Casa Brutus特別号 「丹下健三DNA」を買ってみました。

前々からアナウンスがありましたが、先日Casa Brutusの「丹下健三DNA」が発売されたようなので、早速書店で購入してみました。丹下健三氏の偉業を振り返った特別号とのことで、当然ながら紙面は丹下建築で一色です。

世界で活躍された丹下健三氏の業績を全て網羅するのは、それこそ「全集」的な分量になってしまうのかと思いますが、Casa Brutusもなかなかコンパクトにまとめていて、私のような建築の素人にも分かり易く工夫された紙面となっています。「丹下健三はいったい誰なのか?」として、その業績を回顧しながら、内外の芸術家や建築家による氏へのオマージュは、とても読み応えがありそうです。これからじっくりと拝見しようかと思います。

さて、丹下建築は世界33ヶ国、全330以上にも及ぶのだそうですが、紙面上ではそれを「ベスト100」にまとめ上げて、写真付きで一挙公開しています。その中には、今の時点から考えると非常に奇異にも思える「東京計画1960」(東京湾を埋め立て、壮大な一大海上都市を建築する計画。)や、先の大戦中の政治色を濃く反映したような「大東亜建設記念営造計画」など、夢物語かはたまた散り行く幻影かとも言えそうな、ある意味で度肝を抜かれるようなものもありますが、今でも西新宿で一際天へ貫くような鋭い切れ味を見せる「東京都新庁舎」や、台場の埋め立て地を上から重々しく支えている巨大な「フジテレビ本社ビル」など、東京ではすっかりお馴染みの建物も載せられています。これらはあまりにも有名です。(ちなみに丹下氏とは全く関係がありませんが、私が東京の高層ビルの中で好きなのは、何処から見ても美しい「愛宕グリーンヒルズ」と、ヌーベルの「電通本社ビル」です。後者は汐留の汚いスカイラインに埋没していますが、一棟で建っていたらさぞ格好良かったことでしょう…。)

そのような中、改めて氏の凄まじさに感服させられる建物は、ありきたりですが、やはり「東京カテドラル聖マリア大聖堂」「国立代々木競技場」でしょうか。幸いにして両方ともこの目で見たことがありますが、フォルムのシャープな美しさと、細部の丁寧な意匠がまさに芸術品です。特に競技場は内部の空間も独創的で、競技場と観客を包み込む一体感は、希有な雰囲気を持っています。ともに1961年の作品とのことですが、紙面を見る限りではその時期の丹下建築は特に面白く、どれも魅せられました。

カラー写真をふんだんに使った、Casaならではの贅沢な特集です。これはしばらく楽しめそうです。
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