「都の遊び・王朝の美」 そごう美術館

そごう美術館
「京都 細見美術館展 Part1 都の遊び・王朝の美」
2/4-3/20



そごう美術館で開催中の「京都 細見美術館展 Part1 都の遊び・王朝の美」へ行ってきました。

琳派をはじめとする江戸絵画はもちろん、日本美術全般のコレクションで定評のある京都・細見美術館ですが、今横浜のそごう美術館にて、その所蔵品の一部、とりわけ京都にまつわる絵画や工芸品が公開されています。

出品は全90点です。展覧会の構成は以下の通りでした。

1.王朝の雅 和歌と物語
2.都の四季 遊びと飾り
3.京の絵師 若冲から雪佳まで



「北野社頭図屏風」江戸後期

ともかく京にちなむというのがキーワードです。平安の王朝期をモチーフとした和歌に物語絵、また洛中洛外図に代表される祭礼・遊楽図屏風、また調度品、さらには点数こそ少ないものの宗達、若冲、そして雪佳といった京都の絵師らの作品が登場していました。

まず目に留まるのは歌仙絵の数々です。中でも注目なのは岩佐又兵衛の「歌仙絵 源順」ではないでしょうか。源信はお馴染みの又兵衛様式というべき面長の顔をしています。やや口を開けながら飄々とした様子でした。

さてさらに又兵衛ではもう一点、「源氏物語図屏風 総角」から目が離せません。六曲一双の大画面には、宇治の紅葉狩りに訪れた匂宮ご一行が描かれています。

面白いのは画面右下で一行を待ち構える女御たちです。皆、心踊っているかのように浮き足立ち、それこそ背伸びしながら時に手を目にやって、一行の方をのぞき込んでいました。

なお本作は諸事情により会期途中から出品されたそうです。思わぬタイミングながらも、又兵衛ならではの生き生きとした人物表現を楽しむことが出来ました。


「花車図屏風」江戸後期

小品も多い中、屏風がかなり目立っていましたが、とりわけ印象に深いのは大きな花かごが描かれた「花車図屏風」です。

画面から放たれる金地の輝きにも圧倒されてしまいますが、艶やかな桜や藤の美しさと言ったら並大抵ではありません。草花のむせかえるような生気も伝わってきます。まさに眼福の一点でした。


円山応挙「若竹に小禽図」1795年

少ないながらも琳派関連では、光悦と宗達コラボの扇面絵や色紙、また時候にもぴったりの抱一の「立雛図」、さらには得意の描表装を用いた其一の「掛蓬莱図」なども心に残りました。またさり気なく守一や山本光一といった江戸琳派グループの絵師が2、3点ほど出ていたのも嬉しいポイントでした。


小沢華「蝶々踊図屏風」江戸後期

また薪箱に盆などの調度品は多数出ています。工芸品が好きな方も楽しめるかもしれません。

最後は細見ご自慢の雪佳です。ここは全体の約1割強、十数点の雪佳作品が一堂に会していました。壮観です。

さて本展はあくまでも「Part1」です。と言うわけで5月下旬からの「Part2」では、今回も何点か出ていた琳派、そして若冲を中心とした江戸絵画がメインで登場します。



「京都 細見美術館展 Part2 琳派・若冲と雅の世界」@そごう美術館 5月26日(土)~7月16日(月・祝)

そしてその展示とともに目が離せないのが記念講演会です。

「細見コレクションの軌跡-琳派・若冲を中心に-」
 講師:細見良行氏(細見美術館 館長) 日時:5月26日(土)14時より
「若冲ブームの実相」
 講師:山下裕二氏(明治学院大学教授) 日時:6月10日(日)14時より
「京都の琳派・江戸の琳派」
 講師:仲町啓子氏(実践女子大学教授) 日時:6月24日(日)14時より
 
 場所:そごう美術館展示室内
 費用:各回500円(消費税含む。別途入館料が必要。)
 定員:各回60名(事前申込み・先着順)

豪華な講師陣ではないでしょうか。これは期待したいと思います。

またPart1会期中はPart2とのセット券も発売されています。料金は1400円です。各回1000円、2回で2000円からすればかなりお得と言えるのではないでしょうか。

「俵屋宗達: 金銀の〈かざり〉の系譜/玉蟲敏子/東京大学出版会」

3月20日まで開催されています。

「京都 細見美術館展 Part1 都の遊び・王朝の美」 そごう美術館
会期:2月4日(土)~3月20日(火・祝)
休館:そごう横浜店の休日に準じる。
時間:10:00~20:00 *最終日は17時閉館。
住所:横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階
交通:JR線横浜駅東口よりポルタ地下街通路にて徒歩5分。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )