都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期−無明と可視」 ポーラミュージアムアネックス
ポーラミュージアムアネックス
「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期−無明と可視」
2/23〜3/18
ポーラミュージアムアネックスで開催中の「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期−無明と可視」を見てきました。
ポーラ美術振興財団による「若手芸術家の海外助成制度」に採択された現代アーティストを紹介するグループ展も、今回で12回目を迎えました。
前期のテーマは「無明と可視」です。ポーラ美術館館長の木島俊介が監修を務め、いずれも1980年代後半に生まれた、比較的若い世代の4名のアーティストを紹介していました。
まずは大阪を拠点に活動し、2015年に財団の在外研修員としてニューヨークへと渡った、堀川すなおのインスタレーションでした。堀川は「目の前にある もの その本来の姿を探るため、制作をしています。」と語っています。
インクジェット用の白いマイラーフィルムの上には、青い色鉛筆で、一見、具象的なモチーフが描かれていました。しかし良く目を凝らすと、細胞のようでもあり、楽器や箱のようでもあり、また植物や果物のようでもあり、あるいは装飾的なパターンのように映るなど、そもそも一体、何が描かれているのか判然としません。
しばらく眺めていると、素描というよりも、何らかの一つの大きな装置を作り上げるための、図版、ないし図面のようにも思えました。本来的なもののイメージを、半ば解体し、新たに構築すべく、自由に想像して描いているのかもしれません。
牧田愛の平面作品に視覚を揺さぶられました。作家は「認識の境界を作品に表現する。」として、「デジタル画面で認識する奥行きを、現実世界に再現したときにどのように知覚されるのかと考える。」としています。
目の前に開くのは、デジタルというよりも、いくつかのガラスを組み合わせて出来た、まるで鏡面のような世界でした。それはいずれも歪み、中には焦点もあわず、屈折しているようにも見えました。しかしイメージ自体は鮮烈で、光を放つようでもあり、独特のぶれを伴うことから、映像的な動きも感じられるかもしれません。
「層の重なり合いを表現とする」松橋萌は、山の中の木立をミニチュアに仕立てたような立体作品を展示していました。
その森には映像も投影され、何らかの物語が紡がれているように思えました。これぞ作家の語る「夏休みに訪れていた小屋と山の中の森」なのでしょうか。どことなく田舎の野山を思わせるような、郷愁を誘う作品でもありました。
いずれも素材に木や板紙を使用していましたが、まるで切り絵を見るかのような質感にも興味を引かれました。幾重にも重なる層が、人であり、植物であり、また風景を築き上げていました。
一昨年にメキシコに研修へ渡った岡田杏里は、「現実と幻想」、それに「現代性と土着性」をテーマとした作品を制作しています。
強く目を引いたのはジャングルで、青々と葉の茂る森の中には、男女と思しき人が向かい合っていました。ただし近づいて見ると、その人物は2〜3名ではなく、それこそ植物や生き物のようなモチーフにも顔や目があり、森へ数えきれないほどあまねく存在していることが分かりました。もはや魑魅魍魎で、何やらジャングルの中に密かに開けた、異世界を覗き込むようでもありました。
平面と立体、それにガラスを使用し、壁一面に作品を展開していたのも印象に残りました。作家は、「メキシコには原始の世界から現代社会が共存」していると語っています。ジャングルであり、トーテムポールであり、蛇であり、また人形を思わせるモチーフも、メキシコで記憶した風景の表れなのかもしれません。
「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 後期ーイメージと投影」
会期:3月23日(金)〜4月22日(日)
3月23日からの後期は、テーマを「イメージと投影」に代え、村上亘・冨田香代子・今村綾・古川あいかの作品が展示されます。
入場は無料です。3月18日まで開催されています。*「」内はキャプションより。
「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期−無明と可視」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:2月23日(金)〜3月18日(日)
休館:会期中無休
料金:無料
時間:11:00~20:00 *入場は閉館の30分前まで
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期−無明と可視」
2/23〜3/18
