昨日、柳宗悦の「死とその悲みに就て」を紹介した。
そのなかに、「涙なき思想をまことの思想と呼ぶ事は出来ぬ」という文言があった。
日本の政治家たち、とりわけ岸田首相はじめとする自民党、公明党の政権与党の議員たちが何らかの「思想」をもっているのかどうか。おそらく持ってはいないだろう。もっているとするなら、どんな悪事をしてもカネを儲け、それによってみずからの自尊心を満足させるべく、地位や名誉を求める、という思想なのだろうと思う。岸田首相の場合は、それに加えて「天真爛漫」がある。
能登半島の地震災害では、首相官邸は、できるだけ被害を小さくみせようと画策したようだ。首相官邸の面々は、地震被害で苦しんでいる人びとの涙、不意に襲ってきた身近な人の死に見舞われた人びとの涙、そういう涙に共感し、何とかしようという感情すら持っていないようだ。
彼らの「思想」は「涙なき思想」であろう。涙を流す人びとに共感する能力を持ち合わせない人びとだ。
この世界には、いろいろなことに際会し、悲しみのなかで涙を流す人びとがたくさんいる。そういう人びとに共感する思想、「涙の思想」が求められていると思う。
今の日本の支配層には、そうした「涙の思想」がまったく欠如している。「今だけ、オレだけ、カネだけ」という思想とも云えない「思想」が世の中を席捲している。
こうした世の中は、間違いだ、あるべきではない。改めなければならない。つくづくと思う。