浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

大宅壮一ノンフィクション賞

2022-05-14 21:20:20 | 社会

 今回の大宅壮一ノンフィクション賞に、樋田毅さんの『彼は早稲田で死んだ』が受賞したそうだ。おめでとう、である。

 かつての早稲田大学、とりわけ文学部キャンパスは、革マル派によって暴力支配がなされていた。その下で、川口大三郎くんが殺された。それを契機に、暴力支配に怒りを抱いていた多くの学生が革マル派糾弾、早稲田を革マル派から取り戻そうという闘いに参加した。樋田さんもその渦中に入り込み闘ったが、暴力支配を復活させた革マル派により暴力を受け、キャンパスに入れなくなった。それらに関わることを、70歳近くになってふり返り、暴力の張本人にも会って話を聞いた、それらのことが書かれた本である。この本については、何度か言及している。 私もその闘いに参加したひとりでもあるからだ。

 革マル派の正式名称は、革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革共同革マル派)の下にある、マルクス主義学生同盟革命的マルクス主義派(マル学同革マル派)という。彼らは、「革命的」ということばが好きなのだ。

 学生時代、各党派を眺めていたが、そのうち革マル派がもっとも組織至上主義であった。彼らは反帝国主義、反スターリン主義を唱えていたが、彼らこそもっともスターリン主義ではないかと思っていた。

 この本が受賞することにより、革マル派という組織がいかに暴力的であったか広く知られることになる。それはよいことだ。勢力はかなり小さくなっているだろうが、今もその流れの組織や人が運動のなかに入り込んでいるからである。

【追記】 『彼は早稲田で死んだ』が、代島治彦さんによって映画化されるようだ。

 

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人間を維持すること

2022-05-14 16:56:09 | 歴史

 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ の『戦争は女の顔をしていない』を読んだとき、ロシア軍は大日本帝国の軍隊とよく似ていると思った。大日本帝国の軍隊は、上意下達の組織で、上官の命令は天皇の命令だと思え、と、いかなる理不尽な命令でも従うことを義務づけられた。ロシア軍も同じ軍人精神をたたき込まれるようだ。

 また日本軍は「生きて虜囚の辱めを受けず」と、捕虜になるくらいなら死ねと命じられた。捕虜になることは不名誉のことで、軍隊では差別され排斥された。ロシア軍もそうした特徴をもつ。

 兵士は使い捨てなのだ。今回も、ロシア軍兵士は使い捨てられている。ロシアの「兵士の母の会」の記事があった。

 人権後進国における軍隊や兵士は、大日本帝国の軍隊、ロシア軍のようになる。

 そして残念なことに、そうした軍隊は戦時には残酷な行為に走る。

 兵士は平時にはふつうの息子であり、夫であり、兄・・・なのである。しかし戦時ともなると、残虐な行為をもできるようになってしまう。人間には、おそらく獣性があるのだろう。だからこそ、戦時という「非常事態」を現出させないようにしなければならない。平和を維持することは、人間の人間であることを維持することでもあるのだ。

 

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福島みずほさんのこと

2022-05-14 16:56:09 | 政治

 今日、福島みずほさんの講演を聴いた。福島さんはいつも元気で、チョコチョコとどこへでも足を伸ばし、的確な発言をする。どんなことでも、である。

 現在の政治には、解決されなければならない問題が山積みである。少数政党の社会民主党の党首である福島さんは、そのような問題をほとんどすべて背負っているようにみえる。

 今日の話も、あらゆる問題について言及し、それに対してどう考えるのか、どうすべきなのか、数字を挙げてわかりやすく話されていた。

 明日は沖縄に行くとのこと。体はひとつである、健康に留意してもらいたいと思う。

 浜松市で上水道の民営化(コンセッション方式)問題が立ちあがったとき、それを阻止するために動いたが、その際、福島さんから資料を頂いたり、国会で質問をしていただいたりした。水道の民営化は、自民党・公明党政権の政策であるから、国政のレベルでも追及されなければならない。

 福島さんは、市民の動きに誠実に対応され、決して上から目線で接することはない。こういう人が政治家であり続けることが、多くの政治家がろくでもない輩が多いからこそ、必要なのである。

 

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新書

2022-05-14 12:47:01 | 日記

 歴史講座のテーマに関わる文献は購入するが、それ以外の本の購入は控えている。読む時間がないからだ。

 今日、久しぶりに新書を買った。岩波新書の『検証 政治改革』である。著者は川上高志。知らなかったが、共同通信の編集・論説委員だとのこと。共同通信は、斎藤茂男などりっぱなジャーナリストを輩出したところだが、共同の何とかという人がスカ政権の官邸に入ったりして、共同もダメになったと思っていた。川上が共同通信の社員であることを知っていたら買わなかった。

 この本、副題に「なぜ劣化を招いたのか」とある。小選挙区制を導入する政治改革は劣化を招くことは確実に予想されていた。しかし、政治学者やマスメディア、財界などがイケイケと推進した。小選挙区制に賛成しない奴は人間じゃないかのような攻勢がなされた。

 私はもちろん反対したが、社会党なども賛成し、結局現在のような「劣化」を招いた。こうなることはわかっていたのに。

 自民党や公明党などは、この選挙制度を変えることはしないだろう。これによっておいしい生活が保障されているからだ。

 今日来たばかりの本だが、時間をみつけて読んでみよう。

 

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