スクロヴァチェフスキの若々しきベートーヴェン

先ほどまで放送されていたFMで楽しみました。昨年12月、初台のコンサートホールにて行われた、ザールブリュッケン放送響の来日公演です。このツアーでは、ベートーヴェンの交響曲が全て演奏されたそうですが、そのうちの1、4、5の各交響曲が取り上げられていました。

NHK-FM ベストオブクラシック(1/29 19:30 - )

曲 ベートーヴェン 交響曲第1番、4番、5番

指揮 スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ
演奏 ザールブリュッケン放送交響楽団

収録 東京オペラシティコンサートホール 2006/12/3

スクロヴァチェフスキの音楽を聴いていると、巨匠の仲間入りを果たした老齢(大変失礼な話ではありますが…。)の指揮者の演奏を、一概に「円熟」などという文言にて決めつけてはならないということが痛いほど良く分かります。ともかく古楽器演奏も真っ青なほどに激しく、スリリングなベートーヴェンです。あまり技巧には冴えないザールブリュッケン放送響を、どれほど自身の音楽のために叩き上げたのでしょうか。それこそ硬い鉄球のような鈍く、また重々しい響きが、楽譜の上を痛快なほどのスピードにて駆け巡ります。ヴァイオリンが坂道を転がり落ちるかのように進んで、チェロやコントラバスが必至に喰らいついていました。そして時折、乾いた金管とドロドロと轟くティンパニが炸裂します。と言っても、例えば第5番のフィナーレなどは、意表を突くほどにアッサリとした小気味良いテンポで終ってしまうのです。次から次へと繰り出される手品を見るかのような演奏でした。

「ベルリオーズ:幻想交響曲/スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響楽団」

ところでご存知の通り、今年はいよいよ読響とスクロヴァチェフスキのコンビが始動します。(読響プログラム)私としては世評の高いブルックナーなどを取り上げる春の定期よりも、秋のショスタコーヴィチの方が楽しみです。彼の動的でクセのある音楽作りが、きっとショスタコーヴィチの面白さを引き出す演奏となるのではないでしょうか。是非ホールへと足を運びたいと思います。
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