「木村恒介展 光素(エーテル)の呼吸」 LIXILギャラリー

LIXILギャラリー
「クリエイションの未来展 第1回清水敏男監修 木村恒介展ー光素(エーテル)の呼吸」
9/4-11/24



LIXILギャラリーで開催中の「クリエイションの未来展 木村恒介ー光素(エーテル)の呼吸」を見て来ました。

いつものリクシルのホワイトキューブ、毎度の展示に足を運んでいるつもりの私ですが、今回ほど言わば奇妙な感覚を受けたことはなかったかもしれません。

何はともあれ会場の様子をご紹介しましょう。



ずばりミラーです。ちょうど展示室の中央部分でしょうか。ほぼ天井までの高さのあるミラーが行く手を遮るかのように並んでいます。まるで衝立てです。その先には進めません。

ともかくミラー、どの場所に立っても自分の姿が映り込む。ほかはガランとした展示室が同じように映るだけです。何か仕掛けでもあるものかと行き来するも、やはり映るのは自分の姿のみ。ミラーの前へ限りなく近づき、また遠ざかってみる。自分の姿を全身でミラーで見やるのは恥ずかしいものです。ふと我に返って会場を後にしようと出口の方へ向かいました。



ただどうしても何かが気になります。ミラーから少し離れた場所に3つの椅子が置いてありました。そこに腰をかけてみます。するとあることに気がついたのです。



ネタバレになってしまうので細かくは触れません。仕掛けは驚くほどシンプルです。何か凝ったったことが起こっているわけでもありません。ただしそれが生み出す効果はなかなか面白い。視覚を揺さぶります。ミラーは普段、何気なく見えているようで、実は見落としがちな現実を改めて気がつかせる装置とも言えるのかもしれません。

ところこのミラーの仕掛け、とある展示を思い出しました。2010年の松戸アートラインプロジェクトです。


木村恒介「ゆれる景色の先に」旧・原田米店母屋 *「松戸アートラインプロジェクト」(2010)での展示風景

その際は古い日本家屋にミラーを持ち込んでのインスタレーションを展開。室内に「ゆれる景色」ならぬ一種の歪みをもたらしていました。

「松戸アートラインプロジェクト2010」 松戸駅西口周辺(はろるど)

なお木村はそもそも「風景とはなにか」を制作のテーマとしているそうです。もう一室のギャラリーでは風景を半ば抽象化した平面のプリントを展示。モチーフは時間差で捉えた銀座です。いずれも美しく輝かしいストライプが広がっています。もはや建物も人も何らの形もありません。銀座の街の色と光のみが写し出されていました。



さて「クリエイションの未来展」はこの9月より新たに始まった連続シリーズ展です。以下の4名のクリエイターを監修者に迎え、各テーマの設定のもと、約3ヶ月毎に異なる展覧会が開催されます。

[監修クリエイター]
清水敏男(アートディレクター)、宮田亮平(金工作家)、伊東豊雄(建築家)、隈研吾(建築家)

第1弾の監修者は清水敏男。美術評論家で学習院女子大学の教授です。かつては水戸芸術館現代美術センターの芸術監督などをつとめ、現在は展覧会やイベントのプロデュースなどを行うアートディレクターでもあります。

伊東や隈などの名だたる建築家も監修をつとめる新シリーズ展。今後のリクシルギャラリーにも期待出来るのではないでしょうか。

11月24日まで開催されています。

「クリエイションの未来展 第1回清水敏男監修 木村恒介展ー光素(エーテル)の呼吸」」 LIXILギャラリー
会期:9月4日(木)~11月24日(月)
休廊:水曜日。11月23日。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
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