浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】中村敦夫『狙われた羊』(講談社文庫)

2023-02-26 20:25:02 | 

 昨日紹介した本、『狙われた羊』を読み始めた。すごい!

 なんですごいかといえば、今までにも何冊か統一教会関係の本を読んでいるが、この小説ほど真に迫っているものはないと思うくらいである。統一教会内部のことを詳しくよく調べ、ストーリーのなかにそれらを流し込んでいる。

 30年ほど前に書かれたものであるが、統一教会の勧誘の仕方、洗脳方法など、まったく変わっていないことがよくわかる。違っているのは、今はかつてのような珍味売りやニセの募金活動がなくなっていることくらいである。

 いま、統一教会に勧誘されている女子学生のところを読んでいるが、その巧妙さに感心する。こうしたことが起きないように、大学などが統一教会などのカルト教団に警戒するよう、学生にしっかり知らせるべきであった。そうしてこなかったことが、統一教会の跋扈を招いたともいえよう。

 大学生などがだまされないように、この本を読ませたいと思う。900円+悪税である。

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講演会

2023-02-26 16:39:29 | 演劇

 今日午後、浜松演劇鑑賞会の総会があった。そのあとに、有名な演出家である丹野郁弓さんの講演が企画されていた。鑑賞会の活動にとても熱心なIくんの誘いもあって、講演会だけを聴きに行った。

 講演は、ほぼ一時間。話が始まって私が思ったことは、この人はこの場で何を話すのかを考えてきていない、ということだった。まとまりのない話で、早く一時間が過ぎることを願っているようであった。

 もちろん、有名な演出家であるから話すことはいろいろあるから、それでつないでいたが、一部になるほどと思うような話もあった。しかし。全体として、わざわざ聴きに行くような話ではなかった。

 終りの方に、演劇は一人で見るより、三人以上でみたほうがよい、そこに文化の萌芽が生まれるというような話があった。その通りだと思う。ただし、演劇では、あまりにも親切な台本の場合には、見た感想がワンパターンとなるいうことも起きる。私はそういう演劇は好きではない。見た人それぞれが異なった感想を持つようなものが好きだ。

 また政治的無策と経済的貧困の下では、美しきもの、芸術はいかなる意味を持つかというようなことも話していた。これも誰かが、アウシュビッツを経た我々に文学は語れるか・・・とかいうようなことを言っていた記憶があるが、これは重大な問題である。

 演劇を見るときにはチケットを買わなければならない。現在の日本のように、一方に富裕層を抱えながら、他方で全般的貧困が覆っているとき、演劇をみようという意欲は、庶民のあいだではなかなか生まれないだろう。現実に、全国的に演劇鑑賞会の会員が減少している。観劇する経済的、時間的余裕がなくなっている。

 演劇というものは、ある意味特殊な芸術の分野である。観劇者の主体的参加を必要とするからだ。主体的という意味は、観る者の想像力が求められるからである。演劇は、映画やテレビドラマのように見る者に対して親切ではない。

 まあ、今日の講演は聴いても聴かなくてもよいようなものであった。

 なお私は、講師料があってもなくても、講演を依頼されれば、その準備にかなりの時間を投入する。

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