都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」 国立西洋美術館
国立西洋美術館
「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」
2/24~5/27

国立西洋美術館で開催中の「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」を見てきました。
スペイン王室のコレクションを中核としたマドリードのプラド美術館には、特に17世紀スペインの王、フェルぺ4世の収集した絵画が数多く収められました。
プラド美術館のコレクションが3年ぶりに日本へとやって来ました。作品点数は61点と、必ずしも多いとは言えませんが、2メートルを超えるような絵画も目立ち、会場に余った箇所はありませんでした。
特筆すべきはベラスケスで、国内では過去最多の7点の絵画が展示されていました。振り返れば、2006年のプラド美術館展では5点でした。その数をもってすれば、「これは事件」と銘打つのも、あながち誇張ではないかもしれません。

ディエゴ・ベラスケス「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」 1635年頃 マドリード、プラド美術館
チラシ表紙を飾るのも、ベラスケスの1枚、「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」でした。フェリペ4世の長男として生まれた、幼きバルタサール・カルロスが、両前脚を振り上げた馬に跨っては、堂々と前を見据える姿を描いていました。王位の継承者として、さぞかし期待されていたのでしょう。フェリペ4世が造営した宮殿の核心部である「諸王国の間」にて、国王夫妻の騎馬像の間に飾られていたそうです。
王子はまだ5歳ながらも、馬の動きに振り回されることなく、さも未来を指し示すべく、指揮棒を高らかに掲げていました。おおよそ2メートルほどの作品でしたが、もっと大きく感じられたのは、下から見上げられることを意識したのか、馬の身体が膨らんでいたからかもしれません。背後には、幾分、素早い筆触により、マドリード郊外のグアダラマ山脈が描かれていました。まさしく前途に輝かしい王子を祝福するかのような一枚でもありますが、実際に王位を継ぐことなく、僅か16歳の若さで亡くなりました。
父、フェルぺ4世を描いた絵画もありました。それがベラスケスの「狩猟服姿のフェリペ4世」で、向かって左に猟犬を従え、右手で長い猟銃を持ち、左手で腰へ手を当てては、やや斜めを向いて立つ王の姿を捉えていました。狩猟は戦いに備えるための鍛錬として重要でもあり、王の統治者としての力量を示すものでもありました。
ここで興味深いのは、一切の華美な装身具などを付けず、それこそ王と言われなければ、王と分からないことでした。もちろん実際は「王のギャラリー」に飾られていたため、当時は、誰が見てもフェリペ4世だと知っていたのかもしれませんが、ここに王も、一人の威厳を持った人物として描いた、ベラスケスの「近代性」(解説より)が指摘されるのかもしれません。

ディエゴ・ベラスケス「マルス」 1638年頃 マドリード、プラド美術館
ベラスケスの「マルス」も、モデルの地位を超えた、人の内面を見据えた作品と言えるかもしれません。兜こそかぶっているものの、脱いだ甲冑を足元に置き、頰杖をした男は、おおよそ戦いの神には見えません。いわゆるマルスの休憩の場面で、作品に対して、いくつかの解釈もなされているそうですが、ぼんやりと遠目を見据え、戦いに疲れ果てた男の心情が滲み出しているかのようでした。

ディエゴ・ベラスケス「東方三博士の礼拝」 1619年 マドリード、プラド美術館
ベラスケスのキャリア初期、まだ宮廷画家になる前の珍しい宗教絵画もやって来ていました。それが20歳の時の「東方三博士の礼拝」で、「泥臭いリアリズム」(解説より)ながらも、人物の着衣の際立った質感や、陰影のはっきりした表現など、キリスト誕生の有名な場面を、巧みに描いていました。なお登場人物にはモデルがいて、マリアは妻であり、手前にひざまずくメルキオールは画家本人だとされているそうです。

