「スズキユウリ Playing with Sound」 ポーラミュージアムアネックス

ポーラミュージアムアネックス
「スズキユウリ Playing with Sound」 
8/22-9/23



ポーラミュージアムアネックスで開催中の「スズキユウリ Playing with Sound」を見て来ました。

1980年生まれのサウンドアーティスト、スズキユウリ。かつて明和電機でアシスタントをつとめ、近年は主に在住のロンドンで活動しているそうです。

日本では初めての大型の個展です。ずばりテーマは「音と遊ぶ」。音を素材にしたインタラクティブな作品を展示しています。

さてともかく音、まずは耳を澄ませてといきたいところですが、自らが動かずに立っているだけでは殆ど何も聞こえてきません。あくまでもインタラクティブです。言わば観客が積極的に作品と接する必要があります。

少し回りくどくなりました。ともかく遠慮せずに作品に触れてみましょう。


スズキユウリ「OTOTO」2014

すると意外なモノから思わぬ音が聞こえてきます。「OTOTO」です。テーブルの上には水の入ったコップやガラス器、それにステンレスのボールやスプーンなどが並んでいる。いずれも黄色や赤の電線で繋いであります。


スズキユウリ「OTOTO」2014
 
そして電線の先に要注目です。ここに全ての種明かしがあります。ようは電気を通すものであれば何でも楽器に変えられるシンセサイザーが接続してあるわけです。


スズキユウリ「OTOTO」2014

つまりこれらのグラスなりに触れると音が出てくる仕掛け。段ボール製のギターやピアノまでもあります。ボールのドラムでしょうか。全て楽器に様変わりしました。


スズキユウリ「The Sound of The earth」2009-2012

「The Sound of The earth」は地球儀型のレコードプレイヤーです。ヘッドホンをつけましょう。様々な音が断片的に聞こえてきます。何とこれは世界中の音楽が録音されているとか。30分かけての再生です。世界一周旅行を音で擬似体験出来ました。


スズキユウリ「Looks Like Music」2013

線路の上を音楽のミニカーが走ります。「Looks Like Music」です。黒い線がレールとすれば、交差するカラフルな横線は枕木でしょうか。そしてミニカーは枕木を横切る時に音を発します。もちろんどういうレールを敷くのかは参加者の自由。枕木を描く場所も同様です。色の種類や太さで音も変わります。さもプラレールで遊ぶように音のミニカーを走らせることが出来ます。


スズキユウリ「Garden of Russoio」2013

子どもたちが嬉しそうに「楽器」に触れている姿が印象的でした。肩の力を抜いて気軽に楽しめる展覧会です。



入場は無料です。9月23日まで開催されています。

「スズキユウリ Playing with Sound」 ポーラミュージアムアネックス@POLA_ANNEX
会期:8月22日(金)~9月23日(火・祝)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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「人思い、人想う。」(後編・展示について) ホキ美術館

ホキ美術館
「人思い、人想う。」
5/22-11/16



中編(館内について)に続きます。ホキ美術館へ行って来ました。

「人思い、人想う。」(中編・館内について) ホキ美術館(はろるど)

館内にずらりと並ぶ現代写実絵画、その全ては美術館の創設者で、医療メーカーのホギメディカルの創業者でもある保木将夫氏が収集したコレクションです。

出品は150点です。コレクション総数350点のうち、ほぼ半年に1度程度で入れ替わります。

館内の撮影の許可をいただきました。


生島浩「5:55」2010年

まずは「ギャラリー1」の企画展「人思い、人想う。」です。目を引くのはチラシ表紙にも掲げられた生島浩の「5:55」。長い髪の女性がどこかためらいがちに椅子へ腰をかけている。左から光が差し込み、テーブルの上にはロウソクも置かれています。ちなみにタイトルの「5:55」は時間のことです。確かに右上の時計が6時前を指しています。モデルがまもなく帰る時間なのでしょうか。伝統的なオランダの室内肖像画を思わせる静謐な雰囲気が漂っています。


磯江毅「横たわる男」2001-2002年

2011年の練馬区立美術館での回顧展の記憶も甦りました。磯江毅です。作品は「横たわる男」、画家を象徴するというべきモノクロームの世界、一人の鼻の高い男がベットの上に仰向けて横たわる。2枚のキャンバスを繋いで一枚の画面に仕上げています。


諏訪敦「深海」2003年

諏訪敦の「深海」です。こちらもほぼモノクローム、ベットを上からの視点で眺めている。白いシーツの質感も驚くほど豊かです。まさに眠りの海に沈み込んでいるのでしょう。すっかり安心しきったように眼を閉じている。手を胸の辺りにそっと寄せて眠りこけています。

画家の石黒賢一郎さんのお話を聞くことが出来ました。


石黒賢一郎「惰眠」1993-2012年

作品は5点です。うち最初に写実を手がけたのが「惰眠」。1993年に描き始め、2012年まで手を加えて完成させた作品です。公園で帽子を頭の上にのせて眠る男、いわゆるホームレスでしょうか。モデルは実際に公園にいた人物です。石黒さんが酒をおごったりしてモデルになってもらったそうです。


石黒賢一郎「CH-08(KISARAGI)」2011年

ほか4点は近年に制作されたもの。石黒さん、ともかく作品を前にすると「持って帰りたい。」という言葉を連発されましたが、それはまだ描き直したい部分があるからとのこと。例えば「CH-08(KISARAGI)」では背景とモデルの髪にさらに手を加えたいそうです。


石黒賢一郎「No a ×××.」2013年

背景に目を奪われました。薄暗がりで滲みが点々と連なっている。これはスペインのマンチャと呼ばれる「汚す」デッサンのことで、作品の物質としての強度、言い換えればその部分を切り取っても一つのオブジェとして成立するようにしたいと考えているからだとか。またいずれもモチーフは画家のアトリエの壁です。釘が描かれている作品もありましたが、それも実際に刺さっているものだそうです。

石黒さんの近作のシリーズ、いわゆるアニメのキャラクターの引用がありますが、それとモデルは必ずしも似ている必要はないとのこと。多少意識する程度だそうです。


「ギャラリー1」 石黒賢一郎

実在のモデルと絵画ではどうやってもモデルの方が本来的に存在感があると述べる石黒さん。ゆえにモデルを理想化するというよりも、そのエッセンスをいかに絵画に定着化させるかを心がけているそうです。

テクニックについても少し触れて下さいました。基本的に表面の絵具は盛らない。何故ながらそもそも厚く塗ると細かい部分が描きにくくなるからだそうです。「実際の肌は全く盛っていないよね。」というお話を聞くと、さもありなんという気もしました。

ちなみにこの絵具を盛っているかそうでないかという部分は、ほかの写実絵画を鑑賞する際においても一つのキーポイントになるかもしれません。

いわゆる写真のような絵画といえども、画肌に目を凝らせば、各画家の絵筆の息遣いが感じられる。それは画家によって全くと言ってよいほど異なります。


「ギャラリー2」 森本草介

「ギャラリー2」に進みましょう。森本草介の作品です。美術館でも人気の画家。ホキコレクションでも最も作品の多い画家でもあります。

これらはいずれも昨年12月から個展のために館外に貸し出され、大阪や東京を巡回。延べ数万人もの来場者を集めました。戻ってきたのは約半年ぶりのことです。人物、風景、静物をあわせて計33点の作品が公開されています。

「ギャラリー3」と「ギャラリー4」では五味文彦が圧倒的ではないでしょうか。


五味文彦「青い器物のある静物」2005年

「青い器物のある静物」、メロンやレモンの果物ともに陶やグラスが並ぶ。白いレースのクロスの質感も美しい。息をのんでしまいます。


五味文彦「あかいはな」2010年

「ギャラリー4」は五味の展示室です。作品はまとめて8点、いずれも甲乙付け難いものがありますが、あえて一点あげるのであれば「あかいはな」、写真でも際立つかもしれませんが、このクリアなガラスのコップ。中にはバラが水に浮かんでいますが、ガラスによって出来る歪みまでをも精巧に描く。微かに延びた影も素晴らしい、一匹の蜂が画面に入り込んでもいます。



中編のエントリでも触れましたが、鑑賞時間はゆうに2時間以上です。私自身、元々写実にはあまり興味がなかったのですが、見終えた後は考えも変わりました。石黒さんの仰る「本物の素晴らしさを写実で示す。再現する。」ということの奥深さ、魅力を初めて知ったような気がします。



千葉の「昭和の森」に隣接するホキ美術館、建物しかり、作品しかり、一見の価値は十分にあります。なお少し都内から距離はありますが、東京駅発着のバスツアーなどに参加されるのも手かもしれません。

「鑑賞会・バスツアー」@ホキ美術館

「写実絵画の魅力/写実絵画専門美術館 ホキ美術館に見る/世界文化社」

写実絵画とひたすらに対峙する時間。思わず集中してしまいます。久々に心地良いまでの疲労感を覚えました。その後、改めてカフェで休憩したのは言うまでもありません。



「人思い、人想う。」は11月16日まで開催されています。

[ホキ美術館関連エントリ]
「人思い、人想う。」(前編・美術館について)
「人思い、人想う。」(中編・館内について)

「人思い、人想う。」 ホキ美術館@hoki_museum
会期:5月22日(木)~11月16日(日)
休館:火曜日。但し祝日の場合は開館。翌日休館。
時間:10:00~17:30
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、大学・高校生・65歳以上1300円、中学生900円。
 *10名以上の団体は1600円。(65歳以上は1300円。)
 *小学生団体は750円。
 *「千葉市民の日」(10/18)は一般入館料が半額。
住所:千葉市緑区あすみが丘東3-15
交通:JR線土気駅から千葉中央バス「あすみが丘ブランニューモール」行きに乗車、「あすみが丘東4丁目」下車徒歩2~3分。有料駐車場あり。

注)館内の撮影は美術館の特別な許可を得ています。
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「人思い、人想う。」(中編・館内について) ホキ美術館

ホキ美術館
「人思い、人想う。」
5/22-11/16



前編(美術館について)に続きます。ホキ美術館へ行って来ました。

「人思い、人想う。」(前編・美術館について) ホキ美術館(はろるど)

ぐるっと外観を見終えた後は館内へ入場しました。エントランスから右手が定評のあるレストラン、左がミュージアムショップとチケットブース。展示室へも左手から進みます。

今回は撮影の許可を特別にいただきました。



ミュージアムショップから受付方向です。緩やかなカーブを描いてのびる空間。そして天井にも注目です。照明、もしくは点検、空気孔でしょうか。さも星空の広がるように無数の穴があいています。



館内案内図です。展示室は全部で9つ。地上部分から地下1階、そして地下2階と下へ降りていく動線となっています。そして興味深いのはいずれの展示室も回廊であることです。いわゆる四角形、ホワイトキューブは一つとしてありません。



最初の「ギャラリー1」です。ここでは企画展「人思い、人想う。」を開催中。29名の作家による人物画50点が並びます。

また写真でもお分かりいただけるように中庭部分に採光のための窓があります。それがちょうど作品の下の部分で連続して繋がっているのです。



私も色々な美術館に出かけましたが、作品の真下に窓があるのを初めて見ました。ホキ美術館の展示室の大きな特徴と言えそうです。



また「ギャラリー1」で一つ面白いのが作品の設置方法です。裏側を見やるとご覧の通り、マグネットで作品が吊られています。これは「ギャラリー1」が鉄によって出来ているために為せる業。キャプションもマグネット式だそうです。ゆえにピクチャーレールはありません。



1つ下へ降りて「ギャラリー2」へと向かいます。こちらからはいわゆる常設展です。森本草介の作品が展示されています。そしてこちらも「ギャラリー1」同様の回廊型です。両サイドの壁面に作品が並びます。

床の中央に白く丸いものがあります。椅子です。背もたれはありませんが、意外と収まりよく腰掛けることが出来る。また歩いていると微かに床面に弾力があることに気がつきました。これは足腰にかかる衝撃の負担を軽減させるために選ばれた床材なのだそうです。確かに足音も響きません。



「ギャラリー3」はいわゆる「中堅作家」(美術館サイトより)の展示室。また長細い通路状の「ギャラリー4」では五味文彦の作品が展示されています。



陶芸の展示室がありました。「ギャラリー5」です。今年充実した回顧展もあった板谷波山の作品も並びます。大きな窓が目を引きました。ほかの展示室とは明らかに雰囲気は異なります。



地下2階への大階段です。階下は「ギャラリー6」。美術館で最も天井高のある空間です。吹き抜けのためか音響効果にも優れているそうです。イベントやトークの会場としても利用されます。



また振り返れば天井の照明が際立って見えました。ちなみに照明は全てLED、2種類の異なる色温度の照明を組み合わせて用いています。天の川の如く連なって来た照明がここで収斂する。なかなかドラマテックな演出でもあります。



さらに細かいことですが、手すりが埋め込み式になっているのも良いと思いました。手に馴染みます。



地下2階にも自然光を取り入れています。「ギャラリー7」です。回廊の動線は基本的に一方通行です。ただ大きさも奥行きも異なる展示室、作家のセレクトもバリエーションがあり、進むたびに意外と「景色」が変化します。また外から見た印象とは異なり、内部はかなり広く感じました。結局2時間近くは見入っていたかもしれません。



ハイライトと言って良いでしょう。「ギャラリー8」です。美術館の依頼した14名の作家の「代表作」がずらりと並びます。いずれも100号以上です。また「ギャラリー8」のみ一作品毎に音声ガイドが用意されています。独立ボックス型の音声ガイド。前に立つと聞こえてくる仕掛けです。指向性の強いスピーカーを利用しています。



館内に飲食施設は2箇所。イタリアンレストラン「はなう」と軽食のみのミュージアムカフェです。この日はレストランでパスタランチをいただきましたが、本格派で美味。前菜やデザートの盛り合わせもボリュームがありました。



「はなう」は事前に予約も受付ているそうです。この日もお昼時は満席のようでした。レストランのみの利用も出来ます。あらかじめ問い合わせておいた方が良さそうです。(美術館の近くに飲食施設はありません。)