ポーラミュージアムアネックスで開催中の「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期−無明と可視」を見てきました。
ポーラ美術振興財団による「若手芸術家の海外助成制度」に採択された現代アーティストを紹介するグループ展も、今回で12回目を迎えました。
前期のテーマは「無明と可視」です。ポーラ美術館館長の木島俊介が監修を務め、いずれも1980年代後半に生まれた、比較的若い世代の4名のアーティストを紹介していました。
まずは大阪を拠点に活動し、2015年に財団の在外研修員としてニューヨークへと渡った、堀川すなおのインスタレーションでした。堀川は「目の前にある もの その本来の姿を探るため、制作をしています。」と語っています。
インクジェット用の白いマイラーフィルムの上には、青い色鉛筆で、一見、具象的なモチーフが描かれていました。しかし良く目を凝らすと、細胞のようでもあり、楽器や箱のようでもあり、また植物や果物のようでもあり、あるいは装飾的なパターンのように映るなど、そもそも一体、何が描かれているのか判然としません。
しばらく眺めていると、素描というよりも、何らかの一つの大きな装置を作り上げるための、図版、ないし図面のようにも思えました。本来的なもののイメージを、半ば解体し、新たに構築すべく、自由に想像して描いているのかもしれません。
牧田愛の平面作品に視覚を揺さぶられました。作家は「認識の境界を作品に表現する。」として、「デジタル画面で認識する奥行きを、現実世界に再現したときにどのように知覚されるのかと考える。」としています。
目の前に開くのは、デジタルというよりも、いくつかのガラスを組み合わせて出来た、まるで鏡面のような世界でした。それはいずれも歪み、中には焦点もあわず、屈折しているようにも見えました。しかしイメージ自体は鮮烈で、光を放つようでもあり、独特のぶれを伴うことから、映像的な動きも感じられるかもしれません。
「層の重なり合いを表現とする」松橋萌は、山の中の木立をミニチュアに仕立てたような立体作品を展示していました。
その森には映像も投影され、何らかの物語が紡がれているように思えました。これぞ作家の語る「夏休みに訪れていた小屋と山の中の森」なのでしょうか。どことなく田舎の野山を思わせるような、郷愁を誘う作品でもありました。
いずれも素材に木や板紙を使用していましたが、まるで切り絵を見るかのような質感にも興味を引かれました。幾重にも重なる層が、人であり、植物であり、また風景を築き上げていました。
一昨年にメキシコに研修へ渡った岡田杏里は、「現実と幻想」、それに「現代性と土着性」をテーマとした作品を制作しています。
強く目を引いたのはジャングルで、青々と葉の茂る森の中には、男女と思しき人が向かい合っていました。ただし近づいて見ると、その人物は2〜3名ではなく、それこそ植物や生き物のようなモチーフにも顔や目があり、森へ数えきれないほどあまねく存在していることが分かりました。もはや魑魅魍魎で、何やらジャングルの中に密かに開けた、異世界を覗き込むようでもありました。
平面と立体、それにガラスを使用し、壁一面に作品を展開していたのも印象に残りました。作家は、「メキシコには原始の世界から現代社会が共存」していると語っています。ジャングルであり、トーテムポールであり、蛇であり、また人形を思わせるモチーフも、メキシコで記憶した風景の表れなのかもしれません。
若手アーティストによるグループ展「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期」がいよいよ今週末までとなりました!まだお越しになっていない方は是非ご来館ください🌟2018年2月23日-3月18日11時ー20時https://t.co/2RVVyU8lL9 #polamuseumannex #岡田杏里 #松橋萌 #牧田愛 #堀川すなお pic.twitter.com/b7yd8JKj2g
— ポーラ ミュージアム アネックス (@POLA_ANNEX) 2018年3月16日
「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 後期ーイメージと投影」
会期:3月23日(金)〜4月22日(日)
3月23日からの後期は、テーマを「イメージと投影」に代え、村上亘・冨田香代子・今村綾・古川あいかの作品が展示されます。
入場は無料です。3月18日まで開催されています。*「」内はキャプションより。
「ポーラ ミュージアム アネックス展2018 前期−無明と可視」 ポーラミュージアムアネックス(@POLA_ANNEX)
会期:2月23日(金)〜3月18日(日)
休館:会期中無休
料金:無料
時間:11:00~20:00 *入場は閉館の30分前まで
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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