今まで一度も柳美里さんの本を読んだことがない。柳美里さんがコロナに感染し、苦しい状態にあることを知り、彼女の回復を祈っていたが、一度も読んだことがないことに気づいた。
そこで図書館から借りだしてきたのが、『JR高田馬場戸山口』(河出文庫)である。高田馬場は、私が学生時代を過ごしたところなので、私の記憶と交差するところもあるのではないかと思い読みはじめたのだが、最初からその文体についていけない。すぐにあきらめた。
一緒に借りてきたのが、『国家への道順』(河出書房新社)。これなら読める。在日コリアンである柳美里さん、生きてくる上でいろいろなことがあったのだろうと思う。
最初のところで、柳美里さんと同行したNHKのディレクターがマラソン選手であったソンキテイさんに謝罪したことが記されていた。
私も韓国や中国に歴史の調査のために何度も訪問し、話しを聞いたり、「現場」を見て歩いた。日本の植民地支配や侵略戦争の実態は、想像を超えるものであった。私自身は、ことばで謝罪したことはない。しかし心の中では、「申し訳ない」、「日本人として恥ずべき行為を行ったことをお詫びします」と言い続けていた。韓国や中国の人々は、おそらく私の心中を察してくれたのだろう、どこでもきわめて協力的であった。
この本を読みながら、考えていくことができるだろう。まだ読み始めだ。
大日本帝国が、アジア太平洋地域で、軍事的侵攻を繰り返し、その地域の人々を殺害し、破壊したことはきちんと記録されている。
1945年、日本はそうした大日本帝国と訣別して新しい社会をつくろうと決意したはずだが、最近の日本はかつての大日本帝国へと回帰しているようだ。
相手国領空での爆撃「排除しない」 敵基地攻撃能力を巡り岸防衛相が明言
今日、『週刊金曜日』が届いた。「きんようアンテナ」に二つの裁判事例が紹介されていた。
一つは、安保法制違憲訴訟・女の会による東京地裁の裁判。裁判長は、武藤貴明。弁論の最中に裁判長が突然立ち上がり、左右の陪席判事とともに姿を消してしまった、というのだ。裁判長はもごもごと何かを言っているようであったが、誰も聞き取れない。2月4日のことだ。のちに問い合わせをしたところ、判決言渡の期日が指定されていたという。
こんな裁判、聞いたことがない。裁判長は、おそらくすでに結論(原告敗訴)を持っていて、ということは「出世」を期待して、これ以上審理をしたくなくなったのだ。だがそれでは、裁判とは言えない。
司法は、ここまできているのである。審理を拒否する裁判官。
もう一つは、東電の経営陣3人の刑事責任を問う裁判。裁判長・細田啓介は、証人尋問や現地調査を拒否し、早期の裁判終結を狙っているようだ。
この二人の裁判長、最高裁の調査官などを歴任している。
日本の司法は、すでに死にかけている。
立憲民主党がフラフラしている。立憲民主党というのは、本質的にそういう政党なのだ。
立憲民主党の議員は、「とにかく議員になりたい」というところからスタートする。議員になるには自民党から立候補するのが一番だ、だからホントは自民党から立候補したいが、小選挙区制のもとで、ほとんどの選挙区に自民党議員(立候補者)がいる。ならばやむなく、民主党から立候補しようと、民主党にいく。
民主党で議員になれなかった場合、どこの政党に行けば当選できるかとさがしまわる。なかには政党をわたり歩く人もいる。だから選挙区ごとにいる「支部長」という人間はしばしば変わる。
そしてたとえ当選しても、彼らは地道な運動(活動)はしない。選挙区は、彼らにとって立候補するときに利用するだけで、地域の問題を解決しようと動くこともない。
要するに、かれらはみずからの思想や意見というものをもたない、議員でいることだけが目的なのだから当然だろう。彼らの政治信条は不定形で、新自由主義が流行となればそれを信奉するなど、流転していく。
民主党からつながる立憲民主党、国民民主党は、そうした議員の集団なのだ。
だから私は支持しない。
規制撤廃によりバス業界などへ中小の業者が入り込み、全国で事故をおこしてきた。それはタクシーやトラック運送の業者も同様である。
規制撤廃による参入により競争が激化し、安売り競争に走ることがあり、その結果、そこで働く労働者の労働の強化、低賃金、安全の軽視などが顕著になった。
『東京新聞』の昨日一面の左に、「運転手の過労対策案 後退」という見出しの記事があった。
国際基準は、「勤務終了から翌朝の勤務開始までの休息時間」は、11時間。しかし日本の運輸業界は、国際基準を守ろうとは思わず、9時間にせよと政府に迫っている。その結果、厚労省は「9時間に縮める案」を示している、というのだ。
見られるように、厚労省は、働く労働者や事故にさらされる庶民の健康や安全よりも、企業の要求に真摯に答える国家機関なのだ。もちろんそうした厚労省の動きに支持を与えるのが、自民党・公明党政権なのである。
国際的な基準から、賃金なども含めて様々な場面から撤退する日本。「美しい日本」は、そこに住む人々に過酷な生活を強いる国なのだ。