都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「四時から飲み」 とんぼの本(新潮社)
新潮社とんぼの本の「四時から飲みーぶらり隠れ酒散歩」を読んでみました。
「四時から飲み/林家正蔵/とんぼの本」
明るいうちからお酒を飲んだことがありますか?
何度かブログでも触れたことがありますが、私自身、ひょっとすると美術よりも好きかもしれないお酒。これまでにも時に人があきれるほど酒を飲み、また飲まれてきたつもりですが、さすがに昼間の明るいうちから飲む機会は滅多にありません。
例えば平日に飲み会などがスタートするには早くても夜七時、お休みの日はもう少し前倒しして六時頃でしょうか。さらにたまに頑張って五時。とするとさらに遡って一時間、何故に四時なのか。まずはその四時という時間が妙に引っかかってしまいました。
結論からすると良い意味で言いくるめられました。そして私も今度は夕方四時からしずしずと飲もう。そんな気にさせられる一冊でもあります。
著者は噺家の林家正蔵さん。雑誌「東京人」に連載中の「ちょいとごめんなさいよ 四時からの悦楽」を再編集して刊行したもの。正蔵さんの「4時から酒」に関するスタンスに加え、都内津々浦々、夕方の四時でも飲める店が紹介されています。
では何故四時なのか。正蔵さんのテキストにあたってみましょう。
噺家という稼業をしていると、昼間の高座を終えれば、もう何の予定もなしなんて日がある。(略)家に帰って稽古をすればいいのだが、その気にもならず、(略)「一杯やろうか」という気持ちが浮かび上がる。(略)朝飲みは身上をつぶすし、ランチビールは気どりすぎ。後ろめたさと飲みたい気分をふるいにかけたら「四時飲み」がコロリと目の前に転がりでた。三時はおやつ、五時じゃあたり前。すると間をとって四時がいい。
いかがでしょうか。「三時はおやつ、五時じゃ当たり前。」と言われてしまえば、なるほど確かに四時だと納得してしまうのは、私のような飲んべえの悲しい性なのかもしれません。
もちろん実際に平日四時からお酒を飲むというのが難しいのは事実。その反面、夕方前から飲める店がいかに貴重であるのもまた事実です。しかも必ずしも昼間から飲める「せんべろ」、つまり1000円でベロベロに酔えるような店だけでもありません。いわゆる居酒屋にとどまらず、そば屋に中華に餃子、そしてフレンチからジャズバーまで、かなり幅広いジャンルの店がピックアップされています。
正蔵さんの地元は浅草、よって浅草界隈の店も目立ちます。冒頭は「水口食堂」。いわゆる有名な煮込みストリートの中のお店ではありません。そして総じてお酒よりもおつまみについて触れられているのも特徴です。またテキストも日記風。仕事を終えて電車に乗り、どこで降りてどういう店で飲んだのか。噺家の日常を捉えた軽妙なエッセイとしても楽しめます。
飲んべえとしては知らぬ者はいない北千住の「大はし」をはじめ、森下の「みの家」、東十条の「埼玉家」など、都心を除けば、下町の店が多いのも、千葉に住む私としては嬉しいところ。お店やおつまみの写真も雰囲気がある。浅草「むつみ」の小柱の釜めしに中野「第二力酒蔵」のキンキの煮付け。思わずよだれがこぼれてしまいます。
以前、拙ブログでもご紹介した「いま教わりたい和食」の平松洋子さんとの対談がありました。舞台は赤羽のまるます家総本店です。
「いま教わりたい和食 とんぼの本(新潮社)」(はろるど)
赤羽は言わば飲んべえの都内の聖地の一つ。その中でもまるます家は界隈随一の繁盛店、朝九時から飲めるというお店です。以前、私も赤羽を飲み歩いていた際に行きましたが、焼酎で流し込む鯉のあらいがまた美味しい。隣と肩が触れるほどに狭いコの字型カウンターも妙に居心地良かったことを覚えてます。
この対談で平松さん、四時飲みについてこんなことを仰っておられました。
「世間様に対して少し後ろめたくて、でもその後ろめたさも味のうち(笑)」
後ろめたさをあえて楽しみながらの夕方四時飲み、この一冊を片手に酒場なりへ繰り出してはいかがでしょうか。
「四時から飲み:ぶらり隠れ酒散歩/林家正蔵/とんぼの本」
「四時から飲みーぶらり隠れ酒散歩」 とんぼの本(新潮社)
内容:世間ではまだまだお仕事中の午後四時、頭をさげつつ飲む一杯の旨さ。後ろめたさも味のうち、だから四時飲みはやめられない!地元・谷根千の穴場から、銀座、浅草、はたまた酒飲みの聖地・赤羽まで。教えたくないとっておきの名店30をご紹介。「何処かの店のカウンターで四時過ぎにお会いするのを楽しみにしております」(林家正蔵)
著者:林家正蔵
価格:1728円
刊行:2014年9月
仕様:127頁
「四時から飲み/林家正蔵/とんぼの本」
明るいうちからお酒を飲んだことがありますか?
