「田原桂一 Sens de Lumière」 ポーラミュージアムアネックス

ポーラミュージアムアネックス
「田原桂一 Sens de Lumière」 
6/1~6/10



ポーラミュージアムアネックスで開催中の「田原桂一 Sens de Lumière」を見てきました。

1951年に京都で生まれ、パリで活動し、「光を追い求めた」(解説より)写真家の田原桂一は、ちょうど1年前の6月6日、65歳で亡くなりました。



まさに一周忌を迎えての展覧会です。初期の「窓」シリーズのほか、ルーヴル美術館などの西洋の彫刻を撮影し、石やガラスに焼き付けた「トルソー」などが出展されていました。



やはり目を引くのが、一連の「トルソー」で、特に石へ彫刻を写した作品は、彫刻の重みが、石のざらりとした表面の質感を借りて、より深い陰影を見せていました。また「光」をテーマとしているだけあり、独特な光の陰影も魅力の1つで、中には自ら発光していると思うほど、淡い光を放っている作品もありました。



さらに目をこらすと、一部に金箔も貼り付けられていて、石の細かなひび割れなど、実に精緻な感触をたたえていることも分りました。



正面中央の「窓」がハイライトと言えるかもしれません。布に直接、戸外の風景を印画した作品で、窓の向こうには、建物のドーム型の尖塔が朧げに浮かび上がっていました。



その左右には、生前の田原が愛用したフランス製の年代物のソファーも置かれていて、さらにおそらく遺品なのか、ヘビ革のランプがオレンジ色の明かりを灯していました。そして百合の花束が飾られていて、何やら厳粛でもあり、どこか祭壇のようにも思えました。



田原に関する資料も展示されていました。それが、初期のノートやネガフィルム、また実際に用いられたカメラで、中には愛飲していたフランスの煙草や、1993年に受賞したフランス芸術文化勲章シュヴァリエなどもありました。



奥の小部屋の映像も見逃せません、2004年の日曜美術館で特集された内容で、田原がアトリエで作品を現像するシーンなどが映し出されていました。生前の田原も偲ばれるかもしれません。



かつて刊行された作品集を自由に閲覧することも可能でした。田原の幅広い制作を知ることも出来るのではないでしょうか。



「トルソー」は実に優美でかつ肉感的な姿を見せていました。指はぷっくらと膨らみ、腕や柔らかく丸みを帯びていて、まるで弾力性があるかのようでした。一体、どのようにして光を「つかみ取った」(一部、田原の言葉より)のでしょうか。



実にタイトなスケジュールの展覧会です。会期は10日間しかありません。


入場は無料です。6月10日まで開催されています。

「田原桂一 Sens de Lumière」 ポーラミュージアムアネックス@POLA_ANNEX
会期:6月1日(金)~6月10日(日)
休館:会期中無休
料金:無料
時間:11:00~20:00 *入場は閉館の30分前まで
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )