「シャッフル2」 東京国際フォーラム(アートフェア東京会場内)

東京国際フォーラム(アートフェア東京会場内)
「シャッフル2」
3/30-4/1



東京国際フォーラムで開催中の「シャッフル2」へ行ってきました。

昨年春、白金のアートコンプレックス全館にて展開した現代美術と古美術の響宴「シャッフル」ですが、その続編は場所と会期を変え、ここ「アートフェア東京2012」の中での開催となりました。

場所は国際フォーラム展示ホール、入口から向かって右、最奥部です。あくまでもフェア内の一ブースです。広さこそ前回には及びませんが、ワンフロアでの展開ということで、むしろより密度の濃い展示が繰り広げられていました。


手前:佐々木誠「八挙須」

その迫力に思わず後ずさりした方もいらっしゃるかもしれません。会場入口にてあたかも来場者に睨みを利かすように立ちはだかるのは、佐々木誠の「八挙須」でした。

髭を靡かせ、顔を上げて正面を見据える姿からは、例えば堂々たるギリシャ彫刻の大理石像を連想出来るかもしれません。また眼をとじているせいか、神秘的なデスマスクでも見つめているような気分にもさせられます。ともかくも掴みとしての存在感は抜群でした。


「シャッフル2」展示室風景

縄文時代の土器が破片に守られているようにして掲げられています。その両側では平安期の勇壮な四天王像が脇を固めていたせいか、何やら祭祀のシンボルのように見えたのは私だけでしょうか。そう言えばこの土器が会場の中心に置かれています。日本の美術における核心、そして全ての源泉は縄文からというわけでした。


手前:本堀雄二「BUTSU」、奥:「簾躑躅図屏風」(江戸時代初期)

本堀雄二の段ボール製の菩薩像の向こうには、何とも涼し気な屏風「簾躑躅図屏風」が展示されています。菩薩の透けと簾の透けのダブルイメージは繊細です。屏風の隣の土器に生けられた生け花も意外な清涼感を醸し出しています。ひょっとすると縄文人もこのようにして花を愛でていたのかもしれません。


佐々木誠「祖形」

ミヅマの個展の印象も未だ深く残る森淳一の彫像も鮮烈です。また鋭い眼光を飛ばす佐々木誠の彫像の向こうには応挙や芦雪の軸画が掲げられていました。


山口英紀「右心房・左心室」

いつもながらにその質感表現に驚かされるのは山口英紀の「右心房・左心室」です。よくよく目を凝らして、現代に甦る精緻な水墨を堪能して下さい。


手前:「縄文土器」(縄文時代)、奥:神戸智行「いつもの場所で」他

借景にするには難しい吹き抜けの空間ですが、練りに練られたライティングは作品の魅力を巧みに引きだしています。決して下から光が当たっているわけではないにも関わらず、まるで下から炎が立ち上がるかのように灯る縄文土器の美しさには思わずため息が漏れました。


手前:「根来瓶子」、奥:岩田俊彦「カラバナ」

シャッフル展をキュレーションされた山下裕二先生のインタビュー記事がCINRA.NETに掲載されています。

日本人なら知るべき、日本美術の本当の凄さ『シャッフル2』@CINRA.NET

フェアに因み、作品を購入することについての示唆にとんだお話もあります。是非ともご覧ください。


森淳一「coma」(部分)

アートフェアとの連動企画です。よって会期は次の日曜日までしかありません。超・短期決戦の展覧会です。


「アートフェア東京2012」会場風景

4月1日まで開催されています。

「シャッフル2」(アートフェア東京2012) 東京国際フォーラム 展示ホール
会期:3月30日(金)~4月1日(日)
休館:会期中無休。
時間:3/30(金)11:00~21:00、3/31(土)11:00~20:00、4/1(日)10:30~17:00
住所:千代田区丸の内3-5-1
交通:JR線有楽町駅より徒歩1分。東京メトロ有楽町線有楽町駅から地下コンコースで直結。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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