「六本木アートナイト2012」 六本木地区一帯

六本木地区一帯
「六本木アートナイト2012」
3/24-3/25



「六本木アートナイト2012」へ行ってきました。

昨年は震災で中止となった年に一度の六本木のアートの祭典、「六本木アートナイト」ですが、今年は無事開催を迎えました。



ともかくイベント盛りだくさん、2日間限定のタイトなスケジュールのイベントです。簡単に歩いて廻った展示なりイベントを記録しておきたいと思います。

まず六本木に着いたのは夕方16時半過ぎです。実はこの日までアートナイトに参加出来るかどうか分からなかったので、ほぼ予備知識ゼロで到着しました。

とりあえずコアタイム18時からのオープニングイベントのある六本木ヒルズへ向かいます。



お出迎えはタムラサトルさんの「スピンクロコダイル・ガーデン」。ワニが何やら摩訶不思議に回転し続けます。



続いては同じくタムラさんの「六本木マシーン」です。チェーンの軌跡が六本木という文字を描いていました。

さてメイン会場のアリーナには今年の作家、草間彌生さんによる巨大バルーン人形「ヤヨイちゃん」が既にお待ちかねです。



早くも多くの人が集まっていたため、「リンリン」を連れてのオープニングは遠目から拝見、ともかくまずは賑やかな雰囲気を味わいました。

何も行程を決めていなかっため、頼りになるのは公式ガイドとツイッターです。他の方のつぶやきを頼りにまずはヒルズ内の各展示を見て回ることにしました。


ホワン・スー・チエ「オーガニック・コンセプト」


泉太郎「糸ミミズのためのスケートリンク」


チームラボ×高橋英明「浮遊する楽器」

一通り歩いた後は、ヒルズ、ミッドタウン、新美の三箇所を廻ると「草間マフラー」なるものがもらえるというスタンプラリーに参加することにします。ヒルズ内のポイントは既に長蛇の列ということで、そちらは後に回すことにしてミッドタウンへ向かいました。



六本木交差点のアマンドも「水玉カフェ」へと変化し、大行列です。総じて今年の人出はかなり多いように感じました。

ミッドタウンでは全長13メートルの巨大こけしの他、デザインサイト前の庭に草間さんの「いのちのあしあと」などが展示されています。


「いつつのゆびわ」

ゆびわはミッドタウン開業5周年を記念してのオブジェだそうです。


草間彌生「いのちのあしあと」


yotta Groove「花子」

ちなみにこけしは東北の伝統的工芸品です。言うまでもなく震災の件もあり、東北と関係するイベントが目立っていました。



またうまく写真におさめられませんでしたが、ミッドタウンの芝生広場では、毎度お馴染みのジャッピー御輿が提灯の光を放ってのお堂インスタレーションを展開しています。



さてこの後は新美です。こちらは大かぼちゃが入口前に鎮座していました。人気の撮影スポットかもしれません。



また開発好明さんの茶室と納屋「発泡苑」も目を引きます。中へ入れればと思ったりしました。

ヒルズへ戻ると相変わらずの凄い人で屋台村へおちおち近寄ることも出来ません。というわけで、少し会場を離れ、事前に唯一ツィートでチェックしていたツタヤ六本木でのライターの橋本麻里さんと写真家の鈴木理策さんのセザンヌ・トークを聞くことにしました。



今度開催される新美セザンヌ展に因んでのトークショーです。セザンヌの作品と、セザンヌ好きの鈴木さんがサント・ヴィクトワールまで追っかけたというエピソード、それにもちろん鈴木さんの作品の写真のお話が、橋本さんの鋭い突っ込みでテンポ良く進みます。

内容はツイッターで少しまとめましたので、そちらを転記しておきます。メモ程度であまり参考にならないかもしれませんが、宜しければご覧ください。

昨日の橋本麻里さんと鈴木理策さんのセザンヌトーク、初めは今回のセザンヌ展に出る作品についてスライドを見ながらのお話。セザンヌ作の中にある複数の視点がまず興味深いと鈴木さん。そしてそれが写真と関係あるのではないかと。ちなみにセザンヌは写真が生み出された年に生まれたとか。

理策さんのセザンヌ初体験は小学校か中学校の時に美術の教科書で見た「赤いチョッキの少年」。ともかく腕が長くて、何でこんな変な絵を描いたのだろうと強く印象に残ったとか。

三次元を二次元の中に落とし込むことを写真はいとも簡単にやってしまったが、セザンヌはいくつもの視点を絵画中にとりこむことで、それを実現しようとしていたのではないかと。その代表例として橋本さんと理策さんは「リンゴとオレンジ」を挙げておられました。

セザンヌが好きなのは対象を諸々の文脈から切り離してそのものだけを捉えようとしたから。その例が山を山としてのみだけ描いた「サントヴィクトワール」。そしてまさにこれはストレート写真と同じではないかと理策さん。

そしてサントヴィクトワールを写真で自分が追うことで、セザンヌの視点を追体験出来るのではないかと思って現地へ。するとそこで感じたのは光の具合によって山の色、そして自分との距離感も変わる、何とも捉え難い不思議な景色だった。

セザンヌは部分部分で色彩を変化させ、全体のハーモニーを作る。山の景色がそれと同じ。またアトリエを訪ねて写真を撮ったが、それはセザンヌが居た場所、見た視点と、自分の視点を重ねたいというミーハーな興味でというお話も。理策さん。

後はセザンヌがパリで失敗したことに妙な共感を覚えるとか、セザンヌはモネの色彩の実験を強く意識し、それを超えようとして画面に複数の視点を入れていたのではないかというお話なども。なお次は映像作品に取り組んでおられるとか。理策さん。

簡単なメモ書きを起こしただけですが、とりあえずこんな内容でした。TSUTAYA六本木での橋本さんと鈴木理策さんのセザンヌトーク。大体50分くらいだったかな。スライド写して写真集を会場にまわしながらのお話でした。

お話を聞き終えてヒルズに戻ると、スタンプ台の行列が解消していたので、マフラーをいただき、偶然居合わせた知人と軽くビールをいただきました。思わぬ出会いがあるのもこうしたお祭りならではのことかもしれません。



草間マフラーに「2011年」、つまりは昨年の記載があるのを見つけ、改めてあれから自分に何が出来たのだろうかと自問しながら、六本木を後にしました。


志村信裕「赤い靴」

それにしても凄い人出です。私が帰る23時前でも続々人がヒルズへ押し寄せているのには驚きました。さすがオールナイトイベントです。

皆さんのアートナイトはいかがだったでしょうか。この時期はいつも状況が読めず、直前までギリギリになってしまうのですが、来年はもう少し準備して参加したいと思います。
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