都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「千紫万紅ーいつも現代」 セゾン現代美術館
セゾン現代美術館
「千紫万紅ーいつも現代」
4/16-7/7
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/20/1d1a97054fe5f4ea944c1592cd08b28e.jpg)
セゾン現代美術館で開催中の「千紫万紅ーいつも現代」を見てきました。
いわゆる現代美術、特に戦後アメリカの抽象美術コレクションでも定評のあるセゾン現代美術館。いまそこで「千紫万紅ーいつも現代」と名付けられた展覧会が行われています。
さてまず「千紫万紅」(せんしばんこう)とは。辞書を引きましょう。それは「さまざまな花の色の形容。また、色とりどりに咲いている花のこと。」を意味する言葉。翻って同美術館では作品を花になぞらえて乱れ咲かせる。ようは通常より作品をより多く出品。まさに空間を埋め尽くさんとばかりに展示しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/b6/7226ad9ac8913f6f919beb4e140f1da5.jpg)
ジャクソン・ポロック「ナンバー9」1950年
そして二番目の「いつも現代」。こちらのコンセプトはシンプル。つまりたとえ古美術であろうとも作られた時は「現代」。いつも新しかったわけです。ようはそうした古美術品と「現代美術」をない交ぜにして展開。ロスコと青磁、ポロックに金銀蒔絵厨子棚と、洋の東西、時代を超えた様々な作品が一堂に会していました。
さて現代美術好きの私にとって一度は行きたかったのがこの美術館。そうです。実はセゾンの門をくぐったのは今回が初めて。結論から申し上げると、その濃密かつ充実したコレクションに終始圧倒されてしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/1d/7412c873bd57ac478b10905184bd3414.jpg)
アンゼルム・キーファー「革命の女たち」1992年
まずは見たかった作品から。ドイツの作家、アンゼルム・キーファーのインスタレーション「革命の女たち」(1992年)。鉛のベッドと水と植物。静かに横たわる14台のベット。そして壁にはフランス革命期の女性たちの名前が。ベットのそばへ近寄ることは出来ませんが、その異様なまでの緊張感は端から見ていても伝わるもの。まるで収容所。死の気配を強く漂わせています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/86/67bf39619de106e090523db88f300d1b.jpg)
イヴ・クライン「海綿レリーフ(RE50)」1958年
絵画ではロイ・リキテンスタインの「赤ワインのある静物」(1972年)にイヴ・クラインの「海綿レリーフ(RE50)」(1958年)も。特にイヴ・クライン、その美しき青みが伸縮しては伸びる様子。彼のこれほど充実した作品を他に見たことがありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/59/99e1a23521f09e10da5377f9c27e1c81.jpg)
ジャスパー・ジョーンズ「標的」1974年
それにポロックの「ナンバー9」(1950年)やジャン=ポール・リオペルの「ナンバー6」(1954年)も。そしてジャスパー・ジョーンズの大作。マン・レイも充実しています。一つずつ挙げていくとキリがありませんが、噂には聞いていたコレクション。ようやく向き合うことが出来て感無量でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/9a/0c4e30a50f9bd5d74e7e14fa7cb05349.jpg)
上村松園「簾のかげ」1929年頃
さて展示についても少し。先にも触れた洋の東西の競演。ともかく驚かされるのはその荒々しいまでの力技です。何と上村松園や鏑木清方や伊東深水らの美しき日本画上に、ウォーホルの「ポートフォリオ(毛沢東)」シリーズがずらり。美人画VSウォーホル。しかも毛沢東。思わず仰け反ってしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/e3/421c6aa1cabcc6d26599e9726750ff26.jpg)
横山大観「山茶花と栗鼠」1912年
なお惜しみなく『露出展示』がなされているのもポイント。横山大観の「山茶花と栗鼠」(1912年)はケースもなく、しかも床に直置き。まさに目と鼻の先で愛でることが可能です。(その先のライリーと李禹煥の作品の並びもまた良い!)
ラストはスイスの作家、ジャン・ティンゲリーの「地獄の首都」が堂々登場。廃物を利用し、機械仕掛けで動く彫刻群。ちょうどデモンストレーションの時間だったこともあり、実際に動く様子も鑑賞。動きと音と。タイトルに反してどこかコミカルな印象も受けます。これほど巨大なティンゲリー作品を前にしたのは初めてです。思わず時間を忘れて見入ってしまいました。
また日本の現代美術も所狭しと登場。壁に作品二枚掛けも少なくありません。岡崎乾二郎や中西夏之の絵画も心に留まりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/a8/28aa501f40109d7d3d9239594d5d3f00.jpg)
さて圧倒的なコレクションにノックアウトされたあとは、緑に囲まれたお庭でクールダウンを。彫刻家、若林奮氏のプランによる彫刻庭園です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/ef/8e3241754ff55a35712314aa59aeddab.jpg)
深き森と彫刻作品の数々。まさに森林浴です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/c4/c2f1e149740562b43b7ece9f931b096b.jpg)
お庭は回遊型。台地を利用した巧みな構成です。二つの橋に傾斜地の鉄板が風景にアクセントを与えます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/07/94/5c1c67deac60e2ff1053a062bed2c897.jpg)
また美術館の建築は菊竹清訓氏によるものとか。和を思わせる低層の趣き。すっかり森に溶け込んでいました。
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「千紫万紅ーいつも現代」展は7月7日まで開催されています。
「千紫万紅ーいつも現代」 セゾン現代美術館(@sezon_mma)
会期:4月13日(土)~7月7日(日)
休館:木曜日
時間:10:00~18:00 *最終入館は閉館30分前まで。
料金:一般1000(900)円、高校・大学生700(600)円、小・中学生300(200)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140
交通:JR長野新幹線軽井沢駅、しなの鉄道中軽井沢駅より草津温泉行のバスを利用。バス停「軽井沢千ヶ滝温泉入口」下車徒歩7分。中軽井沢駅よりタクシー利用で約15分。専用無料駐車場あり。
「千紫万紅ーいつも現代」
4/16-7/7
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セゾン現代美術館で開催中の「千紫万紅ーいつも現代」を見てきました。
いわゆる現代美術、特に戦後アメリカの抽象美術コレクションでも定評のあるセゾン現代美術館。いまそこで「千紫万紅ーいつも現代」と名付けられた展覧会が行われています。
さてまず「千紫万紅」(せんしばんこう)とは。辞書を引きましょう。それは「さまざまな花の色の形容。また、色とりどりに咲いている花のこと。」を意味する言葉。翻って同美術館では作品を花になぞらえて乱れ咲かせる。ようは通常より作品をより多く出品。まさに空間を埋め尽くさんとばかりに展示しています。
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ジャクソン・ポロック「ナンバー9」1950年
そして二番目の「いつも現代」。こちらのコンセプトはシンプル。つまりたとえ古美術であろうとも作られた時は「現代」。いつも新しかったわけです。ようはそうした古美術品と「現代美術」をない交ぜにして展開。ロスコと青磁、ポロックに金銀蒔絵厨子棚と、洋の東西、時代を超えた様々な作品が一堂に会していました。
さて現代美術好きの私にとって一度は行きたかったのがこの美術館。そうです。実はセゾンの門をくぐったのは今回が初めて。結論から申し上げると、その濃密かつ充実したコレクションに終始圧倒されてしまいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/1d/7412c873bd57ac478b10905184bd3414.jpg)
アンゼルム・キーファー「革命の女たち」1992年
まずは見たかった作品から。ドイツの作家、アンゼルム・キーファーのインスタレーション「革命の女たち」(1992年)。鉛のベッドと水と植物。静かに横たわる14台のベット。そして壁にはフランス革命期の女性たちの名前が。ベットのそばへ近寄ることは出来ませんが、その異様なまでの緊張感は端から見ていても伝わるもの。まるで収容所。死の気配を強く漂わせています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/86/67bf39619de106e090523db88f300d1b.jpg)
