浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

メディアに怒りはあるか

2024-01-20 17:42:49 | 政治

 多額の裏金をせしめた自民党政治家は、起訴されない!!!!検察という組織が、毎回毎回、いかに自民党政治家に甘くすることか。検察という組織は、自民党政治家と同じで、悪だ!!!

 メディアは、怒っているか!!『東京新聞』にはその怒りが見える。以下、『東京新聞』の「こちら特報部」の記事。

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昨年11月から政界を揺るがしてきた自民党各派閥の政治資金パーティー事件。しかし、松野博一前官房長官ら議員本人の立件は見送られ、各派閥の会計責任者らの立件止まりで、東京地検特捜部の捜査は事実上、終了するとみられる。大山鳴動して…と言いたくなる結果だが、改めて国会議員の刑事責任上の「過保護」ぶりが浮かんだとも言える。今すぐやるべき「政治とカネ」問題改革とは。(西田直晃、山田祐一郎)

◆キックバックを自白した「うっかりさん」もいた

 「全く中途半端。国民の怒りが分かっていない」
 特捜部の捜査終了についてこう憤るのは、自民5派閥の政治資金パーティーの収入明細を調べ、刑事告発した神戸学院大の上脇博之教授(憲法学)。
 「こちら特報部」は昨年11月、上脇氏が体調の悪い中、「地べたを這(は)いつくばるようにして」3カ月間かけて調査し、年末年始返上で告発状を書いたことなどを報じた。「どう考えても事務方だけで行えるわけがない。仮に安倍派だけに限っても、7人の幹部の携帯電話を押収し、事務方との通信記録を精査するべきだった。証拠がなかったわけではなく、捜査を尽くしていないだけだ」
 
 今回、特捜部の捜査が始まって間もなく、安倍派の塩谷立座長が昨年11月末、パーティー券の販売ノルマ超過分のキックバックを「あったと思う」と記者団にうっかり”自白”。派閥の所属議員にかん口令が敷かれる中、政治資金収支報告書への不記載疑惑が浮上し、翌月には二階派、岸田派にも飛び火した。

◆一般国民だったら罰せられるあやまちに見えるが

 年が明けると、安倍派から約4800万円のキックバックを受け、裏金にしていたとされる衆院議員池田佳隆容疑者(57)が政治資金規正法違反容疑で逮捕された。捜査の広がりに注目が集まったが、通常国会召集を1週間後に控え、捜査はあっけない幕引きを迎えた。
 19日午後、JR新橋駅前で待ち合わせをしていた会社員村上彰啓さん(41)は「政治家本人までは伸びず、やはりトカゲのしっぽ切りになってしまった。大物になればなるほど、その傾向が強いように思える」と落胆し、「裏金づくりの温床の派閥政治を変えるには、政治家本人が自身の疑惑を語る場を設けてほしかった」と突き放した。
 
 キックバックされた金額の多寡により、捜査の行方が左右された感が否めない点に失望の声も。団体職員小沢康成さん(55)は「民間なら脱税。金額が10万円だったとしても、報告なしは許されない。この違いは何なのか」と語気を強めた。「捜査が終わっても国民が納得しない。キックバックを受けていた議員を記憶しておき、次の選挙で投票しないようにする」。駅近くの居酒屋に客引きをしていた女性(21)は「有罪にならなくたって、何百万円とか、何千万円とか想像すらできない大金。レモンサワーは299円ですけどね」と皮肉った。

◆「検察は本当に中立・公正なのか」

 組織的な裏金づくりの慣行が明るみに出たものの、一部の政治評論家や元国会議員からは「議員本人の立件はない」「政治にカネがかかるのは当然」といった開き直るような発言も聞こえてきた。
 冒頭の上脇氏は「誰かさんがたまたま犯した罪ではなく、みんなで一緒に赤信号を渡ろうとした事件。キックバックが少なかった議員がいても、全体で計算すると億単位だ。金額で線引きするのはおかしい」と強調し、こう続けた。
 「一般市民は安い商品を万引しただけで、窃盗罪で起訴される。検察は本当に中立・公正なのか疑問が残る結果だ」

