東京駅に近づく。窓の外には建設途中のビルがいくつか見える。東京に来るたびに思うこと、それは東京が高く、高くと変化しているということだ。
全国各地から東京とその周辺へと人びとが移動している。あまりに多くの人びとが集まった結果、土地に余裕はない。だから空へ向かって、高く、高くというように、高層建築をつくっていく。人びとも、地についた生活ではなく、地を見下ろす生活をするようになっている。
新横浜から品川へと、新幹線はすすんでいくが、その北側には無数の家が軒を並べる。よくもまあこんなに密集しているのかと目を見張る。なかには、塔のような住宅もある。狭い敷地に家を建てざるを得ないから、一定の広さをもった住宅にするためには、上に向かわざるを得ない。そういう家が目についた。
高く、高く、高く・・・・・・である。
そして電車に乗る。電車は、車内放送の喧騒の中で、とにかく速く、速く、なんとしてでも前へ進もうとしている。
人びとは、いつもせかされる。ATMでも、ゆっくり手続きをしていると、機械が「〇〇をしてください」と急き立てる。
いなかに生きる私は、東京は人間が生きるところではない、と思ってしまう。どこに行っても、人がいる。それも少しではなく、たくさんの人が街を歩いている、走っている。
高く、高く、・・・・速く、速くと急き立てられるなかで、人間は変わってしまっているのではないかと思う。