都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「わたし超スキッ!! 草間彌生」 軽井沢ニューアートミュージアム
軽井沢ニューアートミュージアム
「わたし超スキッ!! 草間彌生ー世界を感動させた自己愛」
4/11-9/23
軽井沢ニューアートミュージアムで開催中の「わたし超スキッ!! 草間彌生ー世界を感動させた自己愛」へ行ってきました。
軽井沢のまさに中心、駅から北へのびるメインストリートに位置する軽井沢ニューアートミュージアム。ガラス張りの外観も軽快。カラマツ林を意識したという白い柱もすっかり街に溶け込んでいます。
今そこで開催中なのが、まさに長野県生まれの草間彌生の個展。言うまでもなく水玉で世界を席巻。日本を代表するアーティストです。
さて草間といえば、六本木の森美術館や、先だっての埼玉県立近代美術館しかり、このところ大きな美術館でも個展続き。一方、ここ軽井沢ニューアートでは何を見せて、また何を特徴とするのか。
結論から申し上げましょう。草間の最初期から近作までを網羅しつつ、特に70年代後半、アメリカから帰国後のいわゆる不遇だった時代にもスポットを当てています。
第1章 松本~京都~東京 1929~57
第2章 ニューヨーク 1957~1973
第3章 ヴェネツィア・ビエンナーレ以前 1973~1993
第4章 ヴァネツィア・ビエンナーレ以降 1993~現在
ではその最初期から。生まれの松本、そして京都市立美術工芸学校時代の作品。まるでクレーを思わせるような抽象から、後の水玉を彷彿させる「点」、そして「ネット」状の平面まで。草間の原点を見ることが出来ます。
草間は精神科医の式場隆三郎に見出されて東京へ。50年代中盤には都内画廊や百貨店で個展を開催。キャリアを重ねていきます。そして単身ニューヨークへ。当初は経済的にも非常に厳しい生活を強いられながらも、旺盛な制作意欲で次々と大作に挑みました。
草間彌生「無題」1963年 ミクストメディア
ここで面白いのは、アメリカで起きた反戦運動に関係し、草間のハプニング・パフォーマンスを映像で紹介していること。また60年代初期の写真映像集「集積ー千のポート・ショー」(1961-64)なども。編集はいずれもワタリウム美術館。これが意外と見入ります。
草間彌生「自己消滅」1966-74年 ミクストメディア
またマネキンに水玉をあわせた「自己消滅」(1966-74)のインスタレーションも展示。こちらは撮影可能でした。
さてその後がいよいよ70年代、アメリカから帰国後、不遇であった時代の作品です。先のニューヨークでは大画面へネットやドットを配した力強い作品が多かったのに対し、この時期は小さな画面に何やら暗鬱で閉塞感すら漂う奇怪なモチーフが跋扈。死を思わせるイメージも。また昆虫や鳥などの写真をコラージュしたものも目立ちます。
最近の作風からすれば半ば隔絶しているともとれる70年代。知られざる草間の作品にただただ驚かされるばかりでした。
再評価の大きな切っ掛けとなったのが、1993年のヴェネツィアビエンナーレ。草間はこの年の日本館で当時としては異例の個展を開催します。
草間彌生「PUMPKIN PUMPKIN」2000年 油彩・カンヴァス
お馴染みのカボチャのモチーフ、「PUMPKIN PUMPKIN」(2000)もご覧の通り。(この作品も撮影可能です。)また松本市美術館からやってきた横5メートル超の「Infintity Nets 雪原」(2001)なども展示。ちなみに会場には同美術館の他、板橋区立美術館、国立国際美術館、富山県立近代美術館などの作品も登場。思いの外に多彩です。
草間彌生「GOLDEN-NETS 黄金の網」2007年 アクリル・カンヴァス
約90点弱で追いかける草間の今と昔。ともすると紹介されにくい70年代。水玉、ネットだけではない全体像を知ることが出来ました。
軽井沢グッズも充実したミュージアムショップ
さて美術館は軽井沢の一等地。館内にはギャラリーの他、この界隈としてはリーズナブルなレストランも。その名は「リストランテ・ピエトリーノ」。イタリアンでお昼のパスタコースは1500円からです。
デザートは草間仕様のカボチャのケーキをいただきました。美味!
軽井沢ニューアートウェディング
なお同館ではウェディング業務にも力を入れ始めているとか。展示室の一室(先の黄色のカボチャのあった部屋です。)がそのまま式場へ。いわゆる人前式の形。
ウェディングイメージのバンケットルーム
またバンケットルームでは好きな作品を前に披露宴を行うことが可能。こちらの写真はイメージバンケットです。後ろに見えるジュリアン・オピーや白髪一雄、李禹煥などはもちろん全て本物。他にも色々と選べます。(撮影許可をいただきました。)
ウェディングイメージのバンケットルーム
軽井沢といえばウェディングのメッカでもありますが、美術館ウェディングはおそらくここニューアートだけではないかと。また新たな試みとして注目されそうです。
会期途中で一部の作品が入れ替わります。展示替え中は観覧出来ません。ご注意下さい。
前期:4月11日(木)~6月30日(日)
後期:7月5日(金)~9月23日(月・祝)
ニューアートミュージアムの裏手方向から望む「森の礼拝堂」
「わたし超スキッ!! 草間彌生」展は9月23日まで開催されています。
「わたし超スキッ!! 草間彌生ー世界を感動させた自己愛」 軽井沢ニューアートミュージアム
会期:4月11日(木)~9月23日(月・祝) 前期:4月11日(木)~6月30日(日)、後期:7月5日(金)~9月23日(月・祝)
休館:火曜日。(祝日の場合は翌日)
時間:4月~6月 10:00~17:00、7月~9月 10:00~18:00 *入館は30分前まで。
料金:一般1500円、65歳以上・高校・大学生1200円、小・中学生700円。
*20名以上の団体は各200円引き。
住所:長野県北佐久郡軽井沢町1151-5
交通:JR長野新幹線軽井沢駅、しなの鉄道軽井沢駅より徒歩7分。専用駐車場あり。
「わたし超スキッ!! 草間彌生ー世界を感動させた自己愛」
4/11-9/23
軽井沢ニューアートミュージアムで開催中の「わたし超スキッ!! 草間彌生ー世界を感動させた自己愛」へ行ってきました。
軽井沢のまさに中心、駅から北へのびるメインストリートに位置する軽井沢ニューアートミュージアム。ガラス張りの外観も軽快。カラマツ林を意識したという白い柱もすっかり街に溶け込んでいます。
今そこで開催中なのが、まさに長野県生まれの草間彌生の個展。言うまでもなく水玉で世界を席巻。日本を代表するアーティストです。
さて草間といえば、六本木の森美術館や、先だっての埼玉県立近代美術館しかり、このところ大きな美術館でも個展続き。一方、ここ軽井沢ニューアートでは何を見せて、また何を特徴とするのか。
結論から申し上げましょう。草間の最初期から近作までを網羅しつつ、特に70年代後半、アメリカから帰国後のいわゆる不遇だった時代にもスポットを当てています。
第1章 松本~京都~東京 1929~57
第2章 ニューヨーク 1957~1973
第3章 ヴェネツィア・ビエンナーレ以前 1973~1993
第4章 ヴァネツィア・ビエンナーレ以降 1993~現在
ではその最初期から。生まれの松本、そして京都市立美術工芸学校時代の作品。まるでクレーを思わせるような抽象から、後の水玉を彷彿させる「点」、そして「ネット」状の平面まで。草間の原点を見ることが出来ます。
草間は精神科医の式場隆三郎に見出されて東京へ。50年代中盤には都内画廊や百貨店で個展を開催。キャリアを重ねていきます。そして単身ニューヨークへ。当初は経済的にも非常に厳しい生活を強いられながらも、旺盛な制作意欲で次々と大作に挑みました。
草間彌生「無題」1963年 ミクストメディア
ここで面白いのは、アメリカで起きた反戦運動に関係し、草間のハプニング・パフォーマンスを映像で紹介していること。また60年代初期の写真映像集「集積ー千のポート・ショー」(1961-64)なども。編集はいずれもワタリウム美術館。これが意外と見入ります。
草間彌生「自己消滅」1966-74年 ミクストメディア
またマネキンに水玉をあわせた「自己消滅」(1966-74)のインスタレーションも展示。こちらは撮影可能でした。
さてその後がいよいよ70年代、アメリカから帰国後、不遇であった時代の作品です。先のニューヨークでは大画面へネットやドットを配した力強い作品が多かったのに対し、この時期は小さな画面に何やら暗鬱で閉塞感すら漂う奇怪なモチーフが跋扈。死を思わせるイメージも。また昆虫や鳥などの写真をコラージュしたものも目立ちます。
最近の作風からすれば半ば隔絶しているともとれる70年代。知られざる草間の作品にただただ驚かされるばかりでした。
再評価の大きな切っ掛けとなったのが、1993年のヴェネツィアビエンナーレ。草間はこの年の日本館で当時としては異例の個展を開催します。
草間彌生「PUMPKIN PUMPKIN」2000年 油彩・カンヴァス
お馴染みのカボチャのモチーフ、「PUMPKIN PUMPKIN」(2000)もご覧の通り。(この作品も撮影可能です。)また松本市美術館からやってきた横5メートル超の「Infintity Nets 雪原」(2001)なども展示。ちなみに会場には同美術館の他、板橋区立美術館、国立国際美術館、富山県立近代美術館などの作品も登場。思いの外に多彩です。
草間彌生「GOLDEN-NETS 黄金の網」2007年 アクリル・カンヴァス
約90点弱で追いかける草間の今と昔。ともすると紹介されにくい70年代。水玉、ネットだけではない全体像を知ることが出来ました。
軽井沢グッズも充実したミュージアムショップ
さて美術館は軽井沢の一等地。館内にはギャラリーの他、この界隈としてはリーズナブルなレストランも。その名は「リストランテ・ピエトリーノ」。イタリアンでお昼のパスタコースは1500円からです。
デザートは草間仕様のカボチャのケーキをいただきました。美味!
軽井沢ニューアートウェディング
なお同館ではウェディング業務にも力を入れ始めているとか。展示室の一室(先の黄色のカボチャのあった部屋です。)がそのまま式場へ。いわゆる人前式の形。
ウェディングイメージのバンケットルーム
またバンケットルームでは好きな作品を前に披露宴を行うことが可能。こちらの写真はイメージバンケットです。後ろに見えるジュリアン・オピーや白髪一雄、李禹煥などはもちろん全て本物。他にも色々と選べます。(撮影許可をいただきました。)
ウェディングイメージのバンケットルーム
軽井沢といえばウェディングのメッカでもありますが、美術館ウェディングはおそらくここニューアートだけではないかと。また新たな試みとして注目されそうです。
会期途中で一部の作品が入れ替わります。展示替え中は観覧出来ません。ご注意下さい。
前期:4月11日(木)~6月30日(日)
後期:7月5日(金)~9月23日(月・祝)
ニューアートミュージアムの裏手方向から望む「森の礼拝堂」
「わたし超スキッ!! 草間彌生」展は9月23日まで開催されています。
「わたし超スキッ!! 草間彌生ー世界を感動させた自己愛」 軽井沢ニューアートミュージアム
会期:4月11日(木)~9月23日(月・祝) 前期:4月11日(木)~6月30日(日)、後期:7月5日(金)~9月23日(月・祝)
休館:火曜日。(祝日の場合は翌日)
時間:4月~6月 10:00~17:00、7月~9月 10:00~18:00 *入館は30分前まで。
料金:一般1500円、65歳以上・高校・大学生1200円、小・中学生700円。
*20名以上の団体は各200円引き。
住所:長野県北佐久郡軽井沢町1151-5
交通:JR長野新幹線軽井沢駅、しなの鉄道軽井沢駅より徒歩7分。専用駐車場あり。
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