都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「荒木愛 個展」 銀座スルガ台画廊
銀座スルガ台画廊
「第46回レスポワール新人選抜展 荒木愛 個展」
3/12-17
銀座スルガ台画廊で開催中の第46回レスポワール新人選抜展、荒木愛個展へ行って来ました。
間もなく東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻描画・装飾(中島千波)研究室を卒業される荒木愛(@aispy)さん。
先日の修了展にも作品を展示されていましたが、残念ながら伺うことが出来ませんでした。
と言うわけで、まず注目したのは、その時にも出品された大作、「mementos」(2012年)に他なりません。
「mementos」(2012年)
薄く桃色がかった白の空間には、無数の貝や人手、それに蝉たちが散っています。近くによって見ると、画面に固着し、それこそ砂浜に沈みこむかのように並ぶ貝の姿を確認出来ますが、少し離れると華やかな色にも因るのか、まるで大きな花束から花びらが散っているようにも見えるのではないでしょうか。
「mementos」(2012年)部分
貝たちは中心から渦を巻くのではなく、パッと浮遊しながら緩やかに楕円を描くように広がっています。まさしく貝殻たちのブーケでした。
さて淡く繊細な岩絵具の質感を引き出した作品が多い中、一際異彩を放っていたのが「成層圏」のシリーズです。
「成層圏」(2012年)
この目に染みるような青みこそ、飛行機に乗ると目にする「成層圏」の景色の現れなのでしょうか。
「成層圏」(2012年)部分
その飛行上での「とても静かで穏やかな世界に来た錯覚」に、「身近な存在を亡くした際に陥る感覚」(ともにキャプションより引用)を重ね合わせた荒木は、群青の奥にそっと貝殻を潜ませ、あたかも深海の底に沈んで動かなくなったもの、言わば死んだ化石のように描き出しました。
画面下方であたかも雲のように靡く網目状の和紙のざわめきだけが静かにこだましていました。
「めろん」(2012年)
「めろん」に思いがけない景色が広がります。 表面を覆う網越しに広がるメロンの向こうには、色づく紅葉の息吹きすら感じられるのではないでしょうか。
私のお気に入りはツバメに導かれて貝殻の舞う「また会える日まで」です。
「また会える日まで」(2012年)
力強く飛び行くツバメはもとより、大きくカーブを描いてせり上がる貝殻の動きそのものが他の作品と一線を画しています。
ツバメの行先は一体どこへ行くのでしょうか。鮮烈な色を取り込んだ成層圏とあわせ、荒木の次の展開を予感させているような気がしました。
短期決戦一週間のみの展示です。明日、銀座へお出かけの際は是非ともご覧になってください。(最終日は17時半終了)
3月17日までの開催です。
「第46回レスポワール新人選抜展 荒木愛 個展」 銀座スルガ台画廊
会期:3月12日(月)~17日(土)
休廊:会期中無休
時間:11:00~19:00 *最終日は17:30まで。
住所:中央区銀座6-5-8 トップビル2F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸の内線銀座駅B9出口徒歩4分。
「第46回レスポワール新人選抜展 荒木愛 個展」
3/12-17
銀座スルガ台画廊で開催中の第46回レスポワール新人選抜展、荒木愛個展へ行って来ました。
間もなく東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻描画・装飾(中島千波)研究室を卒業される荒木愛(@aispy)さん。
先日の修了展にも作品を展示されていましたが、残念ながら伺うことが出来ませんでした。
と言うわけで、まず注目したのは、その時にも出品された大作、「mementos」(2012年)に他なりません。
「mementos」(2012年)
薄く桃色がかった白の空間には、無数の貝や人手、それに蝉たちが散っています。近くによって見ると、画面に固着し、それこそ砂浜に沈みこむかのように並ぶ貝の姿を確認出来ますが、少し離れると華やかな色にも因るのか、まるで大きな花束から花びらが散っているようにも見えるのではないでしょうか。
「mementos」(2012年)部分
貝たちは中心から渦を巻くのではなく、パッと浮遊しながら緩やかに楕円を描くように広がっています。まさしく貝殻たちのブーケでした。
さて淡く繊細な岩絵具の質感を引き出した作品が多い中、一際異彩を放っていたのが「成層圏」のシリーズです。
「成層圏」(2012年)
この目に染みるような青みこそ、飛行機に乗ると目にする「成層圏」の景色の現れなのでしょうか。
「成層圏」(2012年)部分
その飛行上での「とても静かで穏やかな世界に来た錯覚」に、「身近な存在を亡くした際に陥る感覚」(ともにキャプションより引用)を重ね合わせた荒木は、群青の奥にそっと貝殻を潜ませ、あたかも深海の底に沈んで動かなくなったもの、言わば死んだ化石のように描き出しました。
画面下方であたかも雲のように靡く網目状の和紙のざわめきだけが静かにこだましていました。
「めろん」(2012年)
「めろん」に思いがけない景色が広がります。 表面を覆う網越しに広がるメロンの向こうには、色づく紅葉の息吹きすら感じられるのではないでしょうか。
私のお気に入りはツバメに導かれて貝殻の舞う「また会える日まで」です。
「また会える日まで」(2012年)
力強く飛び行くツバメはもとより、大きくカーブを描いてせり上がる貝殻の動きそのものが他の作品と一線を画しています。
ツバメの行先は一体どこへ行くのでしょうか。鮮烈な色を取り込んだ成層圏とあわせ、荒木の次の展開を予感させているような気がしました。
短期決戦一週間のみの展示です。明日、銀座へお出かけの際は是非ともご覧になってください。(最終日は17時半終了)
3月17日までの開催です。
「第46回レスポワール新人選抜展 荒木愛 個展」 銀座スルガ台画廊
会期:3月12日(月)~17日(土)
休廊:会期中無休
時間:11:00~19:00 *最終日は17:30まで。
住所:中央区銀座6-5-8 トップビル2F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸の内線銀座駅B9出口徒歩4分。
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