都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」 ギャラリーαM
ギャラリーαM
「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」
8/30-9/27
ギャラリーαMで開催中の「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」を見て来ました。
一枚のDMしかり、写真画像では何とも作品の「生」の迫力を伝え難いものがあります。
1957年で神戸に生まれ、1985年には多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了。その後に国内外の美術館などで作品を発表してきた作家、井上雅之。
陶の作品だとは知っていました。しかしながら会場内に入った時に意表を突かれたのは私だけではなかったかもしれません。
というのも端的に作品が大きい。意外なまでに強い存在感があるのです。
井上雅之「K-953」1995年
例えば茶碗型の「K-953」、写真では伝わりにくいかもしれませんが、高さ1.5メートル近くある。内部も胸の辺りから覗き込む形になります。
井上雅之「K-953」(部分)1995年
そして興味深いのはこれらの陶、一つ一つのパーツに分かれていること。それをボルトのような留め具で繋いでは作品にしています。メカニック的とも言えるでしょうか。ようは陶片を組み立てては一つの作品へと仕上げているわけです。
井上雅之「K-953」(部分)1995年
さらに表面を見れば釉薬による変化もあります。爛れ、染み、そして皺が広がっては多様な紋様を描く。人間の皮膚、また動物の骨格をも思わせる感触。実に生々しい。さも有機物であるかのような印象を与えられます。
井上雅之「H-101」2010年
有機物といえば「H-101」、鳥の羽の一部のようなオブジェ、表面には釉薬でしょう。まるで血のように赤い色が広がっている。まるで太古の生物、それこそ恐竜の化石ようでもあります。
先の「K-953」は阪神淡路大震災の直後に制作されたそうです。そしてかの震災において作家は悲しいことにご両親を亡くされてしまいます。
それこそ瓦礫や残骸云々で捉えるべきものではないかもしれませんが、どこか遺物とも言えるような彫刻群。作家のそうした経験なりが踏まえられているのかもしれません。
「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」会場風景
αMのホワイトキューブとの相性も良いのではないでしょうか。地下空間に横たわる巨大な陶片。まるでここに長い時間眠っているかのようでした。
井上雅之「ドローイング」2014年/「マケット」2014年
素早い筆致によるドローイングも思いがけないほど魅力的です。これらのアイデアを元に立体作品が象られていくそうです。
9月27日まで開催されています。
「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」 ギャラリーαM(@gallery_alpham)
会期:8月30日(土)~9月27日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:11:00~19:00
住所:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
交通:都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩2分、JR線馬喰町駅西口2番出口より徒歩2分、東京メトロ日比谷線小伝馬町駅2、4番出口より徒歩6分。
「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」
8/30-9/27
ギャラリーαMで開催中の「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」を見て来ました。
一枚のDMしかり、写真画像では何とも作品の「生」の迫力を伝え難いものがあります。
1957年で神戸に生まれ、1985年には多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了。その後に国内外の美術館などで作品を発表してきた作家、井上雅之。
陶の作品だとは知っていました。しかしながら会場内に入った時に意表を突かれたのは私だけではなかったかもしれません。
というのも端的に作品が大きい。意外なまでに強い存在感があるのです。
井上雅之「K-953」1995年
例えば茶碗型の「K-953」、写真では伝わりにくいかもしれませんが、高さ1.5メートル近くある。内部も胸の辺りから覗き込む形になります。
井上雅之「K-953」(部分)1995年
そして興味深いのはこれらの陶、一つ一つのパーツに分かれていること。それをボルトのような留め具で繋いでは作品にしています。メカニック的とも言えるでしょうか。ようは陶片を組み立てては一つの作品へと仕上げているわけです。
井上雅之「K-953」(部分)1995年
さらに表面を見れば釉薬による変化もあります。爛れ、染み、そして皺が広がっては多様な紋様を描く。人間の皮膚、また動物の骨格をも思わせる感触。実に生々しい。さも有機物であるかのような印象を与えられます。
井上雅之「H-101」2010年
有機物といえば「H-101」、鳥の羽の一部のようなオブジェ、表面には釉薬でしょう。まるで血のように赤い色が広がっている。まるで太古の生物、それこそ恐竜の化石ようでもあります。
先の「K-953」は阪神淡路大震災の直後に制作されたそうです。そしてかの震災において作家は悲しいことにご両親を亡くされてしまいます。
それこそ瓦礫や残骸云々で捉えるべきものではないかもしれませんが、どこか遺物とも言えるような彫刻群。作家のそうした経験なりが踏まえられているのかもしれません。
「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」会場風景
αMのホワイトキューブとの相性も良いのではないでしょうか。地下空間に横たわる巨大な陶片。まるでここに長い時間眠っているかのようでした。
井上雅之「ドローイング」2014年/「マケット」2014年
素早い筆致によるドローイングも思いがけないほど魅力的です。これらのアイデアを元に立体作品が象られていくそうです。
9月27日まで開催されています。
「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」 ギャラリーαM(@gallery_alpham)
会期:8月30日(土)~9月27日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:11:00~19:00
住所:千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビルB1F
交通:都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩2分、JR線馬喰町駅西口2番出口より徒歩2分、東京メトロ日比谷線小伝馬町駅2、4番出口より徒歩6分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )