都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」 資生堂ギャラリー
資生堂ギャラリー
「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」
3/6-3/29

資生堂ギャラリーで開催中の「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」を見てきました。

地下へ向かう階段途中、唐突にあるのは一本の止まり木です。何故にギャラリーにあるのでしょうか。そう漠然と思いながら、さらに先へと進んでみました。

するとメインのフロアもいつもと様子が異なっています。というのもまず受付のカウンターからして展示室内に設置されているのです。さらに傘立てやパンフレットや冊子類を置くラックの上にも、何やら「作品」が置かれていました。

また床面に散るのは色とりどりのスーパーボール。そしてともかく目立つのは材木、木の枝です。木製の台のようなものを支持体にして上へ上へとのびる。途中で組み合わされた枝の束は時に巣のようにも見えます。一部は傘立てにも差し込まれていました。

結論から言うと止まり木は鳥のためのもの。何と一羽のムクドリが放し飼いにされています。
1980年に宮城県で生まれ、東京造形大学大学院造形研究科の修士課程を修了した作家、狩野哲郎。「既製の様々な事物や自然物を本来の文脈から切り離し、新しい風景を生み出す」。(ギャラリーサイトより。一部改変。)いわゆる「ファウンド・オブジェクト」(解説シートより)を取り扱っているそうです。
「ファウンド・オブジェ」(現代美術用語辞典/artscape)
それにしても先に「作品」と書きましたが、ともかく多種多様な素材が用いられているのも興味深いところ。ガラスや陶器、電灯、カゴにポール、食器、はたまたリンゴなどの果物まであります。そしていずれも本来的な用途を思わせるようでいて、必ずしもそうではない。一体見ているものが、既製品のままのものなのか、作家の手によって生み出されたのか。その区別すら曖昧でもあります。

「鳥に限らず、動物たちはそれが自然物であるか人工物であるかの区別の前に、自分によってどういう価値があるのかの認識を日々行っているはずです。」(解説シートより)
それも作家の狙いの一つなのかもしれません。人間にとっては取るに足らないようなモノでも、鳥にとっては重要なアイテムでもある。どこか楽し気な風景に映るのも不思議なところです。まるで作品の一つ一つが遊具のようでもある。ムクドリのためのプレイパークとでも言えるかもしれません。

ただムクドリ、たまたま私の見た時間帯がそうだったのか、天井付近に止まっては動かず、全く降りてきません。人を警戒しているのかもしれませんが、何やら悠然と観客たちを見下ろしている。そうした印象も受けました。
えさや水の入ったお皿、それに鳥かごも置かれています。また当然ながら時々フンをするようです。係の方が頃を見計らって床に落ちたフンを掃除していました。

鳥を見て、鳥に見られる。有機体がインスタレーションに介入しては景色を変化させます。また機会を伺っては再度出向こうと思いました。
なお今年度の第9回アートエッグは本展で終了します。
審査員により選定される「shiseido art egg賞」は4月下旬にWEBサイト上で発表されるそうです。

【第9回 shiseido art egg 展示スケジュール】
川内理香子展 1月9日(金)~2月1日(日)
飯嶋桃代展 2月6日(金)~3月1日(日)
狩野哲郎展 3月6日(金)~3月29日(日)
3月29日まで開催されています。
「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」 資生堂ギャラリー
会期:2月6日(金)~3月1日(日)
休廊:毎週月曜日
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
注)写真は全て「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」会場風景。撮影が出来ました。
「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」
3/6-3/29

資生堂ギャラリーで開催中の「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」を見てきました。

地下へ向かう階段途中、唐突にあるのは一本の止まり木です。何故にギャラリーにあるのでしょうか。そう漠然と思いながら、さらに先へと進んでみました。

するとメインのフロアもいつもと様子が異なっています。というのもまず受付のカウンターからして展示室内に設置されているのです。さらに傘立てやパンフレットや冊子類を置くラックの上にも、何やら「作品」が置かれていました。

また床面に散るのは色とりどりのスーパーボール。そしてともかく目立つのは材木、木の枝です。木製の台のようなものを支持体にして上へ上へとのびる。途中で組み合わされた枝の束は時に巣のようにも見えます。一部は傘立てにも差し込まれていました。

結論から言うと止まり木は鳥のためのもの。何と一羽のムクドリが放し飼いにされています。
1980年に宮城県で生まれ、東京造形大学大学院造形研究科の修士課程を修了した作家、狩野哲郎。「既製の様々な事物や自然物を本来の文脈から切り離し、新しい風景を生み出す」。(ギャラリーサイトより。一部改変。)いわゆる「ファウンド・オブジェクト」(解説シートより)を取り扱っているそうです。
「ファウンド・オブジェ」(現代美術用語辞典/artscape)
それにしても先に「作品」と書きましたが、ともかく多種多様な素材が用いられているのも興味深いところ。ガラスや陶器、電灯、カゴにポール、食器、はたまたリンゴなどの果物まであります。そしていずれも本来的な用途を思わせるようでいて、必ずしもそうではない。一体見ているものが、既製品のままのものなのか、作家の手によって生み出されたのか。その区別すら曖昧でもあります。

「鳥に限らず、動物たちはそれが自然物であるか人工物であるかの区別の前に、自分によってどういう価値があるのかの認識を日々行っているはずです。」(解説シートより)
それも作家の狙いの一つなのかもしれません。人間にとっては取るに足らないようなモノでも、鳥にとっては重要なアイテムでもある。どこか楽し気な風景に映るのも不思議なところです。まるで作品の一つ一つが遊具のようでもある。ムクドリのためのプレイパークとでも言えるかもしれません。

ただムクドリ、たまたま私の見た時間帯がそうだったのか、天井付近に止まっては動かず、全く降りてきません。人を警戒しているのかもしれませんが、何やら悠然と観客たちを見下ろしている。そうした印象も受けました。
えさや水の入ったお皿、それに鳥かごも置かれています。また当然ながら時々フンをするようです。係の方が頃を見計らって床に落ちたフンを掃除していました。

鳥を見て、鳥に見られる。有機体がインスタレーションに介入しては景色を変化させます。また機会を伺っては再度出向こうと思いました。
なお今年度の第9回アートエッグは本展で終了します。
審査員により選定される「shiseido art egg賞」は4月下旬にWEBサイト上で発表されるそうです。

【第9回 shiseido art egg 展示スケジュール】
川内理香子展 1月9日(金)~2月1日(日)
飯嶋桃代展 2月6日(金)~3月1日(日)
狩野哲郎展 3月6日(金)~3月29日(日)
3月29日まで開催されています。
「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」 資生堂ギャラリー
会期:2月6日(金)~3月1日(日)
休廊:毎週月曜日
時間:11:00~19:00(平日)、11:00~18:00(日・祝)
住所:中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A2出口から徒歩4分。東京メトロ銀座線新橋駅3番出口から徒歩4分。
注)写真は全て「第9回 shiseido art egg 狩野哲郎展」会場風景。撮影が出来ました。
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