都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」 東京都写真美術館
東京都写真美術館
「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」
2016/11/22~2017/1/29
現代の写真家をグループ展の形で紹介する「日本の新進作家」も、今回で13回目を数えるに至りました。
出展は6名。テーマは漠然と東京です。あまりにも巨大な東京を一括りにするのは困難ですが、各写真家は私的な関心、もしくは表現をもって、多層的な東京の断面を切り取っています。
[出展作家]
小島康敬
佐藤信太郎
田代一倫
中藤毅彦
野村恵子
元田敬三
中藤毅彦「STREET RAMBLER」 2015年
街の何気ない風景を素早く捉えました。中藤毅彦です。いずれもモノクローム。「STREET RAMBLER」と名付けられた53点の連作です。喧騒に包まれた交差点をはじめ、古いアーケードの商店街や裏路地などを舞台としています。夜の街に特有の妖しげな雰囲気を感じたのは私だけでしょうか。光と影のコントラストが鮮やかでした。写真の粒子は荒く、ざらりとした感触が伝わってきます。一瞬、森山大道を連想しましたが、また異なった魅力がありました。
佐藤信太郎「2016年5月15日 台東区浅草」 2016年
スカイツリーの景観をモチーフとしたのが佐藤信太郎です。題して「東京|天空樹」です。いわゆる定点観測でしょうか。建設途上のスカイツリーもあります。写真はほぼ遠景です。墨田区や葛飾区などの城東エリアから写しています。いずれもスカイツリーがビルの合間、ないし家屋、そして川の先に突如、ぬっと現れていました。空気が澄み渡っているゆえか、ネオンサインも際立ちます。東京の一つの顔と化したスカイツリーです。とりわけ三社祭で賑わう浅草寺越しのツリーが映えて見えました。
野村恵子「A Day in The Life」 2016年
野村恵子は都市の色彩を写し取りました。出品は「A Day in The Life」シリーズ。35点の連作でした。例えば上の図版です。季節はもちろん春。目黒川の満開の桜並木です。橋の上で女性がポーズを取っています。橋は赤色です。さらにぼんぼりのピンク色、服の花柄の色も介在しています。また夕景を捉えた一枚にも目がとまりました。夜になる僅か一歩手前の時間です。全てが藍に染まっています。マンションや家々から僅かな光が放たれていました。あと数分で黒、ないし闇が支配することでしょう。
私として最も面白かったのが元田敬三でした。2つの連作、「OPEN CITY」と「ツッパルな」を展示しています。
元田敬三「ツッパルな」 2105年
タイトルが殊更に長いのも特徴です。一つには「2011年、新宿、西口デパート前、西陽のスポットライトを浴びてスターになったおじさん。撮影交渉するも断られたのでキヨスクへダッシュ、タバコと缶ビールを持って再度交渉。そして乾杯。」と記されています。実に雄弁です。そして作品を見ると確かにおじさんが写っていました。なにやら得意げで妙にカッコいい。タイトルが情景を物語ることで臨場感がより増すのかもしれません。
被写体との関係は様々です。近しく、親密感があるかと思うと、ただならぬ緊張感が漂っているように思える場面も少なくありません。モデルと全力で対峙しています。東京に行き交い、生きる人々の、生身でかつ剥き出しの意思が滲み出しているかのようでした。
「東京|天空樹/佐藤信太郎/青幻舎」
なお写真美術館ではあわせてコレクション展も開催中です。こちらもテーマが東京です。東京をいかに写し、東京でいかに表現したのでしょうか。写真家の取り組みを知ることが出来ました。
2017年1月29日まで開催されています。*1月2日(月・振休)は無料観覧日。
「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」 東京都写真美術館(@topmuseum)
会期:2016年11月22日(火)~2017年1月29日(日)
休館:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館。1月3日は開館)。及び年末年始(12/29~1/1)。
時間:10:00~18:00 *毎週木・金曜日は20時まで。(入館は閉館の30分前まで。)2014/1/2/、1/3は11:00~18:00。
料金:一般700円(560円)、学生600円(480円)、中高生・65歳以上500円(400円)
*( )内は20名以上の団体料金。
*第3水曜日は65歳以上無料。
*1月2日(月・振休)は無料観覧日。
住所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口改札より徒歩8分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩10分。
