2018年3月に見たい展覧会

寒い日が続きましたが、ようやく関東では河津桜も見頃を迎え、少しずつ暖かい日も増えて来ました。

2月に見た展覧会では、まず川越市立美術館の「生誕130年 小村雪岱展」が一番印象に残りました。得意のモノクロームの挿絵を表紙にしたカタログの出来も良く、今も時折見返しては、展覧会の記憶を反芻することも少なくありません。

短い会期でしたが、大林財団による都市をテーマとした「会田誠『GROUND NO PLAN』展」も、刺激の多い展覧会でした。また5月13日までの会期延長も決まった東京国立博物館の「アラビアの道」も、なかなか身近とは言い難いサウジアラビアの歴史を、貴重な文物で辿ることが出来ました。さらにまだ感想にまとめられていませんが、三菱一号館美術館の「ルドンー秘密の花園」も、内容、構成ともに充実していたと思います。単に「グラン・ブーケ」に連なる作品を集めただけでなく、そもそもルドンは何故に連作を描いたのかについて、細かく検証していました。



葛井寺の国宝、「千手観音菩薩坐像」の公開がはじまった、東京国立博物館の「仁和寺と御室派のみほとけ」展が混雑しています。平日、休日を問わず、昼間の時間を中心に30〜40分程度の入場待ちの列が発生しています。そのためか、金曜、土曜に加え、3月4日(日)、3月6日(火)、3月7日(水)の3日間も、21時までの夜間開館が決まりました。狙い目となりそうです。

泉屋博古館分館の「木島櫻谷展」も、スペースに制約こそあるものの、新出の作品もあり、期待通りの良い展覧会でした。近々、感想をまとめるつもりです。

それでは3月中に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「ヘレンド展ー皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」 パナソニック汐留ミュージアム(~3/21) 
・「谷川俊太郎展」 東京オペラシティ アートギャラリー(~3/25)
・「FACE展2018 損保ジャパン日本興亜美術賞展」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(~3/30)
・「VOCA展2018 現代美術の展望ー新しい平面の作家たち」 上野の森美術館(3/15~3/30)
・「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」 練馬区立美術館(~4/15)
・「東京⇆沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村」 板橋区立美術館(~4/15)
・「猪熊弦一郎展 猫たち」 Bunkamura ザ・ミュージアム(3/20~4/18)
・「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」 東京ステーションギャラリー(3/3~5/6)
・「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」 東京都写真美術館(3/6~5/6)
・「桜 さくら SAKURA 2018ー美術館でお花見!」 山種美術館(3/10〜5/6)
・「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」 府中市美術館(3/10~5/6)
・「東西美人画の名作『序の舞』への系譜」 東京藝術大学大学美術館(3/31~5/6)
・「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」 国立新美術館(~5/7)
・「いわさきちひろ生誕100年『Life展』 まなざしのゆくえ 大巻伸嗣」 ちひろ美術館・東京(~5/12)
・「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」 国立西洋美術館(~5/27)
・「写真都市展ーウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち」 21_21 DESIGN SIGHT(~6/10)
・「人体ー神秘への挑戦」 国立科学博物館(3/13~6/17)
・「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」 横浜美術館(3/24~6/24)

ギャラリー

・「鏡と穴ー彫刻と写真の界面 vol.7 野村在」 ギャラリーαM(~3/24)
・「クサナギシンペイ どこへでもこの世の外なら」 タカ・イシイギャラリー東京(~3/17)
・「ポーラ ミュージアム アネックス展2018」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(~3/18)
・「若松光一郎展ー大地の歌」 加島美術(3/20〜4/8)
・「ボスコ・ソディ展」 SCAI THE BATHHOUSE(3/9〜4/21)
・「BRIDGEー大野美代子の人と人、街と町を繋ぐデザイン」 ギャラリーA4(3/9〜4/25)
・「ニッポン貝人列伝ー時代をつくった貝コレクション」 リクシルギャラリー(3/8~5/26)

まず今月に注目したいのは横浜美術館です。「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」がはじまります。



「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」@横浜美術館(3/24~6/24)


西洋美術におけるヌード表現の歴史を、主に近現代に焦点を当て、紐解こうとする展覧会で、ロンドンのテートギャラリーよりコレクションがやって来ます。出展はヴィクトリア朝の神話、歴史画より、現代の身体表現までの約130点で、ジャンルも絵画、彫刻、版画、写真と多様です。日本初公開のロダンの「接吻」など、貴重な作品も見られるのではないでしょうか。2016年のオーストラリアにはじまり、韓国、ニュージーランドを経る、国際巡回展でもあります。

山種美術館の人気企画が、2012年以来、実に6年ぶりに帰ってきました。



「桜 さくら SAKURA 2018ー美術館でお花見!」@山種美術館(3/10〜5/6)


「桜・さくら・SAKURA」展は、お花見の時期に因み、桜を描いた日本画を紹介する展覧会で、山種コレクションより約60点の作品が出展されます。まさに日本画で楽しむお花見です。館内は桜一色に染まるかもしれません。

春の恒例の江戸絵画まつりです。府中市美術館で「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」が開催されます。



「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」@府中市美術館(3/10~5/6)

今年のテーマは「リアル」。しかしながら一見、相反するような「最大の奇抜」ともあります。展示では、何かと近代の先駆けとみなされることも多い「江戸のリアル」を、あえて疑いつつ、作品に向き合おうとうするそうです。どのような内容になるのでしょうか。


同展は毎年、知られざるマニアックな絵師の作品が出展されたり、個人所蔵の珍しい作品が出ることも少なくありません。また4月初旬には、大規模な展示替えも予定されています。まずは早々に出かけたいと思います。

昨年に引き続き、学生のみなさんに嬉しいお知らせです。東京駅周辺の4美術館に無料で入館できる「学生無料ウィーク」がはじまりました。

東京駅周辺美術館学生無料ウィーク
期間:2018年3月3日(土)〜3月18日(日) *休館日は除きます。
対象:学生 *各館で学生割引の対象としている方。
参加館および期間中の展覧会:
・出光美術館「色絵 Japan CUTE!」
・三井記念美術館「三井家のおひなさま 特集展示三井家と能」
・三菱一号館美術館「ルドンー秘密の花園」
・東京ステーションギャラリー「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」


開催期間は3月3日(土)から3月18日(日)の2週間です。学生であれば、会期中、東京駅周辺の出光美術館、三井記念美術館、三菱一号館美術館、東京ステーションギャラリーの4美術館の展覧会を、何度でも無料で入場できます。

とてもお得なイベントです。学生の皆さん、これを機会に美術館へと足を運んでみては如何でしょうか。

それでは今月も宜しくお願いします。
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