イヴ・クライン「海綿レリーフ(RE50)」1958年
絵画ではロイ・リキテンスタインの「赤ワインのある静物」(1972年)にイヴ・クラインの「海綿レリーフ(RE50)」(1958年)も。特にイヴ・クライン、その美しき青みが伸縮しては伸びる様子。彼のこれほど充実した作品を他に見たことがありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/59/99e1a23521f09e10da5377f9c27e1c81.jpg)
ジャスパー・ジョーンズ「標的」1974年
それにポロックの「ナンバー9」(1950年)やジャン=ポール・リオペルの「ナンバー6」(1954年)も。そしてジャスパー・ジョーンズの大作。マン・レイも充実しています。一つずつ挙げていくとキリがありませんが、噂には聞いていたコレクション。ようやく向き合うことが出来て感無量でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/9a/0c4e30a50f9bd5d74e7e14fa7cb05349.jpg)
上村松園「簾のかげ」1929年頃
さて展示についても少し。先にも触れた洋の東西の競演。ともかく驚かされるのはその荒々しいまでの力技です。何と上村松園や鏑木清方や伊東深水らの美しき日本画上に、ウォーホルの「ポートフォリオ(毛沢東)」シリーズがずらり。美人画VSウォーホル。しかも毛沢東。思わず仰け反ってしまいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/e3/421c6aa1cabcc6d26599e9726750ff26.jpg)
横山大観「山茶花と栗鼠」1912年
なお惜しみなく『露出展示』がなされているのもポイント。横山大観の「山茶花と栗鼠」(1912年)はケースもなく、しかも床に直置き。まさに目と鼻の先で愛でることが可能です。(その先のライリーと李禹煥の作品の並びもまた良い!)
ラストはスイスの作家、ジャン・ティンゲリーの「地獄の首都」が堂々登場。廃物を利用し、機械仕掛けで動く彫刻群。ちょうどデモンストレーションの時間だったこともあり、実際に動く様子も鑑賞。動きと音と。タイトルに反してどこかコミカルな印象も受けます。これほど巨大なティンゲリー作品を前にしたのは初めてです。思わず時間を忘れて見入ってしまいました。
また日本の現代美術も所狭しと登場。壁に作品二枚掛けも少なくありません。岡崎乾二郎や中西夏之の絵画も心に留まりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/a8/28aa501f40109d7d3d9239594d5d3f00.jpg)
さて圧倒的なコレクションにノックアウトされたあとは、緑に囲まれたお庭でクールダウンを。彫刻家、若林奮氏のプランによる彫刻庭園です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/ef/8e3241754ff55a35712314aa59aeddab.jpg)
深き森と彫刻作品の数々。まさに森林浴です。
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お庭は回遊型。台地を利用した巧みな構成です。二つの橋に傾斜地の鉄板が風景にアクセントを与えます。
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また美術館の建築は菊竹清訓氏によるものとか。和を思わせる低層の趣き。すっかり森に溶け込んでいました。
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「千紫万紅ーいつも現代」展は7月7日まで開催されています。
「千紫万紅ーいつも現代」 セゾン現代美術館(@sezon_mma)
会期:4月13日(土)~7月7日(日)
休館:木曜日
時間:10:00~18:00 *最終入館は閉館30分前まで。
料金:一般1000(900)円、高校・大学生700(600)円、小・中学生300(200)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140
交通:JR長野新幹線軽井沢駅、しなの鉄道中軽井沢駅より草津温泉行のバスを利用。バス停「軽井沢千ヶ滝温泉入口」下車徒歩7分。中軽井沢駅よりタクシー利用で約15分。専用無料駐車場あり。
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