フランシスコ・デ・スルバラン「磔刑のキリストと画家」 マドリード、プラド美術館
さてプラド美術館展は、何もベラスケス展ではありません。ベラスケス以外にも見るべき作品がたくさんありました。うち私が最も惹かれたのが、フランシスコ・デ・スルバランで、「磔刑のキリストと画家」では、グレーの暗がりを背景に磔刑に処せられたキリストと、その右でパレットを持って立つ画家の姿を描いていました。画面は静謐ながらも、画家がキリストを見上げながら、祈りの文句を唱える姿は劇的でもあり、一瞬の動きを捉えたようにも見えなくありません。この画家はスルバラン本人とも、守護聖人の聖ルカとも言われています。
なた同じくスルバランの「祝福する救世主」も魅惑的な作品で、世界を表す球体を左手で触れたキリストの姿を示していました。ここでは衣服の質感、そして何よりも手の指先の肉感的な表現が秀でていて、やや虚ろな眼差しを見せるキリストの表情自体からは、何やらアンニュイで、独特な雰囲気も感じられるのではないでしょうか。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「小鳥のいる聖家族」 1650年頃 マドリード、プラド美術館
バルトロメ・エステバン・ムリーリョの「小鳥のいる聖家族」における、微笑ましい情景にも魅せられました。右にヨセフ、左にマリアの見つめる中、小鳥を右手で持って、白い子犬と触れ合うのが幼きキリストで、確かに聖家族を主題としながらも、その長閑な光景は、一般的な家庭の日常を描いたように思えるほどでした。ただしヨセフを壮年の姿にして描くのは、17世紀のスペインに特有の図像で、ヨセフ信仰の高まりを示すとされています。
アロンソ・カーノの「聖ベルナルドゥスと聖母」には驚きました。中央で白い衣服に身を包むのが、12世紀の神学者とされる聖ベルナルドゥスで、ちょうど聖堂の祭壇のマリアの彫像を前に、両手を開いて祈りを捧げていました。手前にももう一人、手を合わせて祈る男の姿もありました。
何に驚いたのかと言えば、マリアの手が自らの乳房を右手で摘み、乳を出しては、かの聖人の口に向けていわば飛ばしていることでした。聖人は上目遣いで、この奇跡に恍惚としているのか、もはや茫洋としているようにさえ見えました。この神秘の授乳の神話も、当時のスペインで好まれ、幾つもの作品が描かれたそうです。実に劇的な場面であり、多くの人々の心を捉えたに違いありません。
もう1点、デニス・ファン・アルスロートの「ブリュッセルのオメガング もしくは鸚鵡の祝祭:職業組合の行列」も、強い印象を与えられる作品でした。縦1メートル30センチ、横幅は3メートル80センチにも及ぶ横長のキャンバスには、ブリュッセルで今も行われているオメガングと呼ばれる祭りの光景が描かれています。これは14世紀に、ザブロン教会に祀られたマリア像の周囲を行列したことを起源とする祭りで、タイトルの「行列」が表すように、ともかく右へ左へと、幾重にも折れながら、ひたすらに歩く人々の姿を見ることが出来ました。また、観客なのか、行列の向こう側の建物の窓も多くの人で埋め尽くされ、そもそも画面全体が人で溢れかえっていました。ここには一体、何名の人物が描かれているのでしょうか。

クロード·ロラン「聖セラピアの埋葬のある風景」 1639年頃 マドリード、プラド美術館
はじめにも触れましたが、国内でのプラド美術館の開催は、何も今年に始まったわけではありません。近年では、「プラド美術館展ースペイン宮廷 美への情熱」(三菱一号館美術館、2015年)、「プラド美術館所蔵 ゴヤー光と影展」(国立西洋美術館、2011年)、さらには「プラド美術館展ースペインの誇り 巨匠たちの殿堂」(東京都美術館、2006年)などが行われてきました。実に5度目の開催でもあります。

ペーテル・パウル・ルーベンス「聖アンナのいる聖家族」 1630年頃 マドリード、プラド美術館
今回はベラスケスを中心とした、17世紀のスペイン宮廷に関する絵画を、「知識」や「神話」、「宮廷」、「風景」など、8つのテーマに沿いながら紹介していました。西洋美術館ニュースの「ゼフュロス」で、川瀬学芸員が断っていたように、ベラスケスの画業の展開を、美術史的解釈のもとに提示するものではありません。
しかしそれでも、例えばスペインでは、対抗宗教改革の観点から、宗教的主題が重要視され、特に聖人、聖女や、信仰心の現れとされた幻視を描いた作品が尊ばれたことを指摘するなど、単に名品を揃えるだけでなく、作品の生まれた背景について踏み込んでいたのも、特徴の1つと言えるのではないでしょうか。実際、キャプションも緻密で、かなり読ませる展覧会でもありました。カタログの解説も、一点一点、充実していました。

