都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「戦国時代展」 江戸東京博物館
江戸東京博物館
「戦国時代展ーA Century of Dreams」
2016/11/23~2017/1/29
江戸東京博物館で開催中の「戦国時代展ーA Century of Dreams」を見てきました。
15世紀末から16世紀末にかけ、多くの武将たちが覇権を求めて争った戦国の世。まさに群雄割拠です。好きな武将、ないし大名の一人や二人を挙げるのはそう難しいことでもありません。
その戦国時代に関する資料や美術工芸品が江戸東京博物館へとやって来ました。
構成がややユニークです。大まかな時間軸こそ踏まえていますが、必ずしも通史的ではありません。「合戦」、「群雄」、「権威」、「列島」といったテーマの元、戦国時代の様々な諸相を明らかにしています。
「米沢本 川中島合戦図屏風 左隻」(部分) 米沢市上杉博物館 *前期(11月23日~12月25日)展示
始まりは合戦、一際大きいのが「川中島合戦図屏風 米沢本」でした。かの時代でも特に有名な一戦。屏風は最も激戦であった第4次合戦を描いています。言わずと知れた信玄と謙信の一騎打ちです。舞台は左隻の中央、川の浅瀬でした。謙信が振り下ろした太刀を信玄が軍配で受け止めています。右へ左へと広がる武将らの描写も緻密です。まるで騎馬の掛ける音が聞こえるかのようでした。
「姉川合戦図屏風」 天保8(1837)年 福井県立歴史博物館 *11月23日~12月11日展示
屏風絵ではもう1点、「姉川合戦図屏風」も力作ではないでしょうか。ほかおそらく実際の戦場で使われた軍配や法螺、指物なども展示。かの時代を臨場感のある形で知ることが出来ました。
「織田信長像」 17世紀頃 京都・大雲院 *前期(11月23日~12月25日)展示
「群雄」では武将の肖像画が目立ちます。足利義政、三好長慶、浅井長政、上杉謙信、そして織田信長などです。信長の肖像は有名な永徳画ではなく、嫡子信忠ゆかりの大雲院に伝わる作品でした。衣冠束帯の姿です。切れ長の目を開いては取り澄ました様で座っています。
古文書展と思うほどに古文書類が充実しています。特に重要なのが国宝の「上杉家文書」です。これは米沢藩主の上杉家に代々伝わる文書のことで、武家文書として初めて国宝に指定されました。内訳は書状や起請文です。今川氏真、北条氏綱、徳川家康らの書が収められています。かなりの数がありました。また1通ずつに口語訳も付いていてわかり易い。一つのハイライトと言っても差し支えありません。
「色々威腹巻 兜・大袖付」 室町時代 島根・佐太神社 *前期(11月23日~12月25日)展示
反面、群雄らの所用した太刀と甲冑の点数は多くありません。刀は3~4点ほど、甲冑も数点に過ぎません。もちろん梶の葉の鍬形が面白い「色々威腹巻 兜・大袖付」など貴重な品ばかりでしたが、刀や甲冑に数を求めると、いささか物足りなさを覚えたのも事実でした。
「北野天神縁起」(部分) 土佐光信 文亀3(1503)年 京都・北野天満宮
美術工芸品で目を引いたのが「瀟湘八景図」でした。元は大徳寺の襖絵です。16面のうち2面、掛軸に改装されています。湿潤な空気を漂わせながら山水の雄大な景色が広がります。また「北野天神縁起絵巻」もお出ましです。絵は土佐光信、詞を三条西実隆が記しました。ただ開いている部分は僅かです。もう少し見られればとは思いました。
戦国は全国的に人の往来が盛んな時代でもありました。また取引に際し、金銭も流通します。「一括出土銭」が強烈です。多数の銭。全部で5万枚もあるそうです。さらに外国との交易品として三彩釉の壺なども展示されていました。
ラストを飾るのは戦国の覇者、家康の「東照大権現像」でした。100年にも及ぶ乱世。各種資料を通して網羅的に見ることが出来ました。
最後に展示替えの情報です。会期中、前後期で大半の作品が入れ替わります。
「戦国時代展(東京会場)出品リスト」(PDF)
前期:11/23~12/25
後期:1/2~1/29
前期は主に西国、後期は東国の大名に因む作品が出展されるそうです。ほぼ2つで1つの展覧会と言っても差し支えありません。
「黒塗紺糸威具足」 天文5(1536)年 秋田市佐竹史料館 *後期(1月2日~1月29日)展示
会場内は思いの外に賑わっていました。入場時の待機列こそありませんでしたが、刀のコーナーのみ、最前列で鑑賞するための列が出来ています。ただし2列目からであれば待つことなく見ることが可能です。
2017年1月29日まで開催されています。東京展終了後、京都文化博物館(2017/2/25~4/16)、米沢市博物館(2017/4/29~6/18)へと巡回します。
「戦国時代展ーA Century of Dreams」(@sengokuperiod) 江戸東京博物館(@edohakugibochan)
会期:2016年11月23日(水)~2017年1月29日(日)
時間:9:30~17:30
*毎週土曜は19:30まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し2017年1月2日、9日、16日は開館。年末年始(12/26~1/1)。
料金:一般1350(1080)円、大学・専門学生1080(860)円、小・中・高校生・65歳以上680(540)円。
*( )は20名以上の団体料金。
*常設展との共通券あり
*毎月第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上が無料。
住所:墨田区横網1-4-1
交通:JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線両国駅A4出口徒歩1分。
