都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「生誕60周年記念 くまのパディントン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
Bunkamura ザ・ミュージアム
「生誕60周年記念 くまのパディントン展」
4/28〜6/25

1958年、マイケル・ボンドによって生まれた「パディントン」シリーズは、今年、生誕60周年を迎えました。
それを期したのが、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「くまのパディントン展」で、児童書の挿絵でお馴染みのペギー・フォートナムをはじめとした作家の絵本や漫画の原画、また出版された書籍、さらにはボンドの仕事道具などを展示し、パディントンの世界を紹介していました。

ペギー・フォートナム 「パディントン、テストをうける」の挿絵原画 1979年
はじまりは「パディントンの物語」で、第1巻シリーズより挿絵を手がけたペギー・フォートナムによる挿絵原画、および複製画により、10巻にわたるパディントンの物語を辿っていました。挿絵原画は2点に過ぎませんが、いずれもラフで素早い線描によって、パディントンの動きを巧みに捉えていて、自転車に乗る姿などは、スピード感も表現されていました。
ブラウン夫妻がパディントンと出会ったのは、地下鉄が多数乗り入れ、ロンドン北西部最大の鉄道ターミナルであるパディントン駅でした。同駅には現在、パディントンの銅像があり、グッズを取り揃えたショップも開設されていて、その銅像の複製や、駅の時刻表なども展示されていました。
「くまのパディントン/福音館書店」
続くのが「パディントン誕生秘話」で、生みの親であるマイケル・ボンドの仕事道具や手紙類などが公開されていました。1926年にイギリスのニューベリーで生まれたボンドは、第二次大戦に従軍したのち、1945年には執筆活動をはじめました。そして早くも2年後には、最初の短編小説が雑誌、「ロンドン・オピニオン」に掲載され、小説家を目指しました。1958年に「くまのパディントン」が出版された時は、BBCのカメラマンとして働いていたそうです。

フレッド・バンベリー 絵本「パディントンのかいもの」の原画 1973年
パディントンは出版直後から人気を集め、次々と新しい話が誕生しました。そして1972年には、フレッド・バンベリーによって、子ども向けの絵本が出版されました。そのほかにもデイビット・マッキーや、アメリカのR.W.アリーらによって絵本が作られました。

R.Wアリー 絵本「クマのパディントン」の原画 2007年
これらの一連の絵本も数多く展示されていました。バンベリーの原画は水彩の色彩感が瑞々しく、マッキーは風刺性のある表現により、ユーモラスな物語を生み出していました。1997年にパディントンの絵本を手がけたアリーは、現在も活動中で、精緻な筆触と、温かみのある描写が目を引きました。「パディントン」シリーズは、結果的に40以上の言語に翻訳、ないし出版されていて、累計出版数は何と3500万部にも及んでいるそうです。会場では、日本語はもちろん、ヘブライ語や中国語、それにラテン語版などの絵本を見ることが出来ました。

アイバー・ウッド「商品化のためのアイデア画」 1970年代後半
1970年にイギリスの新聞、「ロンドン・イブニング・ニュース」に連載された、アイバー・ウッドの4コマ漫画も原作もやって来ました。さらにウッドは、BBCで放映されたパペットアニメの制作も手がけ、そのイラストは、同時期のぬいぐるみや商品に多く用いられました。つまりキャラクターイメージの確立に貢献した人物でもありました。
はじめてパディントンのぬいぐるみを製作したのは、1972年のガブリエル・デザインズ社で、のちにシュタイフ社など、世界各国のメーカーがぬいぐるみを制作しました。グッズ類では、ぬいぐるみとともに、スーツケースや食器セットなども出ていました。

「くまのパディントン展」撮影コーナー
なお作家のマイケル・ボンドは、2017年6月、91歳にて亡くなられました。そのボンドに取材したインタビュー映像(2016年撮影)も、見どころと言えそうです。
会場内、グッズ売り場ともに盛況でした。

我が家のパディントン。かなり年季が入っています。
帽子とダッフルコートがトレードマークのパディントンですが、絵本作家によって描写がかなり異っているのも、興味深いところでした。またグッズ類も多様で、いわゆるキャラクタービジネスの展開も伺い知れるかもしれません。単に「かわいらしい」だけに留まらない、パディントンの辿った長きに渡る歴史、言い換えれば成長物語を知ることが出来ました。
「映画パディントン2/ポニーキャニオン」
6月25日まで開催されています。なお東京展終了後、広島県三次市の「奥田元宋・小由女美術館」(7/6〜8/26)へと巡回します。
「生誕60周年記念 くまのパディントン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(@Bunkamura_info)
会期:4月28日(土)〜6月25日(月)
休館:5月8日(火)、6月5日(火)。
時間:10:00~18:00。
*毎週金・土は21時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1600(1400)円、大学・高校生1000(800)円、中学・小学生700(500)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要事前予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
「生誕60周年記念 くまのパディントン展」
4/28〜6/25