会期当初、2週目の日曜日に観覧してきました。お昼過ぎに西洋美術館に着きましたが、入場待ちの待機列もなく、場内も特に混雑せず、どの作品も一番前で鑑賞出来ました。
だだし、何かと高い知名度を誇るプラド美術館のことです。桜の咲く頃、もしくはGW以降は混み合うかもしれません。毎週、金曜と土曜日の夜間開館も狙い目となりそうです。
「もっと知りたいベラスケス/東京美術」
4月23日(月)は「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」として、大学生のために「プラド美術館展」が特別に開館します。学生の方は学生証を提示すると無料で入場出来ます。(10時から17時まで)
[プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光 巡回予定]
兵庫県立美術館:2018年6月13日(水)~10月14日(日)
5月27日まで開催されています。
「日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」(@prado_2018) 国立西洋美術館
会期:2月24日(土)~5月27日(日)
休館:月曜日。但し3月26日(月)と4月30日(月)は開館。
時間:9:30~17:30
*毎週金・土曜日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1600(1400)円、大学生1200(1000)円、高校生800(600)円。中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園7-7
交通:JR線上野駅公園口より徒歩1分。京成線京成上野駅下車徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅より徒歩8分。
「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」
2/24~5/27

国立西洋美術館で開催中の「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」を見てきました。
スペイン王室のコレクションを中核としたマドリードのプラド美術館には、特に17世紀スペインの王、フェルぺ4世の収集した絵画が数多く収められました。
プラド美術館のコレクションが3年ぶりに日本へとやって来ました。作品点数は61点と、必ずしも多いとは言えませんが、2メートルを超えるような絵画も目立ち、会場に余った箇所はありませんでした。
特筆すべきはベラスケスで、国内では過去最多の7点の絵画が展示されていました。振り返れば、2006年のプラド美術館展では5点でした。その数をもってすれば、「これは事件」と銘打つのも、あながち誇張ではないかもしれません。

ディエゴ・ベラスケス「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」 1635年頃 マドリード、プラド美術館
チラシ表紙を飾るのも、ベラスケスの1枚、「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」でした。フェリペ4世の長男として生まれた、幼きバルタサール・カルロスが、両前脚を振り上げた馬に跨っては、堂々と前を見据える姿を描いていました。王位の継承者として、さぞかし期待されていたのでしょう。フェリペ4世が造営した宮殿の核心部である「諸王国の間」にて、国王夫妻の騎馬像の間に飾られていたそうです。
王子はまだ5歳ながらも、馬の動きに振り回されることなく、さも未来を指し示すべく、指揮棒を高らかに掲げていました。おおよそ2メートルほどの作品でしたが、もっと大きく感じられたのは、下から見上げられることを意識したのか、馬の身体が膨らんでいたからかもしれません。背後には、幾分、素早い筆触により、マドリード郊外のグアダラマ山脈が描かれていました。まさしく前途に輝かしい王子を祝福するかのような一枚でもありますが、実際に王位を継ぐことなく、僅か16歳の若さで亡くなりました。
父、フェルぺ4世を描いた絵画もありました。それがベラスケスの「狩猟服姿のフェリペ4世」で、向かって左に猟犬を従え、右手で長い猟銃を持ち、左手で腰へ手を当てては、やや斜めを向いて立つ王の姿を捉えていました。狩猟は戦いに備えるための鍛錬として重要でもあり、王の統治者としての力量を示すものでもありました。
ここで興味深いのは、一切の華美な装身具などを付けず、それこそ王と言われなければ、王と分からないことでした。もちろん実際は「王のギャラリー」に飾られていたため、当時は、誰が見てもフェリペ4世だと知っていたのかもしれませんが、ここに王も、一人の威厳を持った人物として描いた、ベラスケスの「近代性」(解説より)が指摘されるのかもしれません。

