都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「美の競演 京都画壇と神坂雪佳」 日本橋高島屋8階ホール
日本橋高島屋8階ホール
「美の競演 京都画壇と神坂雪佳ー100年の時を超えてー京都市美術館・細見美術館コレクションより」
5/29-6/10
日本橋高島屋8階ホールで開催中の「美の競演 京都画壇と神坂雪佳」へ行ってきました。
竹内栖鳳、上村松園、菊池契月らといった京都画壇の日本画家たち。一方で琳派の感覚を近代へ呼び込んだ神坂雪佳。ともに別の立場から作品なり画業を切り込む機会こそあったものの、同時に比べられることは稀。実際に殆ど行われたことはありませんでした。
接点はもちろん京都。そして奇しくも2012年は栖鳳と雪佳が没後70年を迎えた年。同時代の画家であります。
[展覧会の構成]
・四季の移ろい
・いにしえの京美人 今様の京美人
・和歌の美 吉祥の美
・装いの美
・愛しき所 愛おしきもの
というわけで京都画壇の画家と神坂雪佳の作品が一堂に。作風の差異はもちろん、むしろジャンルを超えて共通する美意識などを探る仕掛けとなっていました。
さてこの展覧会、一つ重要なポイントが。それが京都市美術館から多数の近代日本画がやってきていることです。
堂本印象「婦女」 京都市美術館
雪佳はどちらかというとお目にかかることの多い細見美術館のコレクション。一方で京都画壇はなかなか関東で見られない京都市美術館の所蔵品。とりわけ美人画が殊更に充実しています。
まずは竹内栖鳳の「絵になる最初」。裸のモデルが恥じらう姿を描いた有名作。少し赤らんだ肌にあらぬ方向を見やる視線。心の一瞬の動きを捉えた力作です。
上村松園「朝日」 京都市美術館
そして上村松園の「待月」。橋の上で振り返って立つ女性。手には団扇。衣の透け表現も松園の得意とするところです。
さらには中村大三郎の「ピアノ」も。屏風に描かれたのは大きなグランドピアノを演奏する振り袖姿の女性。楽譜はシューマン。ペダルは草履で踏んでいます。その他には北野恒富の「浴後」なども心に留まる一枚。京市美の近代日本画を堪能出来ました。
神坂雪佳「十二ヶ月草花図(6月)」 細見美術館
さて雪佳はどうでしょうか。お馴染みの「百々世草」は3面の公開です。また金地に文字通りカキツバタを配した「杜若図屏風」、さらには額装の「十二ヶ月草花図」に代表作の「金魚玉図」も。さすがの細見コレクション。雪佳名品展としても申し分ありません。
竹内栖鳳「清閑」(部分) 京都市美術館
最後に雪佳と京都画壇の対比についても少し。美人画において雪佳は歴史や文学に登場する女性を求めたのに対し、京都画壇の画家たちはまさしく京都の今、近代人としての女性を描いたとか。また雪佳は例えば動物をモチーフにする際、あくまでも小画面へ可愛らしく描いたのに対して、京都画壇はいかに動物を写実的に捉えるのかに取り組んだそうです。
上村松園「人生の花」(部分) 京都市美術館
もちろん多様な画家たちのこと、画風も一筋縄ではありませんが、雪佳と対比することで、改めて開けてくるものもあるやもしれません。
また高島屋資料館から特別に出品された栖鳳の杉戸絵「雀・鶏の図」や、雪佳の「光琳風草花」などの見どころも。初見の作品も少なくありませんでした。
「神坂雪佳の世界ー琳派からモダンデザインへの架け橋/平凡社」
6月10日まで開催されています。会期は短めです。ご注意下さい。
「美の競演 京都画壇と神坂雪佳ー100年の時を超えてー京都市美術館・細見美術館コレクションより」 日本橋高島屋8階ホール
会期:5月29日(水)~6月10日(月)
休館:会期中無休。
時間:10:00~20:00 *入場は閉場の30分前まで。最終日は18時閉場。
料金:一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋8階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
「美の競演 京都画壇と神坂雪佳ー100年の時を超えてー京都市美術館・細見美術館コレクションより」
5/29-6/10
日本橋高島屋8階ホールで開催中の「美の競演 京都画壇と神坂雪佳」へ行ってきました。
竹内栖鳳、上村松園、菊池契月らといった京都画壇の日本画家たち。一方で琳派の感覚を近代へ呼び込んだ神坂雪佳。ともに別の立場から作品なり画業を切り込む機会こそあったものの、同時に比べられることは稀。実際に殆ど行われたことはありませんでした。
接点はもちろん京都。そして奇しくも2012年は栖鳳と雪佳が没後70年を迎えた年。同時代の画家であります。
[展覧会の構成]
・四季の移ろい
・いにしえの京美人 今様の京美人
・和歌の美 吉祥の美
・装いの美
・愛しき所 愛おしきもの
というわけで京都画壇の画家と神坂雪佳の作品が一堂に。作風の差異はもちろん、むしろジャンルを超えて共通する美意識などを探る仕掛けとなっていました。
さてこの展覧会、一つ重要なポイントが。それが京都市美術館から多数の近代日本画がやってきていることです。
堂本印象「婦女」 京都市美術館
雪佳はどちらかというとお目にかかることの多い細見美術館のコレクション。一方で京都画壇はなかなか関東で見られない京都市美術館の所蔵品。とりわけ美人画が殊更に充実しています。
まずは竹内栖鳳の「絵になる最初」。裸のモデルが恥じらう姿を描いた有名作。少し赤らんだ肌にあらぬ方向を見やる視線。心の一瞬の動きを捉えた力作です。
上村松園「朝日」 京都市美術館
そして上村松園の「待月」。橋の上で振り返って立つ女性。手には団扇。衣の透け表現も松園の得意とするところです。
さらには中村大三郎の「ピアノ」も。屏風に描かれたのは大きなグランドピアノを演奏する振り袖姿の女性。楽譜はシューマン。ペダルは草履で踏んでいます。その他には北野恒富の「浴後」なども心に留まる一枚。京市美の近代日本画を堪能出来ました。
神坂雪佳「十二ヶ月草花図(6月)」 細見美術館
さて雪佳はどうでしょうか。お馴染みの「百々世草」は3面の公開です。また金地に文字通りカキツバタを配した「杜若図屏風」、さらには額装の「十二ヶ月草花図」に代表作の「金魚玉図」も。さすがの細見コレクション。雪佳名品展としても申し分ありません。
竹内栖鳳「清閑」(部分) 京都市美術館
最後に雪佳と京都画壇の対比についても少し。美人画において雪佳は歴史や文学に登場する女性を求めたのに対し、京都画壇の画家たちはまさしく京都の今、近代人としての女性を描いたとか。また雪佳は例えば動物をモチーフにする際、あくまでも小画面へ可愛らしく描いたのに対して、京都画壇はいかに動物を写実的に捉えるのかに取り組んだそうです。
上村松園「人生の花」(部分) 京都市美術館
もちろん多様な画家たちのこと、画風も一筋縄ではありませんが、雪佳と対比することで、改めて開けてくるものもあるやもしれません。
また高島屋資料館から特別に出品された栖鳳の杉戸絵「雀・鶏の図」や、雪佳の「光琳風草花」などの見どころも。初見の作品も少なくありませんでした。
「神坂雪佳の世界ー琳派からモダンデザインへの架け橋/平凡社」
6月10日まで開催されています。会期は短めです。ご注意下さい。
「美の競演 京都画壇と神坂雪佳ー100年の時を超えてー京都市美術館・細見美術館コレクションより」 日本橋高島屋8階ホール
会期:5月29日(水)~6月10日(月)
休館:会期中無休。
時間:10:00~20:00 *入場は閉場の30分前まで。最終日は18時閉場。
料金:一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋8階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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