都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性」 国立西洋美術館
国立西洋美術館・常設展
ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性(観劇の前)」
2017/9/30〜
2017年度に収蔵された、ベルト・モリゾの「黒いドレスの女性(観劇の前)」が、国立西洋美術館の常設展にて公開されています。
ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性(観劇の前)」 1875年 国立西洋美術館
縦長のカンヴァスに描かれたのは、肩を露わにしながら、漆黒のドレスを着た若い女性で、まさにタイトルが示すように、オペラ座などの劇場に出かける時の様子が表されています。
白い手袋を両手にはめ、右手ではドレスの裾を僅かに掴む、ないしは触れるような仕草を見せていました。一方の左手は、黄金色にも染まるオペラグラスを持っていて、少し前に出ているからか、今にも差し出すような気配も感じられなくはありません。その表情は温和であり、安心しきっていました。ちょうど友人でも現れたのでしょうか。どことない親密感も感じられました。
このモリゾの「黒いドレスの女性」は、1876年に行われた、第2回印象派展にて公開されました。同展は、デュラン=リュエル画廊で4月11日から約1ヶ月ほど開催され、モリゾをはじめ、カイユボット、ドガ、モネ、それにピサロ、ルノワールら、計20名の画家が作品を出展しました。モリゾ自身も、出産の年を除き、第1回から第8回までの印象派展に参加しました。
とりわけ目を引くのが、女性の纏うドレスの黒で、実際にも当時、「ゴヤのようだ」とも評されたそうです。そしてこの黒が深ければ深いほどに、ドレスを飾る白いバラがより映えて見えるかもしれません。マネの得意とした黒を思い出しました。また本作とほぼ同一のドレスを着た、モリゾの肖像写真が残されていることから、モデルに自らの衣装を着せて描いたとも考えられています。
モリゾの没後、作品は、パリで印象派の画家と交流を持ち、美術商をしていた林忠正の手に渡りました。1905年、林は500点もの印象派コレクションを持って帰国しましたが、その中にモリゾの作品は一枚もありませんでした。よって、事情こそ明らかではないものの、帰国前に手放したとも言われています。
縦60センチ弱、横30センチほどの、小さな作品ではありますが、穏やかな笑みをたたえ、ステップを踏むかのように歩む女性からは、観劇を前にした高揚感も感じられるのではないでしょうか。その美しき姿に心惹かれました。
なお本作については、国立西洋美術館ニュース「ゼフュロス」のNo.73に、詳細な解説が掲載されていました。あわせてご参照下さい。
ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性(観劇の前)」 国立西洋美術館
会期:2017年9月30日(土)〜公開中
休館:月曜日。但し、月曜日が祝日又は祝日の振替休日となる場合は開館し、翌日の火曜日が休館。
時間:9:30~17:30
*毎週金・土曜日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500(400)円、大学生250(200)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園7-7
交通:JR線上野駅公園口より徒歩1分。京成線京成上野駅下車徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅より徒歩8分。
ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性(観劇の前)」
2017/9/30〜
2017年度に収蔵された、ベルト・モリゾの「黒いドレスの女性(観劇の前)」が、国立西洋美術館の常設展にて公開されています。
ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性(観劇の前)」 1875年 国立西洋美術館
縦長のカンヴァスに描かれたのは、肩を露わにしながら、漆黒のドレスを着た若い女性で、まさにタイトルが示すように、オペラ座などの劇場に出かける時の様子が表されています。
白い手袋を両手にはめ、右手ではドレスの裾を僅かに掴む、ないしは触れるような仕草を見せていました。一方の左手は、黄金色にも染まるオペラグラスを持っていて、少し前に出ているからか、今にも差し出すような気配も感じられなくはありません。その表情は温和であり、安心しきっていました。ちょうど友人でも現れたのでしょうか。どことない親密感も感じられました。
このモリゾの「黒いドレスの女性」は、1876年に行われた、第2回印象派展にて公開されました。同展は、デュラン=リュエル画廊で4月11日から約1ヶ月ほど開催され、モリゾをはじめ、カイユボット、ドガ、モネ、それにピサロ、ルノワールら、計20名の画家が作品を出展しました。モリゾ自身も、出産の年を除き、第1回から第8回までの印象派展に参加しました。
とりわけ目を引くのが、女性の纏うドレスの黒で、実際にも当時、「ゴヤのようだ」とも評されたそうです。そしてこの黒が深ければ深いほどに、ドレスを飾る白いバラがより映えて見えるかもしれません。マネの得意とした黒を思い出しました。また本作とほぼ同一のドレスを着た、モリゾの肖像写真が残されていることから、モデルに自らの衣装を着せて描いたとも考えられています。
モリゾの没後、作品は、パリで印象派の画家と交流を持ち、美術商をしていた林忠正の手に渡りました。1905年、林は500点もの印象派コレクションを持って帰国しましたが、その中にモリゾの作品は一枚もありませんでした。よって、事情こそ明らかではないものの、帰国前に手放したとも言われています。
少し前ですが、プラド展にあわせて見た国立西洋美術館の常設展。新収蔵作品の展示も良かったです。シャセリオーの「アクタイオンに驚くディアナ」やレオン・ボナの「ド・ラ・パヌーズ子爵夫人の肖像」、ドガの「舞台袖の3人の踊り子」モリゾの「黒いドレスの女性」、そしてコランの「楽」と「詩」など pic.twitter.com/PSiAZYho01
— はろるど (@harold_1234) 2018年3月21日
縦60センチ弱、横30センチほどの、小さな作品ではありますが、穏やかな笑みをたたえ、ステップを踏むかのように歩む女性からは、観劇を前にした高揚感も感じられるのではないでしょうか。その美しき姿に心惹かれました。
なお本作については、国立西洋美術館ニュース「ゼフュロス」のNo.73に、詳細な解説が掲載されていました。あわせてご参照下さい。
ベルト・モリゾ「黒いドレスの女性(観劇の前)」 国立西洋美術館
会期:2017年9月30日(土)〜公開中
休館:月曜日。但し、月曜日が祝日又は祝日の振替休日となる場合は開館し、翌日の火曜日が休館。
時間:9:30~17:30
*毎週金・土曜日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般500(400)円、大学生250(200)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園7-7
交通:JR線上野駅公園口より徒歩1分。京成線京成上野駅下車徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅より徒歩8分。
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