ディエゴ・ベラスケス「マルス」 1638年頃 マドリード、プラド美術館
ベラスケスの「マルス」も、モデルの地位を超えた、人の内面を見据えた作品と言えるかもしれません。兜こそかぶっているものの、脱いだ甲冑を足元に置き、頰杖をした男は、おおよそ戦いの神には見えません。いわゆるマルスの休憩の場面で、作品に対して、いくつかの解釈もなされているそうですが、ぼんやりと遠目を見据え、戦いに疲れ果てた男の心情が滲み出しているかのようでした。

ディエゴ・ベラスケス「東方三博士の礼拝」 1619年 マドリード、プラド美術館
ベラスケスのキャリア初期、まだ宮廷画家になる前の珍しい宗教絵画もやって来ていました。それが20歳の時の「東方三博士の礼拝」で、「泥臭いリアリズム」(解説より)ながらも、人物の着衣の際立った質感や、陰影のはっきりした表現など、キリスト誕生の有名な場面を、巧みに描いていました。なお登場人物にはモデルがいて、マリアは妻であり、手前にひざまずくメルキオールは画家本人だとされているそうです。

フランシスコ・デ・スルバラン「磔刑のキリストと画家」 マドリード、プラド美術館
さてプラド美術館展は、何もベラスケス展ではありません。ベラスケス以外にも見るべき作品がたくさんありました。うち私が最も惹かれたのが、フランシスコ・デ・スルバランで、「磔刑のキリストと画家」では、グレーの暗がりを背景に磔刑に処せられたキリストと、その右でパレットを持って立つ画家の姿を描いていました。画面は静謐ながらも、画家がキリストを見上げながら、祈りの文句を唱える姿は劇的でもあり、一瞬の動きを捉えたようにも見えなくありません。この画家はスルバラン本人とも、守護聖人の聖ルカとも言われています。
なた同じくスルバランの「祝福する救世主」も魅惑的な作品で、世界を表す球体を左手で触れたキリストの姿を示していました。ここでは衣服の質感、そして何よりも手の指先の肉感的な表現が秀でていて、やや虚ろな眼差しを見せるキリストの表情自体からは、何やらアンニュイで、独特な雰囲気も感じられるのではないでしょうか。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ「小鳥のいる聖家族」 1650年頃 マドリード、プラド美術館
バルトロメ・エステバン・ムリーリョの「小鳥のいる聖家族」における、微笑ましい情景にも魅せられました。右にヨセフ、左にマリアの見つめる中、小鳥を右手で持って、白い子犬と触れ合うのが幼きキリストで、確かに聖家族を主題としながらも、その長閑な光景は、一般的な家庭の日常を描いたように思えるほどでした。ただしヨセフを壮年の姿にして描くのは、17世紀のスペインに特有の図像で、ヨセフ信仰の高まりを示すとされています。
マリアさまの像が起こした奇跡に、みんなびっくりなのである!カトリック教会の力が強かった、スペインならではの宗教画である。 pic.twitter.com/DU0OZrQW9z
— カルロスくん@プラド美術館展【公式】 (@prado_2018) 2018年1月30日
アロンソ・カーノの「聖ベルナルドゥスと聖母」には驚きました。中央で白い衣服に身を包むのが、12世紀の神学者とされる聖ベルナルドゥスで、ちょうど聖堂の祭壇のマリアの彫像を前に、両手を開いて祈りを捧げていました。手前にももう一人、手を合わせて祈る男の姿もありました。
何に驚いたのかと言えば、マリアの手が自らの乳房を右手で摘み、乳を出しては、かの聖人の口に向けていわば飛ばしていることでした。聖人は上目遣いで、この奇跡に恍惚としているのか、もはや茫洋としているようにさえ見えました。この神秘の授乳の神話も、当時のスペインで好まれ、幾つもの作品が描かれたそうです。実に劇的な場面であり、多くの人々の心を捉えたに違いありません。
もう1点、デニス・ファン・アルスロートの「ブリュッセルのオメガング もしくは鸚鵡の祝祭:職業組合の行列」も、強い印象を与えられる作品でした。縦1メートル30センチ、横幅は3メートル80センチにも及ぶ横長のキャンバスには、ブリュッセルで今も行われているオメガングと呼ばれる祭りの光景が描かれています。これは14世紀に、ザブロン教会に祀られたマリア像の周囲を行列したことを起源とする祭りで、タイトルの「行列」が表すように、ともかく右へ左へと、幾重にも折れながら、ひたすらに歩く人々の姿を見ることが出来ました。また、観客なのか、行列の向こう側の建物の窓も多くの人で埋め尽くされ、そもそも画面全体が人で溢れかえっていました。ここには一体、何名の人物が描かれているのでしょうか。

