「ジオ・ポンティの世界展」 LIXILギャラリー

LIXILギャラリー
「建築の皮膚と体温 イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界展」 
9/4-11/22



LIXILギャラリーで開催中の「建築の皮膚と体温 イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界展」を見て来ました。

1891年にイタリアで生まれ、陶磁器メーカーのリチャード・ジノリのディレクターを務めた後、陶器や食器のデザイン、さらにビルの設計までを手がけたデザイナー、ジオ・ポンティ。

うち建築家としての業績に注目します。会場内、撮影が可能でした。

さて内容に入る前に少し気になっていたことを一つ。それはタイトルです。「建築の皮膚と体温」。何やら意味深です。一体どのようなイメージが浮かんでくるでしょうか。


「建築の皮膚と体温 ジオ・ポンティの世界展」会場風景

実のところ私自身も展示を見るまではあまり意識せずにいました。しかしながら「皮膚と体温」のキーワードは重要でもある。ずばり「皮膚」とは建築物の外壁などの表面、そして「温度」とはそこにポンティが与えた温もりという意味であったのです。

ポンティの「皮膚」を具体的に見ていきましょう。タイルです。ポンティは建築の外壁においてタイルを多く用いています。陶磁器メーカーのディレクションの経験を活かしての業とも言えるかもしれません。


「ビエンコルフ・ショッピングセンター(オランダ・アイントホーフェン)」のファサードのタイル

例えばオランダのショッピングセンターです。ここでもファサードにタイルを貼っていますが、凹凸のデザインはエッジも効いていて美しい。またうっすら青みを帯びた深いグリーンも味わい深いもの。思わず手で触りたくなってしまいます。


「ホテル・パルコ・ディ・プリンチピ」のための床タイル

床にも注目です。こちらもタイル、イタリアの「ホテル・パルコ・ディ・プリンチピ」のためにデザインされたもの。全部で30種類の幾何学模様を組み合わせています。

ポンティは「建築の秩序は床からはじまる。」と捉え、その上で床を「建築を完成させるすべての可動なもの(家具)と生きるもの(人を含む)が、その上で試合を交わすチェス盤」だと考えていました。*「」内はキャプションより

ちなみに2008年に当時のINAX(現リクシル)がポンティの設計した「サン・フランチェスコ教会」の外壁タイルを復原した実績があるとか。それが切っ掛けで本展が実現したそうです。


ガッビアネッリ社「床タイルの再現」1956年 パオロ・ロッセッリ

ゆえに会場内にはポンティデザインの再現タイルがずらり。6シリーズ、全11デザイン。言わばタイル展の様相すら呈しています。


彫刻作品「ロサンゼルスのカテドラルのための模型」1967年 ジオ・ポンティ アーカイヴス ほか

タイル以外で目を引くのはポンティのスケッチです。またロサンゼルスに設計したカテドラルの彫刻のモックアップもある。モチーフは天使です。建物のシンボルにもなりました。


「リチャード・ジノリ陶磁器会社(イタリア)の花器 『ALATO』」 個人蔵

さらにはインタビュー映像(一部翻訳付き)も面白い。そして若きポンティのデザインした陶磁器も数点展示されています。結局、彼は7年間リチャード・ジノリでアートディレクターをつとめました。


「ネコのオブジェ(シルバー)」 個人蔵

変わり種としては「ネコのオブジェ」も可愛らしいもの。おそらくは1950年代の試作品と考えられているそうです。


「ジオ・ポンティの世界展」会場風景

展示デザインをトラフ建築設計事務所が担当しています。「外壁」、「内壁」、「床」、「窓」をテーマにした回遊型のつくりです。ポンティの主に建築表現を効果的に伝えていたのではないでしょうか。

[同時開催中の展覧会]
「木村恒介展 光素(エーテル)の呼吸」 LIXILギャラリー(はろるど)

「建築の皮膚と体温ーイタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界/LIXIL出版」

11月22日まで開催されています。

「建築の皮膚と体温 イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界展」 LIXILギャラリー
会期:9月4日(木)~11月22日(土)
休廊:水曜日。11月23日。
時間:10:00~18:00
住所:中央区京橋3-6-18 LIXIL:GINZA2階
交通:東京メトロ銀座線京橋駅より徒歩1分、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅7番出口より徒歩3分、都営浅草線宝町駅より徒歩3分、JR線有楽町駅より徒歩7分
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