本には、握手や抱擁が他の7か国のグループよりも一般的でない文化など、いくつかの利点があるかもしれない。 また、手洗いの割合はヨーロッパを上回っている。
コロナウイルスが広がると同じ程度に、季節性インフルエンザの症例は7週間連続で減少しており、これは日本人が感染症を食い止めるためにいくつかの基本的な措置を講じる必要性を心に留めていることを示している。 東京都感染症監視センターのデータによると、今年のインフルエンザの症例数は通常のレベルを大きく下回っており、また2004年に遡るデータによると、全国的な症例数も低くなっている。
日本は検査の能力を増強したが、人口が多いにも関わらず、近隣の韓国と同じように人口の約5%しか検査をしていない。 大規模に検査して病院がオーバーホールしたイタリアの状況も、中断させた。
「イタリアの死亡率は日本のほぼ3倍です」と北海道健康科学大学の感染制御の教授である塚本氏は言う。 「理由の一部は、検査を受けると隔離されるため、比較的重篤でない患者に十分なベッドがないことです。」
日本は水曜日の時点で15000人以上を検査しており、症状のない人や感染者との接触のない人の検査の点で落胆させているが、感染率は5.6%である。韓国では約3パーセントで、イタリアでは18パーセントである。 しかし、日本はまだ感染を封じ込めるために困難な戦いに直面している。
「すべての症例を特定することは本当に困難です。多くの感染症は軽度であるからです。香港やシンガポールでは積極的な症例発見によって封じ込めを行っています」、 香港大学の疫学教授であるベン・カウリング氏は述べた。 「地域における静かな伝染のために、日本の症例は徐々に増加すると思っています。」
日本の当局者は、彼らの検査計画に自信があると言う。 「検査能力をすべて使用する必要はありません。それがあるからといって、」と厚労省の佐原は火曜日の説明会で述べた。 「心配があるからという理由で、検査する必要があるとも思いません。」
日本が急増した場合、その対処は、他の多くの国々よりうまくいく可能性がある。 世界銀行のデータによると、1000人あたり約13の病院ベッドがあり、それはG7諸国の中で最も高く、イタリア、米国、英国、カナダの3倍以上の割合である。
日本がすべての感染者を数えていなくても、病院はパンク寸前にはなっていないし、肺炎の症例は急増していない、と厚労省は述べた。 首相は国境管理を強化したが、政府専門家委員会は木曜日、新年度が始まる4月、新しい確認症例がない地域の学校は再開できる可能性があると述べた。
「コロナウイルスの大流行を終わらせるために、できる限りのことをします」と安倍は語った。