クロード·ロラン「聖セラピアの埋葬のある風景」 1639年頃 マドリード、プラド美術館
はじめにも触れましたが、国内でのプラド美術館の開催は、何も今年に始まったわけではありません。近年では、「プラド美術館展ースペイン宮廷 美への情熱」(三菱一号館美術館、2015年)、「プラド美術館所蔵 ゴヤー光と影展」(国立西洋美術館、2011年)、さらには「プラド美術館展ースペインの誇り 巨匠たちの殿堂」(東京都美術館、2006年)などが行われてきました。実に5度目の開催でもあります。

ペーテル・パウル・ルーベンス「聖アンナのいる聖家族」 1630年頃 マドリード、プラド美術館
今回はベラスケスを中心とした、17世紀のスペイン宮廷に関する絵画を、「知識」や「神話」、「宮廷」、「風景」など、8つのテーマに沿いながら紹介していました。西洋美術館ニュースの「ゼフュロス」で、川瀬学芸員が断っていたように、ベラスケスの画業の展開を、美術史的解釈のもとに提示するものではありません。
しかしそれでも、例えばスペインでは、対抗宗教改革の観点から、宗教的主題が重要視され、特に聖人、聖女や、信仰心の現れとされた幻視を描いた作品が尊ばれたことを指摘するなど、単に名品を揃えるだけでなく、作品の生まれた背景について踏み込んでいたのも、特徴の1つと言えるのではないでしょうか。実際、キャプションも緻密で、かなり読ませる展覧会でもありました。カタログの解説も、一点一点、充実していました。

会期当初、2週目の日曜日に観覧してきました。お昼過ぎに西洋美術館に着きましたが、入場待ちの待機列もなく、場内も特に混雑せず、どの作品も一番前で鑑賞出来ました。
だだし、何かと高い知名度を誇るプラド美術館のことです。桜の咲く頃、もしくはGW以降は混み合うかもしれません。毎週、金曜と土曜日の夜間開館も狙い目となりそうです。

4月23日(月)は「キヤノン・ミュージアム・キャンパス」として、大学生のために「プラド美術館展」が特別に開館します。学生の方は学生証を提示すると無料で入場出来ます。(10時から17時まで)
[プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光 巡回予定]
兵庫県立美術館:2018年6月13日(水)~10月14日(日)
明日開幕。国立西洋美術館『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』。スペイン王室の収集品を核に1819年に開設された、世界屈指の美の殿堂プラド美術館。本展では、同美術館の誇りディエゴ・ベラスケス作品7点を軸に、17世紀絵画の傑作など61点を含む70点を紹介!幅広いコレクションの魅力たっぷり。 pic.twitter.com/0bb32ZfBqW
— ミュージアムカフェ【公式】 (@museumcafe) 2018年2月23日
5月27日まで開催されています。
「日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」(@prado_2018) 国立西洋美術館
会期:2月24日(土)~5月27日(日)
休館:月曜日。但し3月26日(月)と4月30日(月)は開館。
時間:9:30~17:30
*毎週金・土曜日は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1600(1400)円、大学生1200(1000)円、高校生800(600)円。中学生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園7-7
交通:JR線上野駅公園口より徒歩1分。京成線京成上野駅下車徒歩7分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅より徒歩8分。
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