浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

儲ける医療の行方

2022-02-22 21:26:13 | 政治

 昨日の『東京新聞』の「こちら特報部」の「本音のコラム」、宮子あずささんの「都立病院の民営化」を読みながら、現在読み進んでいる『アメリカの病』(ティモシー・スナイダー、慶応義塾大学出版会)との関連を意識した。

 アメリカでは社会保障制度はきわめて不十分である。医療の最大の目的は、病やケガで苦しむ患者の苦しみを取り除き、健康を回復するというものであるはずだ。しかしアメリカでは、医療の最大の目的はカネ儲けである。医者は、カネ儲けになるように行動する。カネ儲けにならなければ医療の提供はストップ、である。

 コロナ禍で多くの人が苦しんでいるとき、厚労省は病床削減に励んでいる。それと歩調をあわせながら、東京都は、財政の重荷になる公立病院を民営化するのだそうだ。民営化ということは、アメリカ化でもある。つまりカネ儲けのための経営となり、公的病院として「不採算な医療」を担ってきたのに、採算を優先する経営へと変えられる。

 郵便局が民営化され、サービスが低下の一途をたどっている。あるいは不健全な経営が行われ、ばく大な損失がだされても、経営者はその責任を追及されない。

 国立大学が「国立大学法人」として民営化されるなか、大学教育の質は低下の一途をたどっている。文科省はそれを理由に国立大学法人のスクラップアンドビルドを図っている。

 民営化は、サービスの低下に帰結する。それでも国民は、公的機関を民営化し、公務員を減らすことに賛成する。その行き着く先は「アメリカの病」である。

 『アメリカの病』は、日本政府や経済界が志向する未来の日本がどういうことになるのかを示している。読み終えたら紹介しよう。とても良い本であるという結論だけは示しておこう。

 

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もう買わない、三幸製菓

2022-02-22 18:05:24 | 社会

 私が買わないメーカーは、森永、雪印などである。森永は、ヒ素ミルク事件、さらに経営者の娘が首相夫人としてろくなことをしなかったから、雪印は牛肉偽装事件があり、メディアの前では謝罪したが、裁判では居直ったからである。

 今度は火事を起こした三幸製菓。製造ラインその他、問題多い企業のようだ。三幸製菓も、以後買うことはしない。

6人死亡 三幸製菓は「火災事故の常習犯」従業員の告発

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新たなマルチ商法に注意しよう!

2022-02-20 21:31:32 | 社会

警告! 入口は夢と「仲間がほしい」 雨宮純さん

マルチ商法をおちょくっていたら、とんでもなく危険な集団の真相に迫ることになった話

https://president.jp/list/author/%E9%9B%A8%E5%AE%AE%20%E7%B4%94

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「PCR検査を抑えろ!」

2022-02-20 20:39:09 | コロナ

岸田政権が都道府県に「PCR検査を抑えろ」の大号令 交付金差配の内閣府を通じた圧力か

以下がその文書の一部。下線は引用者。

1事務連令 和 427

各都道府県財政担当課 市町村担当課 地方創生担当課 新型コロナウイルス感染症対策担当

 内 閣 府 地 方 創 生 推 進内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進

 オミクロン株の発生及び感染者の急増等によるPCR検査試薬等・抗原定性検査キットの需給ひっ迫に伴い、今般、厚生労働省より医薬品卸売業者やメーカーに対し、当面行政検査を行う医療機関や地方自治体への供給を優先すること、無料検査事業の検査については足もとの検査件数を続けられる抗原定性検査キットの供給に努めることを内容とした事務連絡が発出されたところです(厚生労働省令和4年1月27日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症オミクロン株の発生等に伴う抗原定性検査キットの適正な流通に向けた供給の優先付けについて」等)。これに伴い、検査促進枠の対象事業における検査実施に必要な検査試薬・キット等の供給に一時的に不足が生じる可能性がありますところ、各都道府県において引き続き実績に応じて無料検査事業を継続できるよう、以下の取組を実施頂きますようお願いします。

(1)検査需要の高まりや検査キット等の供給状況を踏まえた適切な検査実施を確保するため、各都道府県においては、PCR検査等・抗原定性検査それぞれについて、都道府県内の1日当たりの検査件数を1月第二週(1月10日を含む週)における1日当たり平均検査実績の2倍以内として頂くようお願いします。

 

