都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
6/15(土)「虞美人草図屏風」を逆さで展示!(夏目漱石の美術世界展)
東京藝術大学大学美術館で開催中の「夏目漱石の美術世界展」。

「夏目漱石の美術世界展」@東京藝術大学大学美術館(プレビュー記事)
プレビュー記事にも触れましたが、漱石と美術の関わりを紹介する展覧会。漱石本人と直接関わる作品はもとより、小説中に引用された美術品が数多く展示されています。
そしてこの展覧会の一つポイントとなるのが、漱石が小説中に引用するため、架空に生み出した美術作品を再現する試みが行われていることです。それが荒井桂の「酒井抱一 虞美人草図屏風(推定試作)」。いうまでもなく虞美人草のラスト、藤尾の枕元で逆さに置かれた屏風です。

荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年
逆に立てたのは二つ折りの銀屏である。一面に冴え返る月の色の方六尺のなかに、会釈もなく緑青を使って、柔婉なる茎を乱るるばかりに描た。不規則にぎざぎざを畳む鋸葉を描た。緑青の尽きる茎の頭には、薄い弁を掌ほどの大きさに描た。(略)色は赤に描た。紫に描た。凡てが銀の中から生える。銀の中に咲く。落つるも銀の中と思わせる程に描いた。花は虞美人草である。落款は抱一である。*夏目漱石「虞美人草」より
漱石は藤尾を半ば虞美人草に暗示。テキストには抱一の描いた二つ折りの銀屏風を描写しました。
しかしながらこの屏風が実際に抱一の描いたものであるかどうかは現時点で否定的。と言うのも、抱一がこの手の銀屏風を描いた記録はおろか、作品自体も残っていないからです。
それを東京藝術大学文化財保存学専攻准教授の荒井桂さんが今に再現。一度は完成作をボツにするなど試行錯誤の上、この「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」を出品しました。
実はプレビュー時に一度、逆さにして公開されましたが、会期中では通常通り、逆さにしないでの展示。それが6/15(土)のみ逆さなって展示されます。

荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年(逆さにする作業)
逆さにすることで変化する光や色の表情。漱石が藤尾にこめた思いは如何に。ともかくも逆さを肉眼で確認出来るのは明日だけです。
「夏目漱石の美術世界展 出品リスト」@東京藝術大学(PDF)
既に会期も残り一ヶ月を切りました。いくつかの作品も入れ替わっています。まだご覧になっていない方も、この『逆さ展示』を機会に「夏目漱石の美術世界展」は如何でしょうか。

J.W.ウォーターハウス「シャロットの女」1894年 リーズ市立美術館
Leeds Museums and Galleries (Leeds Art Gallery)
6/18(火)にはBS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」(20:00~20:54放送)でも紹介されるそうです。こちらも要チェックです!
「夏目漱石の美術世界展」 東京藝術大学大学美術館
会期:5月14日(火)~7月7日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般1500(1200)円、高校・大学生1000(700)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。

「夏目漱石の美術世界展」@東京藝術大学大学美術館(プレビュー記事)
プレビュー記事にも触れましたが、漱石と美術の関わりを紹介する展覧会。漱石本人と直接関わる作品はもとより、小説中に引用された美術品が数多く展示されています。
そしてこの展覧会の一つポイントとなるのが、漱石が小説中に引用するため、架空に生み出した美術作品を再現する試みが行われていることです。それが荒井桂の「酒井抱一 虞美人草図屏風(推定試作)」。いうまでもなく虞美人草のラスト、藤尾の枕元で逆さに置かれた屏風です。

荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年
逆に立てたのは二つ折りの銀屏である。一面に冴え返る月の色の方六尺のなかに、会釈もなく緑青を使って、柔婉なる茎を乱るるばかりに描た。不規則にぎざぎざを畳む鋸葉を描た。緑青の尽きる茎の頭には、薄い弁を掌ほどの大きさに描た。(略)色は赤に描た。紫に描た。凡てが銀の中から生える。銀の中に咲く。落つるも銀の中と思わせる程に描いた。花は虞美人草である。落款は抱一である。*夏目漱石「虞美人草」より
漱石は藤尾を半ば虞美人草に暗示。テキストには抱一の描いた二つ折りの銀屏風を描写しました。
しかしながらこの屏風が実際に抱一の描いたものであるかどうかは現時点で否定的。と言うのも、抱一がこの手の銀屏風を描いた記録はおろか、作品自体も残っていないからです。
それを東京藝術大学文化財保存学専攻准教授の荒井桂さんが今に再現。一度は完成作をボツにするなど試行錯誤の上、この「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」を出品しました。
実はプレビュー時に一度、逆さにして公開されましたが、会期中では通常通り、逆さにしないでの展示。それが6/15(土)のみ逆さなって展示されます。

荒井桂「酒井抱一作 虞美人草図屏風(推定試作)」2013年(逆さにする作業)
逆さにすることで変化する光や色の表情。漱石が藤尾にこめた思いは如何に。ともかくも逆さを肉眼で確認出来るのは明日だけです。
「夏目漱石の美術世界展 出品リスト」@東京藝術大学(PDF)
既に会期も残り一ヶ月を切りました。いくつかの作品も入れ替わっています。まだご覧になっていない方も、この『逆さ展示』を機会に「夏目漱石の美術世界展」は如何でしょうか。

J.W.ウォーターハウス「シャロットの女」1894年 リーズ市立美術館
Leeds Museums and Galleries (Leeds Art Gallery)
6/18(火)にはBS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」(20:00~20:54放送)でも紹介されるそうです。こちらも要チェックです!
「夏目漱石の美術世界展」 東京藝術大学大学美術館
会期:5月14日(火)~7月7日(日)
休館:月曜日
時間:10:00~17:00 *入館は16時半まで。
料金:一般1500(1200)円、高校・大学生1000(700)円、中学生以下は無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園12-8
交通:JR線上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩10分。京成上野駅、東京メトロ日比谷線・銀座線上野駅より徒歩15分。
注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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