◆秘書は起訴、議員は不起訴

 これまでも政治とカネを巡る事件で秘書や会計責任者が責任を負った一方で、政治家本人が自身の責任追及を免れた例は枚挙にいとまがない。
 
 1988年に発覚したリクルート事件では、竹下登元首相の金庫番だった秘書が自殺。竹下氏は立件されなかった。2014年に判明した小渕優子元経済産業相の資金管理団体を巡る事件は、会計責任者の秘書らが在宅起訴されたが、小渕氏は不起訴に。安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会の費用を補填(ほてん)した問題では、20年に公設第1秘書が略式起訴されたが、安倍氏は不起訴。今回も虚偽記入で立件されたのは、派閥の会計責任者で、幹部議員は共謀が認められなかった。
 
 1980年代に自民党の国会議員秘書を務めた経験がある政治評論家の有馬晴海氏は「議員の指示でやったとしても会計責任者や秘書が『自分の一存』と捜査機関に説明すれば、それ以上は議員を追及できない。そのために秘書がいるというのがかつての常識だった」と明かす。時代とともに、議員の身代わりにという意識は薄まっているというが、番頭や金庫番など側近秘書や会計責任者ほど議員と一蓮托生(いちれんたくしょう)という思いの人は多いという。「議員と秘書の関係は密接。自分がしゃべると大変なことになる。秘書の代わりはいても議員の代わりはいない」

◆金額で立件の可否の線引きか…問われる「市民目線」

 そんな関係なら、議員が意図しない報告書作成は考えにくいが、議員本人の共謀を立証できないのはなぜか。元特捜検事の郷原信郎弁護士は「長年続いてきた派閥の虚偽記入の最後の1年分について、あらためて共謀があったと認定するのは難しい」と説明する。
 その上で「政治資金規正法が禁じる政治家個人への寄付行為として立件できなかったのか」と検察の捜査の進め方に疑問を呈する。個人への寄付の罰則は禁錮1年以下と罰金で時効は3年。虚偽記入の禁錮5年以下と罰金、時効5年よりも軽く、対象にできる裏金が限定される。「検察は裏金の額の大きさで虚偽記入を対象としたのだろう。その結果、国民の期待と現実にギャップが生じた」
 
 今回、国会議員で立件されたのは、いずれも4000万円以上の還流を受けたケース。金額の多寡で線引きされた形だ。「金額によって立件を決める検察の『相場観』に法的な根拠は全くない」と阪口徳雄弁護士は批判する。「立件されていない議員についても個人への寄付違反で告発することが必要。不起訴であれば検察審査会に審査請求し、市民目線で立件の『相場観』を判断するべきだ」

◆派閥解消でさらに裏金の実態が見えにくくなる恐れも

 同法では、政治家の責任が問われるのは会計責任者の「選任及び監督」に相当の注意を怠った場合と、かなり限定的だ。だがこれまで議員の監督責任強化を求める動きがなかったわけではない。公明党は民主党政権時代、選任と監督のいずれかを怠った場合に責任を問えるとする改正案を提出したが実現しなかった。立憲民主党は今回の事件を受け、虚偽記入の際に議員本人も処罰の対象とするよう法改正を目指す方針だ。
 
 郷原氏は「国民は今回、税を免れて自由に使える多額のカネに対して反発を抱いている。脱税の視点からの責任追及も必要だ」と強調する。岸田首相は、出身派閥の「宏池会」の解散を表明したが「問題の本質は派閥ではない。政治資金制度全体の改革が求められている」。
 
 前出の上脇氏も「派閥がなくなると、今までより見えにくい形で裏金が流れる」と危ぶむ。その上で上脇氏個人の告発で支えられる現状から脱却する必要性を訴える。「行政監視機関のような公的な監視の仕組みが理想だ。中立性・公平性を担保できるのかという問題があるが将来的にはそのような第三者機関があってしかるべきだ」

◆デスクメモ

 岸田首相が2022年に開いた自身の政治資金パーティー6回分の利益率は約9割に上っていたという。ぼったくりバーさながらだが、それでもカネを出す側は当然、見返りを期待するし、出させる側もそれに応じざるを得なくなる。パー券問題は、裏金だけが問題なのではないのだ。(歩)
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