今回の大宅壮一ノンフィクション賞に、樋田毅さんの『彼は早稲田で死んだ』が受賞したそうだ。おめでとう、である。
かつての早稲田大学、とりわけ文学部キャンパスは、革マル派によって暴力支配がなされていた。その下で、川口大三郎くんが殺された。それを契機に、暴力支配に怒りを抱いていた多くの学生が革マル派糾弾、早稲田を革マル派から取り戻そうという闘いに参加した。樋田さんもその渦中に入り込み闘ったが、暴力支配を復活させた革マル派により暴力を受け、キャンパスに入れなくなった。それらに関わることを、70歳近くになってふり返り、暴力の張本人にも会って話を聞いた、それらのことが書かれた本である。この本については、何度か言及している。 私もその闘いに参加したひとりでもあるからだ。
革マル派の正式名称は、革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革共同革マル派)の下にある、マルクス主義学生同盟革命的マルクス主義派(マル学同革マル派)という。彼らは、「革命的」ということばが好きなのだ。
学生時代、各党派を眺めていたが、そのうち革マル派がもっとも組織至上主義であった。彼らは反帝国主義、反スターリン主義を唱えていたが、彼らこそもっともスターリン主義ではないかと思っていた。
この本が受賞することにより、革マル派という組織がいかに暴力的であったか広く知られることになる。それはよいことだ。勢力はかなり小さくなっているだろうが、今もその流れの組織や人が運動のなかに入り込んでいるからである。
【追記】 『彼は早稲田で死んだ』が、代島治彦さんによって映画化されるようだ。