「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」
2016/11/22~2017/1/29
現代の写真家をグループ展の形で紹介する「日本の新進作家」も、今回で13回目を数えるに至りました。
出展は6名。テーマは漠然と東京です。あまりにも巨大な東京を一括りにするのは困難ですが、各写真家は私的な関心、もしくは表現をもって、多層的な東京の断面を切り取っています。
[出展作家]
小島康敬
佐藤信太郎
田代一倫
中藤毅彦
野村恵子
元田敬三
中藤毅彦「STREET RAMBLER」 2015年
街の何気ない風景を素早く捉えました。中藤毅彦です。いずれもモノクローム。「STREET RAMBLER」と名付けられた53点の連作です。喧騒に包まれた交差点をはじめ、古いアーケードの商店街や裏路地などを舞台としています。夜の街に特有の妖しげな雰囲気を感じたのは私だけでしょうか。光と影のコントラストが鮮やかでした。写真の粒子は荒く、ざらりとした感触が伝わってきます。一瞬、森山大道を連想しましたが、また異なった魅力がありました。
佐藤信太郎「2016年5月15日 台東区浅草」 2016年
スカイツリーの景観をモチーフとしたのが佐藤信太郎です。題して「東京|天空樹」です。いわゆる定点観測でしょうか。建設途上のスカイツリーもあります。写真はほぼ遠景です。墨田区や葛飾区などの城東エリアから写しています。いずれもスカイツリーがビルの合間、ないし家屋、そして川の先に突如、ぬっと現れていました。空気が澄み渡っているゆえか、ネオンサインも際立ちます。東京の一つの顔と化したスカイツリーです。とりわけ三社祭で賑わう浅草寺越しのツリーが映えて見えました。
野村恵子「A Day in The Life」 2016年
野村恵子は都市の色彩を写し取りました。出品は「A Day in The Life」シリーズ。35点の連作でした。例えば上の図版です。季節はもちろん春。目黒川の満開の桜並木です。橋の上で女性がポーズを取っています。橋は赤色です。さらにぼんぼりのピンク色、服の花柄の色も介在しています。また夕景を捉えた一枚にも目がとまりました。夜になる僅か一歩手前の時間です。全てが藍に染まっています。マンションや家々から僅かな光が放たれていました。あと数分で黒、ないし闇が支配することでしょう。
私として最も面白かったのが元田敬三でした。2つの連作、「OPEN CITY」と「ツッパルな」を展示しています。
元田敬三「ツッパルな」 2105年
タイトルが殊更に長いのも特徴です。一つには「2011年、新宿、西口デパート前、西陽のスポットライトを浴びてスターになったおじさん。撮影交渉するも断られたのでキヨスクへダッシュ、タバコと缶ビールを持って再度交渉。そして乾杯。」と記されています。実に雄弁です。そして作品を見ると確かにおじさんが写っていました。なにやら得意げで妙にカッコいい。タイトルが情景を物語ることで臨場感がより増すのかもしれません。
被写体との関係は様々です。近しく、親密感があるかと思うと、ただならぬ緊張感が漂っているように思える場面も少なくありません。モデルと全力で対峙しています。東京に行き交い、生きる人々の、生身でかつ剥き出しの意思が滲み出しているかのようでした。
「東京|天空樹/佐藤信太郎/青幻舎」
なお写真美術館ではあわせてコレクション展も開催中です。こちらもテーマが東京です。東京をいかに写し、東京でいかに表現したのでしょうか。写真家の取り組みを知ることが出来ました。
2017年1月29日まで開催されています。*1月2日(月・振休)は無料観覧日。
「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」 東京都写真美術館(@topmuseum)
会期:2016年11月22日(火)~2017年1月29日(日)
休館:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館し、翌火曜日休館。1月3日は開館)。及び年末年始(12/29~1/1)。
時間:10:00~18:00 *毎週木・金曜日は20時まで。(入館は閉館の30分前まで。)2014/1/2/、1/3は11:00~18:00。
料金:一般700円(560円)、学生600円(480円)、中高生・65歳以上500円(400円)
*( )内は20名以上の団体料金。
*第3水曜日は65歳以上無料。
*1月2日(月・振休)は無料観覧日。
住所:目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
交通:JR線恵比寿駅東口改札より徒歩8分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩10分。
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