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【映画】消えた画・クメール・ルージュの真実

2022-02-20 20:39:09 | 映画

 数多の犠牲者たちが葬られた大地―その土から作られた人形たちが、35年前の虐殺の成り行きを語り始める。闇に葬られたクメール・ルージュの悪夢、その狂気の実像を白日の下にさらす渾身のドキュメンタリー!映画監督リティ・パニュは、幼少期にポル・ポト率いるクメール・ルージュによる粛清で最愛の父母や友人たちを失った。クメール・ルージュの支配の下、数百万人の市民が虐殺され、カンボジア文化華やかなりし時代の写真や映像はすべて破棄された。奇跡的に収容所を脱出し、映画監督になったリティ・パニュは「記憶は再生されるのか」というテーマを追求し、あの忌まわしい体験をいまに伝えることを自らに課し、監督自身の過酷な体験を“土人形”に託して描く。本作は、カンヌ国際映画祭〈ある視点部門〉で上映され、グランプリを獲得。また、カンボジア映画として初めてアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるという栄誉に浴した。

 上記の文は、映画に記されていた解説である。

 忘れてはならない事実。見続けるのが苦しいほどの事実だ。しかし実際にあったことである。

 ナチス・ドイツによるジェノサイドは、今もなおつぎつぎとつくられる映画などで振り返る。しかしカンボジアに於ける、クメール・ルージュによるジェノサイドは、あまり語られることはない。

 なぜポル・ポトらは、彼自身フランスでの生活を経験しながら、人類史に残るような蛮行を行ったのか。また、「オンカー」という、おそらく架空の、強力なリーダーをつくりあげ、クメール・ルージュに関わる様々な人間が、「オンカー」に語らせることによって、みずからのどす黒い情熱を、民衆に押しつけ、殺していった。

 クメール・ルージュの思想は、「オンカー」に代表されると思っている。つまり、「オンカー」が架空であるように、思想も架空なのだ。だがしかし、その架空の思想は、各級の人々によって具体的に担われ、現実化していた。架空であるが故に、その思想にはいろいろなものを入れ込むことができた。マルクスやルソー、スターリン、毛沢東・・・・・それだけではなく、憎悪や嫌悪、悪意、嫉妬・・・・ありとあらゆる負の感情も入れ込むことができた。その「オンカー」が、暴力的に人々に襲いかかった。

 人間は、カンボジアのジェノサイドから学ばなくてはならない。もちろん繰り返さないために、である。また人間を理解するために、である。

 

 

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NHKの本質・・

2022-02-20 17:41:18 | メディア

 NHkがどうしようもない放送局であることはもはや周知のこと。私は、だから批判するつもりはないが、しかし批判は必要だ。

「反五輪デモ」字幕の本質見ない報告書 「金で動員」ならスクープ NHKの集合的無意識とは

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さすが大阪市!!

2022-02-20 10:55:00 | 政治

大阪市は『契約書』『見積書』など交わさず“感染者の個人情報入力業務”の外部委託

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さすが大阪!!

2022-02-20 10:55:00 | 政治

 大阪はじめ関西のニュースに接する度に、大阪など関西に住んでいなくて良かった、と思う。

大阪のコロナ療養者から食事の苦情続出「国は一食1500円を支給も、安っぽいカツカレーやパンばかり」

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コロナによる死者の増加

2022-02-20 09:10:57 | コロナ

 高齢者施設でのクラスターが多い。高齢であり、またその他の病気に罹っている人々がコロナに感染すると、当然のごとく、死者が増える。

 ならば、高齢者施設でクラスターが起きないように、施設入所者や関係者に対する検査態勢を強化していく、というのがコロナ対策ではないのか。

 しかし、政府も、ほとんどの自治体もそんなことはしない。

 私は、彼らは、このコロナ禍を利用して、高齢者たちを減らそうとしているのではないかと疑っている。

 高齢者は年金受給者であり、医療費もかかる。ならばいなくなってくれればと、政府や厚労省の官僚たちは考えているのではないか。

 私の母は高齢である。しかし私は健康で長生きして欲しいと思っている。官僚たちとは異なる感情を持っている。

 

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教員不足

2022-02-20 08:36:16 | 社会

 教員が不足していることが報じられた

 教員志望者が減るのは当然である。まず廃止が決まった教員免許の更新制度。第1次安倍内閣が創設した制度だ。10年ごとに一定の研修を受けて教員免許を更新しなければならない。その際かかる費用は自己負担である。都市部に住んでいる教員は研修を受けやすいが、辺地に住む教員はたいへんである。

 この制度は、教員イジメである。安倍晋三とその仲間はみずからが「知」の世界と縁遠い世界に住んでいるが故に、「知」に対して憎悪を懐いている。その憎悪がイジメに転化したのである。制度廃止が既定方針となったが、こういう制度を創設した者たちへの責任追及はないのか、と思う。

 ちなみに、研修を担った大学などは、カネ儲けすることができた。つまらない講義をすることで、大学にはカネが入ってきた。

 ただ「優秀教員」(この名称だったか?)に管理職から任命されると、免許更新制度から免れることができる。静岡県の高校は部活動中心だから、「優秀教員」には部活動顧問が多い。

 昨日、研究会があり、現役の教員が来年度で切れるのだが、研修をやらなくてよいのだろうかと心配していた。

 こんな制度があるから、教員のなり手が少ないのだ。

 教員は忙しい。教材研究は無限である。それに雑務や部活動指導・・・・・・無数に仕事がある。まさに教育現場はブラックそのものである。おまけに、小中学校の管理職は威張っている。

 賃金をアップし、働きがいのある場所に変えないと、教員志望者は減少の一途をたどること間違いナシである。ちなみに、文科省は、大学の教育学部をなくすことに力を注いでいる。厚労省が、コロナ禍、病床を減らしていることと同じことだ。

 そういう状態を許しているのが、自民党・公明党政権であり、自民党、公明党や維新の政治家に投票している選挙民なのである。

 

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【本】柳美里『国家への道順』(河出書房新社)

2022-02-19 21:54:31 | 

 柳美里さんの本をはじめて読んだ。すばらしい本だった。今日、研究会がzoomであったので、最後にこの本をみなさんに薦めた。

 柳美里さん、コロナに感染して苦しい日々を送っていたようだが、自転車に乗れるほどに回復してきたという。よかった、よかった。

 私はこの本を読んで、柳さんのことばにいたく感激した。小学校の時からイジメを受け、「バイキン」といわれていたそうだが、その苦しみのなかから希望のことばを生み出していた。

 末尾に記されたことばに感動した。彼女がことばを信頼していることがよくわかる。

わたしたちは時間を与えられています。/わたしたちの時間には限りがあります。過去の痛苦を孕んだ現在の重みを軽くできるのは、現在の努力だけです。/対話の道筋の中でしか、共通の言葉は見つけられません。/わたしは、対話を、求めます。

 そしてことばは、人と人とをつなぐものとして存在し、それは未来へとつないでいく、そういうものとして捉えられている。

人間は、どんなに頼りなく、疑わしいとしても、言葉を使って人と人との間に築かれている障壁に穴を穿つしかありません。それが、人間が言葉を発した理由であり、言葉の本質だと、わたしは思います。

 それは人間への信頼であると同時に希望でもある。

人生とは自分自身を体験することに他ならないというのに、他者を羨んだり妬んだり蔑んだりすることで自分の人生を費やしている人は、憐れとしか言いようがありません。

 柳さんはみずからが在日コリアンであることを堂々と記す。当たり前のことだが、日本のような差別が横行する社会ではそれがなかなか難しい。私の友人の在日コリアンは、今でも通名をつかっているが、通名を使用しなければならない日本社会に、問題があるのだ。

 柳さんの主張は、私が同意できるものばかりであった。「慰安婦」のこと、朝鮮の分断のこと、オバマの広島でのスピーチ・・・・・

 昨今の私は、政治や日本社会、そして日本人に絶望することが多くなった。しかし、柳さんのことばを読み、何か明るいものを感じとることができた。柳さんはことばを信頼し、人間を信頼し、未来を信じている。それに学びたいと思った。

 

 

 

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牙をなくした組織

2022-02-19 09:46:34 | 社会

 残念ながら、連合加盟の労働組合は、企業や当該機関の組織内部署と化していることは、以前にも指摘した。労働組合の幹部の人事は、総務課扱いであり、労働組合自体で選出するわけではない。

 したがって、労働組合は労働者の権利を守る組織ではなくなり、労働者を管理統制し、監視するものとなっている。したがって、労働組合の意思は、経営者の意思に従属する。

 今、厚労省の審議会で、運輸業界の過労防止策が検討されている。国際標準は休息時間は11時間である。日本では現行8時間の休息となっているが、その時間を延長しようとしているのだ。

 使用者側と労働者側は、休息9時間案でよいとしているが、公益委員のひとりが「運転手を守るのは国民の安全を守るということ」と主張しているという。公益委員の言うとおりである。

 労働者側の委員が、批判の多い「休息9時間案」に賛成していること自体、労働組合の存在意義を失わせている。

 公益委員も、こうした政府の審議会の委員に選ばれることを喜び、官僚の作文に賛同するだけの役割を果たさせられているのではないか。

 この労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会委員名簿は次の通り。

(公益代表)

小田切優子 東京医科大学公衆衛生学分野講師川田  筑波大学ビジネスサイエンス系教授首藤若菜 立教大学経済学部教授/寺田薫  東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授 藤村博之 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授/ 両角道代 慶應義塾大学法務研究科教授

(労働者代表)

 日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長/鎌田佳伸 全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長正和 全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長久松勇治 日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長/松永 全国自動車交通労働組合連合会書記長/正伸 全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長

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「連合」の立ち位置

2022-02-18 09:39:06 | 社会

 私はこういう記事を読んでも全く異和感を持たない。なぜなら連合の成立それ自体が、旧民社党・同盟の主導権によって結成されてきたからだ。旧民社党・同盟の基本原則は「反共」である。「反共」のためには、支配層と手を組み、同盟系労組は経営者とタッグを組んで「健全なる労働組合」(憲法28条や労働組合法が想定していない組合の在り方)をつくってきた。

 労働組合の組織率が低くなっているのはあたりまえで、組合は会社とは別の労働者監視組織と化しているからだ。

 連合は、今や自民党と手を組もうとしているのだろう。国民民主党もその方向に向かい、そのあとから立憲民主党もついていくことだろう。かくて、21世紀版大日本産業報国会ができあがり、そのあと大政翼賛会がつくられ、ふたたび日本を破滅に導いていく。

 日本人は、まことに歴史から学ばない。

連合、参院選で異例の対応 基本方針で支援政党を明記せず…立民・国民とは「連携」

【追記】自民党組織運動本部長と連合会長が極秘会談をしたという。私は、芳野会長はいずれ自民党の全国区から参院選に立候補するのではないかと推測する。

 

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日本の現状

2022-02-18 09:32:21 | 社会

 日本の選挙民が、支配層の思わくを忖度して行動している結果がこれだ。日本は先進国ぶっているけど、実際はそうではない。

 日本の支配層は、日本の舵取りをする資格のない輩が集い、人々は利権にしがみついている。しかし、アベノミクスなどわけのわからん経済政策が日本の国際的地位の低下を招いてきたことは確実である。利権にしがみついていても、その利権がいずれ痩せ細っていくことだろう。すでに労働者の賃金は一貫して下がり続けている。それでも怒らない。よくなるわけないよ。 

円の実力、50年ぶり低水準 購買力が低下、家計に逆風

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なぜなのか。

2022-02-18 08:48:18 | その他

 柳美里さんの『国家への道順』を読んでいる。彼女は、小学校の頃、壮絶なイジメに遭っていた。彼女は「バイキン」と呼ばれていたという。在日コリアンという出自が原因だったのだろうか。

 私には、在日コリアンの友人がいるが、そのなかに中学校の時のクラスメートO君がいる。母親から、彼が在日であることを知らされたが、そんなことには一切かまうことなく、友人のまま現在に至っている。彼が在日であることについて本人から聞いたこともなく、私のクラスメートはおそらく知っているのだろうが、それを口に出したことはない。ふつうにつきあっている。在日だから差別するという感覚が分からない。

 日本にコリアンがたくさん住んでいるのは当たり前だ。大日本帝国は朝鮮半島を植民地支配に置き、いじめ抜いた。いじめられるなかで、生きていくために日本や中国に移動していき、そこで生活を営むようになったのだ。大日本帝国下の朝鮮人に対する政策を縷々書きつけるつもりはないが、支配層は徹底的に差別的であった。だからといって、庶民が差別する理由はない。

 芥川龍之介の作品に「「猿蟹合戦」がある。これは一般的な「猿蟹合戦」の後日談を描いたものだ。仇を討った蟹はなんと死刑とされた。猿がいわゆる「一級市民」であったからで、芥川は、「兎に角猿と戦つたが最後、蟹は必天下の為に殺されることだけは事実である。語を天下の読者に寄す。君だちも大抵蟹なんですよ。」と記している。

 柳美里さんを差別する者、そして在日コリアンらに最大限の悪罵を投げつける者たちの品性を疑う。

 この本で、柳美里さんは在日コリアンであることを堂々と提示している。それは当然のことなのであるが、みずからの出自を自由に語れないことがあるのなら、そういう社会の在り方が問われなければならない。

 そんなに厚い本ではなく、エッセイ集というものなので、読みやすい。

 

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