1958年、マイケル・ボンドによって生まれた「パディントン」シリーズは、今年、生誕60周年を迎えました。
それを期したのが、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「くまのパディントン展」で、児童書の挿絵でお馴染みのペギー・フォートナムをはじめとした作家の絵本や漫画の原画、また出版された書籍、さらにはボンドの仕事道具などを展示し、パディントンの世界を紹介していました。

ペギー・フォートナム 「パディントン、テストをうける」の挿絵原画 1979年
はじまりは「パディントンの物語」で、第1巻シリーズより挿絵を手がけたペギー・フォートナムによる挿絵原画、および複製画により、10巻にわたるパディントンの物語を辿っていました。挿絵原画は2点に過ぎませんが、いずれもラフで素早い線描によって、パディントンの動きを巧みに捉えていて、自転車に乗る姿などは、スピード感も表現されていました。
ブラウン夫妻がパディントンと出会ったのは、地下鉄が多数乗り入れ、ロンドン北西部最大の鉄道ターミナルであるパディントン駅でした。同駅には現在、パディントンの銅像があり、グッズを取り揃えたショップも開設されていて、その銅像の複製や、駅の時刻表なども展示されていました。

続くのが「パディントン誕生秘話」で、生みの親であるマイケル・ボンドの仕事道具や手紙類などが公開されていました。1926年にイギリスのニューベリーで生まれたボンドは、第二次大戦に従軍したのち、1945年には執筆活動をはじめました。そして早くも2年後には、最初の短編小説が雑誌、「ロンドン・オピニオン」に掲載され、小説家を目指しました。1958年に「くまのパディントン」が出版された時は、BBCのカメラマンとして働いていたそうです。

フレッド・バンベリー 絵本「パディントンのかいもの」の原画 1973年
パディントンは出版直後から人気を集め、次々と新しい話が誕生しました。そして1972年には、フレッド・バンベリーによって、子ども向けの絵本が出版されました。そのほかにもデイビット・マッキーや、アメリカのR.W.アリーらによって絵本が作られました。

R.Wアリー 絵本「クマのパディントン」の原画 2007年
これらの一連の絵本も数多く展示されていました。バンベリーの原画は水彩の色彩感が瑞々しく、マッキーは風刺性のある表現により、ユーモラスな物語を生み出していました。1997年にパディントンの絵本を手がけたアリーは、現在も活動中で、精緻な筆触と、温かみのある描写が目を引きました。「パディントン」シリーズは、結果的に40以上の言語に翻訳、ないし出版されていて、累計出版数は何と3500万部にも及んでいるそうです。会場では、日本語はもちろん、ヘブライ語や中国語、それにラテン語版などの絵本を見ることが出来ました。

アイバー・ウッド「商品化のためのアイデア画」 1970年代後半
1970年にイギリスの新聞、「ロンドン・イブニング・ニュース」に連載された、アイバー・ウッドの4コマ漫画も原作もやって来ました。さらにウッドは、BBCで放映されたパペットアニメの制作も手がけ、そのイラストは、同時期のぬいぐるみや商品に多く用いられました。つまりキャラクターイメージの確立に貢献した人物でもありました。
はじめてパディントンのぬいぐるみを製作したのは、1972年のガブリエル・デザインズ社で、のちにシュタイフ社など、世界各国のメーカーがぬいぐるみを制作しました。グッズ類では、ぬいぐるみとともに、スーツケースや食器セットなども出ていました。

「くまのパディントン展」撮影コーナー
なお作家のマイケル・ボンドは、2017年6月、91歳にて亡くなられました。そのボンドに取材したインタビュー映像(2016年撮影)も、見どころと言えそうです。
「くまのパディントン™展」の開催に合わせ特別に制作された本展オリジナルグッズは、会場のみの限定販売。お買い逃しなく! #ミュージアム #パディントン展https://t.co/w7CFriwAA2 pic.twitter.com/eEEv1yhr92
— Bunkamura公式ツイッター (@Bunkamura_info) 2018年5月11日
会場内、グッズ売り場ともに盛況でした。

我が家のパディントン。かなり年季が入っています。
帽子とダッフルコートがトレードマークのパディントンですが、絵本作家によって描写がかなり異っているのも、興味深いところでした。またグッズ類も多様で、いわゆるキャラクタービジネスの展開も伺い知れるかもしれません。単に「かわいらしい」だけに留まらない、パディントンの辿った長きに渡る歴史、言い換えれば成長物語を知ることが出来ました。

6月25日まで開催されています。なお東京展終了後、広島県三次市の「奥田元宋・小由女美術館」(7/6〜8/26)へと巡回します。
「生誕60周年記念 くまのパディントン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(@Bunkamura_info)
会期:4月28日(土)〜6月25日(月)
休館:5月8日(火)、6月5日(火)。
時間:10:00~18:00。
*毎週金・土は21時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1600(1400)円、大学・高校生1000(800)円、中学・小学生700(500)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要事前予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
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