都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「未見の星座〈コンステレーション〉」 東京都現代美術館
東京都現代美術館
「未見の星座〈コンステレーション〉ーつながり/発見のプラクティス」
1/24-3/22
東京都現代美術館で開催中の「未見の星座〈コンステレーション〉ーつながり/発見のプラクティス」を見てきました。
この展覧会では、世界にばらまかれた点と点の「つながり」を発見し、新たな「星座」をつかまえようとする作家たちの試みを紹介します。*公式サイトより
作品や表現を通して、異なる場所や他者との関係などを問い直そうとする現代アーティストたち。出展は以下の7名でした。
[出品作家]
淺井裕介
伊藤久也
大凬のぶゆき
太田三郎
北川貴好
志村信裕
山本高之
太田三郎「バードネットー世界はつながっている」 2004年 撮影:岡部信幸
冒頭、いきなり星座でした。とは言え、何もプラネタリウムがあるわけではありません。切手です。太田三郎の「バードネット」は使用済の切手をバードネット、つまり防鳥用のネットで繋げたもの。切手がさも星座を描くように宙吊りになっています。切手が星、ネットの紐が星座の軌跡なのでしょうか。下から見上げると確かに星空を眺めているような気にさせられます。
美術館の内部へ潜入しました。北川貴好のインスタレーション、「境界を超え舟は巡回し、東京都現代美術館は現れる。」です。展示は回廊状です。観客は細い通路を進みます。両側には約50~60センチほどの木製の台がありました。水面を模しているのかもしれません。そして随所にはモニター。良く見ると、普段は入ることの出来ない美術館のバックヤードが映っています。
北川貴好「アカリノラウンジ 長者町の光」 2010年 (参考図版)
舟が館内の奥深くへと入りこむような映像が展開しました。まるで迷路です。次々とドアをあけては、中へ、さらに中へと進みます。まるで観客自身が舟の乗組員になっているかのようです。
ふと展示室を見やればサインシステムも記されていました。舟が巡る様は水路の街、木場という土地の記憶を手がかりにしたのだそうです。美術館の内部空間を展示室に現出させる仕掛け。現実の展示室とバーチャルの美術館内部、さらに土地の歴史や記憶が交差します。浅草のアサヒ・アートスクエアで見た「フロアランドスケープ」を思い出しました。探検隊になった気分を味わえるのではないでしょうか。
「北川貴好:フロアランドスケープ」 アサヒ・アートスクエア(はろるど)
志村信裕の2点の映像インスタレーションも感じ入るものがあります。
志村信裕「Dress」 2012年
「Dress」では天井からたくさんの細いリボンを吊るし、そこに映像を投影。まさに七色に光るカーテンです。眩しい光が展示室に満たされました。
一方「fountains」は床面での展開です。木の湯桶が置かれています。すると波打つ水の映像が現れました。また木漏れ日のような光も差し込みます。ちなみに「Dress」に映されたのは美術館の近辺、小名木川と隅田川が合流する地点の夕景だそうです。これらも昔は重要な水路として利用されていました。
湯桶もおそらくはかつて界隈に点在した銭湯のイメージを取り込んだものでしょう。北川同様、やはり美術館付近の水の歴史を組み入れています。清澄という土地の記憶に配慮しての作品、なかなか魅惑的でした。
ラストは泥絵でお馴染みの浅井裕介です。(浅井の展示室のみ撮影が出来ました。)
浅井裕介「全ての場所に命が宿る」 2011/2015年
長さ20メートルはあるという展示室を埋め尽くしたのは実に多種多様な生き物の姿。常に変化して増殖するモチーフは一つとして同じものがありません。
浅井裕介「全ての場所に命が宿る」 2011/2015年
素材は泥絵とあるように全て土です。しかもいずれも浅井自身が集めたという土、中には美術館の近隣の土も用いられているそうです。
浅井裕介「全ての場所に命が宿る」 2011/2015年
魑魅魍魎、それでいてどこか可愛らしい生き物たちの響宴。まるで鳴き声や話し声が聞こえてくるかのように賑やかです。いつもながらに楽しめました。
なお今回は「地域とつながるプログラム」として、美術館外で作品や展示する取り組みもなされています。
開館20周年プログラム「地域とつながるプログラムマップ」
事前申込が必要なプロジェクトもありますが、伊藤久也や浅井裕介は深川資料館通りの商店で一部の展示を行っています。またスタンプラリー付きのプログラムマップも配布されていました。帰りは資料館通りを歩いてみるのも良さそうです。
「gift_lab GARAGE LOUNGE & EXHIBIT」
なお余談ですが、清澄白河駅近く、清洲橋通り沿いに「gift_lab GARAGE LOUNGE & EXHIBIT」がオープンしました。
建物は清洲寮1階、築80年の建物をリノベーションしたカフェ&ギャラリーです。
「デザインユニットgift_が清澄白河に新拠点 カフェ&ギャラリーショップをオープン」(Fashionsnap.com)
中は広くありませんが、ミニショップのほか、手軽にコーヒーや軽食などをいただけるスペースもありました。なお今後はライブやワークショップなども予定されているそうです。また立ち寄りたいと思います。
浅井裕介「あつまって はなれていく」 2015年
3月22日まで開催されています。
「未見の星座〈コンステレーション〉ーつながり/発見のプラクティス」 東京都現代美術館(@MOT_art_museum)
会期:1月24日(土)~3月22日(日)
休館:月曜日。
時間:10:00~18:00。*入場は閉場の30分前まで。
料金:一般1100(880)円 、大学生・65歳以上800(640)円、中高生600(480)円、小学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*本展チケットで「MOTコレクション」も観覧可。「菅木志雄展」、「ガブリエル・オロスコ展」との2、3展セット券あり。(観覧料一覧)
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
「未見の星座〈コンステレーション〉ーつながり/発見のプラクティス」
1/24-3/22
東京都現代美術館で開催中の「未見の星座〈コンステレーション〉ーつながり/発見のプラクティス」を見てきました。
この展覧会では、世界にばらまかれた点と点の「つながり」を発見し、新たな「星座」をつかまえようとする作家たちの試みを紹介します。*公式サイトより
作品や表現を通して、異なる場所や他者との関係などを問い直そうとする現代アーティストたち。出展は以下の7名でした。
[出品作家]
淺井裕介
伊藤久也
大凬のぶゆき
太田三郎
北川貴好
志村信裕
山本高之
太田三郎「バードネットー世界はつながっている」 2004年 撮影:岡部信幸
冒頭、いきなり星座でした。とは言え、何もプラネタリウムがあるわけではありません。切手です。太田三郎の「バードネット」は使用済の切手をバードネット、つまり防鳥用のネットで繋げたもの。切手がさも星座を描くように宙吊りになっています。切手が星、ネットの紐が星座の軌跡なのでしょうか。下から見上げると確かに星空を眺めているような気にさせられます。
美術館の内部へ潜入しました。北川貴好のインスタレーション、「境界を超え舟は巡回し、東京都現代美術館は現れる。」です。展示は回廊状です。観客は細い通路を進みます。両側には約50~60センチほどの木製の台がありました。水面を模しているのかもしれません。そして随所にはモニター。良く見ると、普段は入ることの出来ない美術館のバックヤードが映っています。
北川貴好「アカリノラウンジ 長者町の光」 2010年 (参考図版)
舟が館内の奥深くへと入りこむような映像が展開しました。まるで迷路です。次々とドアをあけては、中へ、さらに中へと進みます。まるで観客自身が舟の乗組員になっているかのようです。
ふと展示室を見やればサインシステムも記されていました。舟が巡る様は水路の街、木場という土地の記憶を手がかりにしたのだそうです。美術館の内部空間を展示室に現出させる仕掛け。現実の展示室とバーチャルの美術館内部、さらに土地の歴史や記憶が交差します。浅草のアサヒ・アートスクエアで見た「フロアランドスケープ」を思い出しました。探検隊になった気分を味わえるのではないでしょうか。
「北川貴好:フロアランドスケープ」 アサヒ・アートスクエア(はろるど)
志村信裕の2点の映像インスタレーションも感じ入るものがあります。
志村信裕「Dress」 2012年
「Dress」では天井からたくさんの細いリボンを吊るし、そこに映像を投影。まさに七色に光るカーテンです。眩しい光が展示室に満たされました。
一方「fountains」は床面での展開です。木の湯桶が置かれています。すると波打つ水の映像が現れました。また木漏れ日のような光も差し込みます。ちなみに「Dress」に映されたのは美術館の近辺、小名木川と隅田川が合流する地点の夕景だそうです。これらも昔は重要な水路として利用されていました。
湯桶もおそらくはかつて界隈に点在した銭湯のイメージを取り込んだものでしょう。北川同様、やはり美術館付近の水の歴史を組み入れています。清澄という土地の記憶に配慮しての作品、なかなか魅惑的でした。
ラストは泥絵でお馴染みの浅井裕介です。(浅井の展示室のみ撮影が出来ました。)
浅井裕介「全ての場所に命が宿る」 2011/2015年
長さ20メートルはあるという展示室を埋め尽くしたのは実に多種多様な生き物の姿。常に変化して増殖するモチーフは一つとして同じものがありません。
浅井裕介「全ての場所に命が宿る」 2011/2015年
素材は泥絵とあるように全て土です。しかもいずれも浅井自身が集めたという土、中には美術館の近隣の土も用いられているそうです。
浅井裕介「全ての場所に命が宿る」 2011/2015年
魑魅魍魎、それでいてどこか可愛らしい生き物たちの響宴。まるで鳴き声や話し声が聞こえてくるかのように賑やかです。いつもながらに楽しめました。
なお今回は「地域とつながるプログラム」として、美術館外で作品や展示する取り組みもなされています。
開館20周年プログラム「地域とつながるプログラムマップ」
事前申込が必要なプロジェクトもありますが、伊藤久也や浅井裕介は深川資料館通りの商店で一部の展示を行っています。またスタンプラリー付きのプログラムマップも配布されていました。帰りは資料館通りを歩いてみるのも良さそうです。
「gift_lab GARAGE LOUNGE & EXHIBIT」
なお余談ですが、清澄白河駅近く、清洲橋通り沿いに「gift_lab GARAGE LOUNGE & EXHIBIT」がオープンしました。
建物は清洲寮1階、築80年の建物をリノベーションしたカフェ&ギャラリーです。
「デザインユニットgift_が清澄白河に新拠点 カフェ&ギャラリーショップをオープン」(Fashionsnap.com)
中は広くありませんが、ミニショップのほか、手軽にコーヒーや軽食などをいただけるスペースもありました。なお今後はライブやワークショップなども予定されているそうです。また立ち寄りたいと思います。
浅井裕介「あつまって はなれていく」 2015年
3月22日まで開催されています。
「未見の星座〈コンステレーション〉ーつながり/発見のプラクティス」 東京都現代美術館(@MOT_art_museum)
会期:1月24日(土)~3月22日(日)
休館:月曜日。
時間:10:00~18:00。*入場は閉場の30分前まで。
料金:一般1100(880)円 、大学生・65歳以上800(640)円、中高生600(480)円、小学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
*本展チケットで「MOTコレクション」も観覧可。「菅木志雄展」、「ガブリエル・オロスコ展」との2、3展セット券あり。(観覧料一覧)
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分、都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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