都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「レオ・レオニ展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
Bunkamura ザ・ミュージアム
「レオ・レオニ 絵本のしごと」
6/22-8/4

Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「レオ・レオニ 絵本のしごと」のプレスプレビューに参加してきました。
金魚の「スイミー」にねずみの「フレデリック」、そして尺取り虫の「ひとあしひとあし」など、数多くの絵本を制作した作家、レオ・レオニ(1910~1999)。今、彼の作品世界を紹介する一大回顧展がBunkamuraザ・ミュージアムで行われています。

「フレデリック」1967年
それこそ教科書にも掲載されているレオニの絵本。その魅力は良く知られているところですが、展覧会を追いかけると彼の優れた作画技術なりメッセージがより浮き彫りに。一口に可愛らしい絵本と言えども、そこからは社会を見つめ、人を見つめ続けたレオニの人となりも伝わってきます。
では早速、レオニの原点から。生まれは1910年のオランダ、ユダヤ人です。イタリアへ渡りグラフィックデザイナーとして活躍するも、第二次世界大戦のため1939年にアメリカへ亡命。そこで初めて絵本の制作に取りかかります。ちなみにデビュー作は1959年の「あおくんときいろちゃん」。レオニ49歳。絵本作家としては遅咲きです。
しかしながらレオニが長らくデザイナーとしてキャリアを重ねていたというのが極めて重要。というのも、彼の絵本における色のセンス。これが実に絶妙なのです。

「マシューのゆめ」1991年
例えば「マシューのゆめ」。絵描きのねずみの物語ですが、この鮮やかな色の舞い。まさにカラリスト、「色の魔術師」に相応しい世界。鮮やかです。
また作画においても単に水彩を施すだけでなく、切り紙を貼ってコラージュをしたり、色鉛筆を用いたりするなどして、多様な質感を生み出しているのも特徴。中にはテンペラを使った作品も。これらは実物の原画を見ないと分かりません。
また「ペツェッティーノ」はどうでしょうか。自分を誰かのかけらだと思っているペツェッティーノの旅、そこに描かれているのは色のモザイク。高いデザイン性。まるで抽象です。

「ペツェッティーノ」1975年
なお「ペツェッティーノ」しかり、レオニの作品には、小さな生き物へ強い愛情が向けられているのもポイント。小さな主人公が自分らしさを如何に獲得していくのか。そうしたストーリーの絵本も目立ちます。

「はまべにはいしがいっぱい」1961年
また時に特異ともいえるレオニーの眼差しも。一例が「はまべにはいしがいっぱい」。小さな無数の小石を鉛筆のデッサンで描いたというシリーズです。
レオニは子どもの頃、ガラス容器の中に石ころや苔などを入れて『箱庭』を作り、そこにトカゲやカタツムリなどを飼っていたとか。「私の絵本の主人公は、昔、ガラスの飼育器に棲んでいたカエルやネズミ、トゲウオ、カメ、カタツムリ、チョウと同じなのです」という言葉も残しています。

「どうするティリー?」1989年
また社会的なテーマをかかげた作品も。野ねずみのティリーが立ちはだかる壁を超える「どうするティリー?」は、ベルリンの壁が崩壊した時の絵本。ティリーは統合ドイツのシンボルでもあります。

Swimmy 1963 by Leo Lionni, renewed 1991/Pantheon Semitransparent Design
さて日本で最も有名な金魚の「スイミー」の物語。残念ながら原画の多くは行方不明とのことですが、そのかわりに映像スクリーンを用いたインタラクティブな仕掛けも。手を伸ばして全身で楽しめます。

レオ・レオニ展会場風景
国内で発行されたレオニの絵本が全て揃う絵本コーナーも充実。その数は約40冊。また子ども向けの小さな椅子とテーブルも準備。さすがの演出です。ついつい長居してしまいそう!

