都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「所蔵作品展第1部 特集展示 草間彌生・荒川修作・篠原有司男」 千葉市美術館
千葉市美術館(千葉市中央区中央3-10-8)
「所蔵作品展第1部 特集展示 草間彌生・荒川修作・篠原有司男」
2006/12/11-2007/1/14

千葉市美術館の所蔵品から、表題の3名を紹介するグループ展です。大作のオブジェから絵画までを含む、草間彌生18点、荒川修作6点、篠原有司男4点の計28点で構成されています。中でも草間の作品は質量共に充実していました。ファンにはたまらない展覧会かもしれません。(?)

草間では、広々とした展示室の中央に配された二点のオブジェ、「最後の晩餐」(1981)と「幻の青春をあとにして」(1988)が目立っています。ともに例のカラフルな突起物によって象られた立体作品(「晩餐」は食卓、「幻~」はボートです。)ですが、その鮮やかな色遣いが突起物自体の不気味な気配を打ち消して、何やらポップ・アート風な感覚を生み出していました。もはやほぼお馴染みともなった代表作の一つではありますが、改めてその強い存在感を感じ取ることが出来たように思います。
グレーのキャンバスに白の油絵具がドットを描く、「No.Bホワイト」(1959)は美しい作品です。油彩のタッチによるドットがキャンバスの隅々にまで広がり、全体を網目状に覆い尽くしています。画面は一見フラットな味わいではありますが、良く見ると所々に上から下へと絵具が流れているような動きがあり、奇妙な奥行き感とざわついた感触を確かめることが出来ました。また草間の平面では、対となる二点の作品、「星雲」(1990)と「銀河」(1991)も優れています。「星雲」ではタイル目地のような白い円が無数に描かれ、それこそキャンバスに白い石がベタッと敷きつめられたような味わいがありますが、「銀河」は黒のキャンバスに白い円がまるで穴のように描かれていて、しばらく見ているとそこへ吸い込まれてしまうような感覚さえ受けます。同じドットによる作品でも、このように多様なバリエーションを展開し、それぞれに面白さがあるのが草間の魅力の一つかもしれません。その他、1950年代前半のドローイングや、キスリング風(?)の女性肖像画にも見応えがありました。草間作品をこれほどまとめて拝見したのは、以前に東京国立近代美術館で開催された大個展以来のことです。

荒川修作のセメントを用いた二点のオブジェからは、その静謐な雰囲気を突き破るような強い迫力が感じられます。まさしく棺桶のような長方形の木箱が、中に子どもほどの大きさのセメントの塊を積んで並んでいました。セメントにはまるで体毛のような綿がまとわり、それが木箱に敷かれた布に包まれて置かれています。そしてそのセメントの質感は、それこそゴムか粘土のような生々しい感触です。もはやこれを見て死体を連想しない方はおられないでしょう。もちろん異臭こそ漂っていませんが、思わず鼻を背けてしまいたくなるような不気味な作品でした。
篠原の激しい絵画とオブジェもまた異彩を放っています。ドギツイ色彩と荒々しい造形によるバイク型のオブジェ「モーターサイクルカンザシ」(1984)が、意外にもリアルに出来ているのには面白く感じました。他の絵画の中の人物が、そのまま表へ飛び出してきたかのようです。
この展覧会の第二部にあたる「サトウ画廊」については、また後日別のエントリにて触れたいと思います。今月14日までの開催です。(1/6鑑賞)
*関連エントリ
「所蔵作品展第2部 サトウ画廊 1955-1981」
「所蔵作品展第1部 特集展示 草間彌生・荒川修作・篠原有司男」
2006/12/11-2007/1/14

千葉市美術館の所蔵品から、表題の3名を紹介するグループ展です。大作のオブジェから絵画までを含む、草間彌生18点、荒川修作6点、篠原有司男4点の計28点で構成されています。中でも草間の作品は質量共に充実していました。ファンにはたまらない展覧会かもしれません。(?)

草間では、広々とした展示室の中央に配された二点のオブジェ、「最後の晩餐」(1981)と「幻の青春をあとにして」(1988)が目立っています。ともに例のカラフルな突起物によって象られた立体作品(「晩餐」は食卓、「幻~」はボートです。)ですが、その鮮やかな色遣いが突起物自体の不気味な気配を打ち消して、何やらポップ・アート風な感覚を生み出していました。もはやほぼお馴染みともなった代表作の一つではありますが、改めてその強い存在感を感じ取ることが出来たように思います。
グレーのキャンバスに白の油絵具がドットを描く、「No.Bホワイト」(1959)は美しい作品です。油彩のタッチによるドットがキャンバスの隅々にまで広がり、全体を網目状に覆い尽くしています。画面は一見フラットな味わいではありますが、良く見ると所々に上から下へと絵具が流れているような動きがあり、奇妙な奥行き感とざわついた感触を確かめることが出来ました。また草間の平面では、対となる二点の作品、「星雲」(1990)と「銀河」(1991)も優れています。「星雲」ではタイル目地のような白い円が無数に描かれ、それこそキャンバスに白い石がベタッと敷きつめられたような味わいがありますが、「銀河」は黒のキャンバスに白い円がまるで穴のように描かれていて、しばらく見ているとそこへ吸い込まれてしまうような感覚さえ受けます。同じドットによる作品でも、このように多様なバリエーションを展開し、それぞれに面白さがあるのが草間の魅力の一つかもしれません。その他、1950年代前半のドローイングや、キスリング風(?)の女性肖像画にも見応えがありました。草間作品をこれほどまとめて拝見したのは、以前に東京国立近代美術館で開催された大個展以来のことです。

荒川修作のセメントを用いた二点のオブジェからは、その静謐な雰囲気を突き破るような強い迫力が感じられます。まさしく棺桶のような長方形の木箱が、中に子どもほどの大きさのセメントの塊を積んで並んでいました。セメントにはまるで体毛のような綿がまとわり、それが木箱に敷かれた布に包まれて置かれています。そしてそのセメントの質感は、それこそゴムか粘土のような生々しい感触です。もはやこれを見て死体を連想しない方はおられないでしょう。もちろん異臭こそ漂っていませんが、思わず鼻を背けてしまいたくなるような不気味な作品でした。
篠原の激しい絵画とオブジェもまた異彩を放っています。ドギツイ色彩と荒々しい造形によるバイク型のオブジェ「モーターサイクルカンザシ」(1984)が、意外にもリアルに出来ているのには面白く感じました。他の絵画の中の人物が、そのまま表へ飛び出してきたかのようです。
この展覧会の第二部にあたる「サトウ画廊」については、また後日別のエントリにて触れたいと思います。今月14日までの開催です。(1/6鑑賞)
*関連エントリ
「所蔵作品展第2部 サトウ画廊 1955-1981」
コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )