故海野福寿氏が1995年に岩波新書から『韓国併合』を出版して以来の新書での発行である。
海野氏は、もちろん大日本帝国による朝鮮植民地支配は不当であり、日本は謝罪すべきであると考えながら、あくまでも実証的に韓国併合への動きを描きだした。 そして本書で、森氏は主に韓国の資料をもとに韓国併合の動きを描きだした。
私は、在日朝鮮人史、日韓関係の歴史について学んでいたから、当然韓国併合の歴史を学んでいる。一応そうした知識を持つ者としてこの本を見るならば、今まで明らかになっていなかった新しい事実が記されていることは確かである。
韓国併合の歴史を知るためには有益な本ではある。しかし、朝鮮植民地支配に対する日本人としての反省めいたものはなく、若い研究者らしい内容であった。しかしそうではあっても、朝鮮の人びとが日本の支配を歓迎しなかったこと、日本による朝鮮支配が強引であったことについての指摘は、当然記されている。それが歴史的事実であるからだ。
韓国併合について、私は海野さんの本を薦めるが、今は出版されているかどうかわからないので、この本でも学べるので、ぜひ学んで欲しいと思う。