「ARTISTS JAPAN」刊行!

後れ馳せながら買ってきました。「スタートレック」や「ガンダム」などのファクトファイルで知られる、デアゴスティーニ・ジャパンの新シリーズです。タイトルは「美術全集 日本絵画の巨匠たち 『ARTISTS JAPAN』」。栄えある創刊号に登場したのは、日本美術史上最大の巨匠(?!)である葛飾北斎でした。



ディアゴスティーニジャパン公式HP
週刊「ARTISTS JAPAN」

創刊号ということで、内容の幾らかはシリーズ全体の見取り図(ガイド)に割かれています。その他は、豊富な図版を掲載しての北斎の紹介です。大判のギャラリーをはじめ、見るだけでも楽しめるような内容でしたが、意外にもテキスト量が多いのには驚きました。これからじっくりと読んでみます。

私は全く知りませんでしたが、今回の「ARTISTS JAPAN」は、以前に別出版社から刊行(1992年)された冊子の再発なのだそうです。ちなみに、取り上げられる作家は計60名。雪舟から応挙、大観や佐伯祐三、それに東郷青児と、かなり幅広い絵師や画家がアナウンスされていました。

全60号ラインナップ

これだけ紹介しておいて言うのも恐縮ですが、全部買ってしまうと置き場所にも困る上、この手の雑誌はあまり見返すことがないので、まずはお気に入りのアーティストだけでも購入したいと思います。ところで価格は創刊号のみ290円ですが、その他は全て590円とのことです。(全部揃えると35100円!)また、ディアゴスティーニならではの特製バインダーや、プレゼントなども企画も揃っていました。この辺の売り方は上手です。

最新の研究や発見の結果等を盛り込んだDVD(例えば「知るを楽しむ ギョッとする江戸の絵画」風に…。)などが付いていると、単なる再発よりももっと面白かったかと思います。まずは書店にてご覧下さい。
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「所蔵作品展第2部 サトウ画廊 1955-1981」 千葉市美術館

千葉市美術館千葉市中央区中央3-10-8
「所蔵作品展第2部 サトウ画廊 1955-1981 - 若く、熱い日々 - 」
2006/12/11-2007/1/14



「草間彌生・荒川修作・篠原有司男」展と同時開催中の展覧会です。共通のチケットで入場することが出来ます。

「サトウ画廊」とは、1955年に銀座にオープンし、1981年にその役目を終えた、主に同時代の現代アートを取り扱っていた画廊です。千葉市美術館では1991年、画廊主の佐藤友太郎氏から計407点の美術品の寄贈を受けました。この展覧会では、その一部、30名の作家による計110点が紹介されています。さすがに一画廊の所蔵品ということで、コレクションにはかなりクセがあるようにも見受けられましたが、まずは掘り出し物を探すような感覚で楽しみました。

渡辺恂三の抽象画がなかなか印象的です。白のキャンバス地に、クラインブルーをも彷彿させる青みが、まるで魂のように浮遊しています。また、通称「グロッタ展」と呼ばれた企画展の作品には強いインパクトが感じられました。これは、美術評論家の東野芳明が1957年、ボッシュやグリューネヴァルトなどの「グロテスク」なイメージを喚起させる画家に倣って、4名の日本人作家を取り上げたグループ展です。小山田二郎や河原温らのビックネームも登場していました。ちなみに東野芳明は一昨年末に亡くなりましたが、現代美術だけでなく幅広く美術全般を論じた高名な評論家です。その名もズバリ、「グロッタの画家」という著作も残しています。



この展覧会で最も記憶に残ったのは中村宏の二作品でした。特に「望遠鏡列車」(1965)は鮮烈です。一見しただけで、その摩訶不思議な世界観に取り込まれてしまいます。MOTで開催される大個展(中村宏 - 図画事件)が待ち遠しくもなる作品です。

私が出向いた時はあいにくの天候だったせいか、会場の入りは全くお寒い限り(2、3名ほどしかおられませんでした。)でしたが、所蔵品を上手く見せることに長けた同美術館ならではの良い展覧会だと思います。明後日、14日までの開催です。(1/6鑑賞)

*関連エントリ
「所蔵作品展第1部 特集展示 草間彌生・荒川修作・篠原有司男」
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