「戦国時代展ーA Century of Dreams」
2016/11/23~2017/1/29
江戸東京博物館で開催中の「戦国時代展ーA Century of Dreams」を見てきました。
15世紀末から16世紀末にかけ、多くの武将たちが覇権を求めて争った戦国の世。まさに群雄割拠です。好きな武将、ないし大名の一人や二人を挙げるのはそう難しいことでもありません。
その戦国時代に関する資料や美術工芸品が江戸東京博物館へとやって来ました。
構成がややユニークです。大まかな時間軸こそ踏まえていますが、必ずしも通史的ではありません。「合戦」、「群雄」、「権威」、「列島」といったテーマの元、戦国時代の様々な諸相を明らかにしています。
「米沢本 川中島合戦図屏風 左隻」(部分) 米沢市上杉博物館 *前期(11月23日~12月25日)展示
始まりは合戦、一際大きいのが「川中島合戦図屏風 米沢本」でした。かの時代でも特に有名な一戦。屏風は最も激戦であった第4次合戦を描いています。言わずと知れた信玄と謙信の一騎打ちです。舞台は左隻の中央、川の浅瀬でした。謙信が振り下ろした太刀を信玄が軍配で受け止めています。右へ左へと広がる武将らの描写も緻密です。まるで騎馬の掛ける音が聞こえるかのようでした。
「姉川合戦図屏風」 天保8(1837)年 福井県立歴史博物館 *11月23日~12月11日展示
屏風絵ではもう1点、「姉川合戦図屏風」も力作ではないでしょうか。ほかおそらく実際の戦場で使われた軍配や法螺、指物なども展示。かの時代を臨場感のある形で知ることが出来ました。
「織田信長像」 17世紀頃 京都・大雲院 *前期(11月23日~12月25日)展示
「群雄」では武将の肖像画が目立ちます。足利義政、三好長慶、浅井長政、上杉謙信、そして織田信長などです。信長の肖像は有名な永徳画ではなく、嫡子信忠ゆかりの大雲院に伝わる作品でした。衣冠束帯の姿です。切れ長の目を開いては取り澄ました様で座っています。
古文書展と思うほどに古文書類が充実しています。特に重要なのが国宝の「上杉家文書」です。これは米沢藩主の上杉家に代々伝わる文書のことで、武家文書として初めて国宝に指定されました。内訳は書状や起請文です。今川氏真、北条氏綱、徳川家康らの書が収められています。かなりの数がありました。また1通ずつに口語訳も付いていてわかり易い。一つのハイライトと言っても差し支えありません。
「色々威腹巻 兜・大袖付」 室町時代 島根・佐太神社 *前期(11月23日~12月25日)展示
反面、群雄らの所用した太刀と甲冑の点数は多くありません。刀は3~4点ほど、甲冑も数点に過ぎません。もちろん梶の葉の鍬形が面白い「色々威腹巻 兜・大袖付」など貴重な品ばかりでしたが、刀や甲冑に数を求めると、いささか物足りなさを覚えたのも事実でした。
「北野天神縁起」(部分) 土佐光信 文亀3(1503)年 京都・北野天満宮
美術工芸品で目を引いたのが「瀟湘八景図」でした。元は大徳寺の襖絵です。16面のうち2面、掛軸に改装されています。湿潤な空気を漂わせながら山水の雄大な景色が広がります。また「北野天神縁起絵巻」もお出ましです。絵は土佐光信、詞を三条西実隆が記しました。ただ開いている部分は僅かです。もう少し見られればとは思いました。
戦国は全国的に人の往来が盛んな時代でもありました。また取引に際し、金銭も流通します。「一括出土銭」が強烈です。多数の銭。全部で5万枚もあるそうです。さらに外国との交易品として三彩釉の壺なども展示されていました。
ラストを飾るのは戦国の覇者、家康の「東照大権現像」でした。100年にも及ぶ乱世。各種資料を通して網羅的に見ることが出来ました。
最後に展示替えの情報です。会期中、前後期で大半の作品が入れ替わります。
「戦国時代展(東京会場)出品リスト」(PDF)
前期:11/23~12/25
後期:1/2~1/29
前期は主に西国、後期は東国の大名に因む作品が出展されるそうです。ほぼ2つで1つの展覧会と言っても差し支えありません。
「黒塗紺糸威具足」 天文5(1536)年 秋田市佐竹史料館 *後期(1月2日~1月29日)展示
会場内は思いの外に賑わっていました。入場時の待機列こそありませんでしたが、刀のコーナーのみ、最前列で鑑賞するための列が出来ています。ただし2列目からであれば待つことなく見ることが可能です。
2017年1月29日まで開催されています。東京展終了後、京都文化博物館(2017/2/25~4/16)、米沢市博物館(2017/4/29~6/18)へと巡回します。
「戦国時代展ーA Century of Dreams」(@sengokuperiod) 江戸東京博物館(@edohakugibochan)
会期:2016年11月23日(水)~2017年1月29日(日)
時間:9:30~17:30
*毎週土曜は19:30まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し2017年1月2日、9日、16日は開館。年末年始(12/26~1/1)。
料金:一般1350(1080)円、大学・専門学生1080(860)円、小・中・高校生・65歳以上680(540)円。
*( )は20名以上の団体料金。
*常設展との共通券あり
*毎月第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上が無料。
住所:墨田区横網1-4-1
交通:JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線両国駅A4出口徒歩1分。
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