何度かブログでも触れたことがありますが、私自身、ひょっとすると美術よりも好きかもしれないお酒。これまでにも時に人があきれるほど酒を飲み、また飲まれてきたつもりですが、さすがに昼間の明るいうちから飲む機会は滅多にありません。
例えば平日に飲み会などがスタートするには早くても夜七時、お休みの日はもう少し前倒しして六時頃でしょうか。さらにたまに頑張って五時。とするとさらに遡って一時間、何故に四時なのか。まずはその四時という時間が妙に引っかかってしまいました。
結論からすると良い意味で言いくるめられました。そして私も今度は夕方四時からしずしずと飲もう。そんな気にさせられる一冊でもあります。
著者は噺家の林家正蔵さん。雑誌「東京人」に連載中の「ちょいとごめんなさいよ 四時からの悦楽」を再編集して刊行したもの。正蔵さんの「4時から酒」に関するスタンスに加え、都内津々浦々、夕方の四時でも飲める店が紹介されています。
では何故四時なのか。正蔵さんのテキストにあたってみましょう。
噺家という稼業をしていると、昼間の高座を終えれば、もう何の予定もなしなんて日がある。(略)家に帰って稽古をすればいいのだが、その気にもならず、(略)「一杯やろうか」という気持ちが浮かび上がる。(略)朝飲みは身上をつぶすし、ランチビールは気どりすぎ。後ろめたさと飲みたい気分をふるいにかけたら「四時飲み」がコロリと目の前に転がりでた。三時はおやつ、五時じゃあたり前。すると間をとって四時がいい。
いかがでしょうか。「三時はおやつ、五時じゃ当たり前。」と言われてしまえば、なるほど確かに四時だと納得してしまうのは、私のような飲んべえの悲しい性なのかもしれません。
もちろん実際に平日四時からお酒を飲むというのが難しいのは事実。その反面、夕方前から飲める店がいかに貴重であるのもまた事実です。しかも必ずしも昼間から飲める「せんべろ」、つまり1000円でベロベロに酔えるような店だけでもありません。いわゆる居酒屋にとどまらず、そば屋に中華に餃子、そしてフレンチからジャズバーまで、かなり幅広いジャンルの店がピックアップされています。
正蔵さんの地元は浅草、よって浅草界隈の店も目立ちます。冒頭は「水口食堂」。いわゆる有名な煮込みストリートの中のお店ではありません。そして総じてお酒よりもおつまみについて触れられているのも特徴です。またテキストも日記風。仕事を終えて電車に乗り、どこで降りてどういう店で飲んだのか。噺家の日常を捉えた軽妙なエッセイとしても楽しめます。
飲んべえとしては知らぬ者はいない北千住の「大はし」をはじめ、森下の「みの家」、東十条の「埼玉家」など、都心を除けば、下町の店が多いのも、千葉に住む私としては嬉しいところ。お店やおつまみの写真も雰囲気がある。浅草「むつみ」の小柱の釜めしに中野「第二力酒蔵」のキンキの煮付け。思わずよだれがこぼれてしまいます。
以前、拙ブログでもご紹介した「いま教わりたい和食」の平松洋子さんとの対談がありました。舞台は赤羽のまるます家総本店です。
「いま教わりたい和食 とんぼの本(新潮社)」(はろるど)
赤羽は言わば飲んべえの都内の聖地の一つ。その中でもまるます家は界隈随一の繁盛店、朝九時から飲めるというお店です。以前、私も赤羽を飲み歩いていた際に行きましたが、焼酎で流し込む鯉のあらいがまた美味しい。隣と肩が触れるほどに狭いコの字型カウンターも妙に居心地良かったことを覚えてます。
この対談で平松さん、四時飲みについてこんなことを仰っておられました。
「世間様に対して少し後ろめたくて、でもその後ろめたさも味のうち(笑)」
後ろめたさをあえて楽しみながらの夕方四時飲み、この一冊を片手に酒場なりへ繰り出してはいかがでしょうか。
「四時から飲み:ぶらり隠れ酒散歩/林家正蔵/とんぼの本」
「四時から飲みーぶらり隠れ酒散歩」 とんぼの本(新潮社)
内容:世間ではまだまだお仕事中の午後四時、頭をさげつつ飲む一杯の旨さ。後ろめたさも味のうち、だから四時飲みはやめられない!地元・谷根千の穴場から、銀座、浅草、はたまた酒飲みの聖地・赤羽まで。教えたくないとっておきの名店30をご紹介。「何処かの店のカウンターで四時過ぎにお会いするのを楽しみにしております」(林家正蔵)
著者:林家正蔵
価格:1728円
刊行:2014年9月
仕様:127頁
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )