南丹市という都市があることを、最近まで知らなかった。
南丹市の近くに京丹波町がある。その須知に、昔岩崎革也という人物が住んでいた。銀行家であり、地域の政治家でもあった。
岩崎は、「初期社会主義者」といわれる幸徳秋水、大杉栄、堺利彦らと親交があった。そのため、岩崎家には彼らからの書簡がたくさん残されていた。地域の研究者を中心に、それらの書簡を解読していたが、岩崎家は道路の拡張工事もあり、また老朽化が進んで取り壊されることとなった。
問題はその書簡類である。その書簡類を保存公開する役割を果たしたのが、南丹市立文化博物館である。さらに同博物館は、その書簡類を解読し、『岩崎革也宛書簡集』を4回にわたって発行し、さらにその解説編をも発行した。
京丹波町は南丹市に隣接する。その町の貴重な資料の保存公開に大いなる力を発揮した南丹市、その仕事に感心していた。
しかしその南丹市が、特異な人物を「観光大使」に任命したという。
地方行政というのは、無思想、無原則、何でもあり、というのが一般的なのであろうか。