Copyright 2013 by Blueandyellow,LLC Licensed by Cosmo Merchandsing
さらにグッズもご覧の通り。少なくとも私の知る限りではBunkamura史上最大級の広さ。会場でしか手に入らないオリジナルも揃っています。
「スイミー ちいさなかしこいさかなのはなし/レオ・レオニ/好学社」
初日から盛況と聞きました。会期末にかけてはかなり混雑してくるかもしれません。ともかくはお早めにどうぞ。
8月4日まで開催されています。
「レオ・レオニ 絵本のしごと」 Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:6月22日(土)~8月4日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00。毎週金・土は21:00まで開館。入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300(1100)円、大学・高校生900(700)円、中学・小学生600(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要電話予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
「レオ・レオニ 絵本のしごと」
6/22-8/4

Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「レオ・レオニ 絵本のしごと」のプレスプレビューに参加してきました。
金魚の「スイミー」にねずみの「フレデリック」、そして尺取り虫の「ひとあしひとあし」など、数多くの絵本を制作した作家、レオ・レオニ(1910~1999)。今、彼の作品世界を紹介する一大回顧展がBunkamuraザ・ミュージアムで行われています。

「フレデリック」1967年
それこそ教科書にも掲載されているレオニの絵本。その魅力は良く知られているところですが、展覧会を追いかけると彼の優れた作画技術なりメッセージがより浮き彫りに。一口に可愛らしい絵本と言えども、そこからは社会を見つめ、人を見つめ続けたレオニの人となりも伝わってきます。
では早速、レオニの原点から。生まれは1910年のオランダ、ユダヤ人です。イタリアへ渡りグラフィックデザイナーとして活躍するも、第二次世界大戦のため1939年にアメリカへ亡命。そこで初めて絵本の制作に取りかかります。ちなみにデビュー作は1959年の「あおくんときいろちゃん」。レオニ49歳。絵本作家としては遅咲きです。
しかしながらレオニが長らくデザイナーとしてキャリアを重ねていたというのが極めて重要。というのも、彼の絵本における色のセンス。これが実に絶妙なのです。

「マシューのゆめ」1991年
例えば「マシューのゆめ」。絵描きのねずみの物語ですが、この鮮やかな色の舞い。まさにカラリスト、「色の魔術師」に相応しい世界。鮮やかです。
また作画においても単に水彩を施すだけでなく、切り紙を貼ってコラージュをしたり、色鉛筆を用いたりするなどして、多様な質感を生み出しているのも特徴。中にはテンペラを使った作品も。これらは実物の原画を見ないと分かりません。
また「ペツェッティーノ」はどうでしょうか。自分を誰かのかけらだと思っているペツェッティーノの旅、そこに描かれているのは色のモザイク。高いデザイン性。まるで抽象です。

「ペツェッティーノ」1975年
なお「ペツェッティーノ」しかり、レオニの作品には、小さな生き物へ強い愛情が向けられているのもポイント。小さな主人公が自分らしさを如何に獲得していくのか。そうしたストーリーの絵本も目立ちます。

「はまべにはいしがいっぱい」1961年
また時に特異ともいえるレオニーの眼差しも。一例が「はまべにはいしがいっぱい」。小さな無数の小石を鉛筆のデッサンで描いたというシリーズです。
レオニは子どもの頃、ガラス容器の中に石ころや苔などを入れて『箱庭』を作り、そこにトカゲやカタツムリなどを飼っていたとか。「私の絵本の主人公は、昔、ガラスの飼育器に棲んでいたカエルやネズミ、トゲウオ、カメ、カタツムリ、チョウと同じなのです」という言葉も残しています。

「どうするティリー?」1989年
また社会的なテーマをかかげた作品も。野ねずみのティリーが立ちはだかる壁を超える「どうするティリー?」は、ベルリンの壁が崩壊した時の絵本。ティリーは統合ドイツのシンボルでもあります。

Swimmy 1963 by Leo Lionni, renewed 1991/Pantheon Semitransparent Design
さて日本で最も有名な金魚の「スイミー」の物語。残念ながら原画の多くは行方不明とのことですが、そのかわりに映像スクリーンを用いたインタラクティブな仕掛けも。手を伸ばして全身で楽しめます。

レオ・レオニ展会場風景
国内で発行されたレオニの絵本が全て揃う絵本コーナーも充実。その数は約40冊。また子ども向けの小さな椅子とテーブルも準備。さすがの演出です。ついつい長居してしまいそう!

Copyright 2013 by Blueandyellow,LLC Licensed by Cosmo Merchandsing
さらにグッズもご覧の通り。少なくとも私の知る限りではBunkamura史上最大級の広さ。会場でしか手に入らないオリジナルも揃っています。

初日から盛況と聞きました。会期末にかけてはかなり混雑してくるかもしれません。ともかくはお早めにどうぞ。
8月4日まで開催されています。
「レオ・レオニ 絵本のしごと」 Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:6月22日(土)~8月4日(日)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00。毎週金・土は21:00まで開館。入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300(1100)円、大学・高校生900(700)円、中学・小学生600(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要電話予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )