「元田久治 東京」 アートフロントギャラリー

アートフロントギャラリー
「元田久治 東京」 
6/21-7/14



アートフロントギャラリーで開催中の元田久治個展、「東京」へ行ってきました。

誰もが知る東京を代表するランドマークを半ば「廃墟」と化して描く元田久治の平面世界。曲がった東京タワーにひび割れた都庁、そして朽ち果てた東京駅に荒れ果てた新宿の雑踏などを緻密なタッチで表現。近未来をも予感させる廃墟都市東京の姿は既に知られているところかもしれません。

その元田が代官山のアートフロントで個展を開催。20点弱のリトグラフに数点の油絵と、久々にまとまった数の作品を展示しています。

さてリトグラフはお馴染みの廃墟シリーズ、先にも触れたように東京のランドマークが廃墟と化した作品です。

無数に亀裂の入ったビルや道路。甚大な災害に見舞われ、人間を含めた生き物が全て失われてしまった光景。そのような中でも地面の裂け目から逞しく生い茂る草は、経過した時間を伝えるとともに、次の段階へのステップ、言わば「再生」を思わせる面もあります。

一方で数点の油画。こちらはリトグラフとはまた異った展開。そしてずばりこれが面白い。

と言うのも、描かれているのは何気ない道端の草むら、もしくは手すりをクローズアップしたもの。一見するところ、廃墟でも何でもありません。

しかしながら良く目を凝らすと、その草むらの中には小さな滑走路があり、何と飛行機が飛んでいる。また手すりの向こうに広がるのは発電所を俯瞰した光景。かの福島の原発を思わせる建屋が隠れているのです。

「元田久治作品集『NEO RUINS』/河出書房新社」

日常に突如出現した箱庭的世界。そもそも廃墟シリーズにおいても、元田は都市を一つの廃墟として幻視していますが、この箱庭にも小さな幻が登場。モニュメンタルな地点でもない道端に潜む異界。これまでにはない展開にぞくぞくしました。

7月14日までの開催です。

「元田久治 東京」 アートフロントギャラリー@art_front
会期:6月21日(金)~7月14日(日)
休廊:月曜日
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:渋谷区猿楽町29-18ヒルサイドテラスA棟
交通:東急東横線代官山駅より徒歩5分。
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