イタリアンレストラン「はなう」@ホキ美術館

後編(展示について)へ続きます。

[ホキ美術館関連エントリ]
「人思い、人想う。」(前編・美術館について)
「人思い、人想う。」(後編・展示について)

「人思い、人想う。」 ホキ美術館@hoki_museum
会期:5月22日(木)~11月16日(日)
休館:火曜日。但し祝日の場合は開館。翌日休館。
時間:10:00~17:30
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、大学・高校生・65歳以上1300円、中学生900円。
 *10名以上の団体は1600円。(65歳以上は1300円。)
 *小学生団体は750円。
 *「千葉市民の日」(10/18)は一般入館料が半額。
住所:千葉市緑区あすみが丘東3-15
交通:JR線土気駅から千葉中央バス「あすみが丘ブランニューモール」行きに乗車、「あすみが丘東4丁目」下車徒歩2~3分。有料駐車場あり。

注)館内の撮影は美術館の特別な許可を得ています。
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「人思い、人想う。」(前編・美術館について) ホキ美術館

ホキ美術館
「人思い、人想う。」
5/22-11/16



ホキ美術館で開催中の「人思い、人想う。」を見て来ました。

日本初の写実現代絵画専門の美術館として知られるホキ美術館。開館は2010年です。これまでにも多くの来館者を迎えてきました。

場所は千葉市の緑区。そして私も千葉県民です。にも関わらず一度も行ったことがありませんでした。

というわけで何名かの仲間とツアーを組んでホキ美術館へ。なにせ広大な千葉市です。緑区は市域の南東部。最寄の外房線の土気駅は千葉市内で最も東に位置します。

よって千葉市内と言えども都内からはやや時間がかかります。総武線か京葉線の外房線直通快速に乗ると東京駅から約60~70分。また直通電車がない場合は千葉駅か蘇我駅で乗り換える必要もあります。

土気駅からはバスの案内がありましたが、タクシーでも1メーターから少しあがる程度、800円前後です。周囲は「あすみが丘」と呼ばれるニュータウン。域内にはワンハンドレットヒルズ(通称チバリーリルズ)とも称される高級住宅地もあります。



区画の大きな家が立ち並ぶ分譲地を抜けるとホキ美術館の建物が見えて来ました。



表の駐車場側から見た美術館はご覧の通り。いわゆる回廊、あるいは角筒と呼んで良いのでしょうか。長い筒のような構造物が弧を描くようにして連なっています。地上1階、地下2階です。しかしながら外から眺めた感覚ではどこか1階なのかも分かりません。不思議な建物です。



設計は日建設計の山梨知彦氏。2011年度には「日本建築大賞」にも選ばれています。確かにこのファサード、実に特徴的ではないでしょうか。一瞬、大きな船のようにも見えましたが、何とも形容し難いものがありました。



裏手へ廻ってみました。一つの回廊が大きく突き出しています。そしてこの回廊こそが展示室。突き出しているのが「ギャラリー1」です。何と30メートルも浮いています。(制震構造だそうです。)



そして回廊は一方がコンクリートであるのに対し、もう一方は鉄です。その組み合わせも面白い。ただし立地が住宅地ということもあるのでしょう。建物の個性的な外観は必ずしも周囲と反目しているわけでもありません。



隣接するのは千葉市最大の公園、昭和の森です。木々の緑も建物に迫ります。



敷地面積は3860平方メートル。ただ外周を歩いた限りではさほど広いという印象は受けませんでした。ゆっくり一周しても時間はかかりません。

今度は再び表へ廻り、正面玄関へ移動してみました。



コンクリートから鉄骨が無数に突き出しています。いわゆる柵の役割を果たすものですが、これはオブジェとしても捉えられているとのこと。長さはマチマチ、さらに先端が少し傾いたりしているのがお分かりいただけるでしょうか。これは昭和の森の木立にリンクするような形で設計されているのだそうです。



確かに館内から窓の外を眺めると手前の鉄骨と木立が重なり合っているように見えました。



外壁のスリットもまた建物にアクセントを与えています。思いの外に表情は豊かです。



「人思い、人想う。」(中編・館内について) ホキ美術館(はろるど)

中編(館内について)へ続きます。

[ホキ美術館関連エントリ]
「人思い、人想う。」(中編・館内について)
「人思い、人想う。」(後編・展示について)

「人思い、人想う。」 ホキ美術館@hoki_museum
会期:5月22日(木)~11月16日(日)
休館:火曜日。但し祝日の場合は開館。翌日休館。
時間:10:00~17:30
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、大学・高校生・65歳以上1300円、中学生900円。
 *10名以上の団体は1600円。(65歳以上は1300円。)
 *小学生団体は750円。
 *「千葉市民の日」(10/18)は一般入館料が半額。
住所:千葉市緑区あすみが丘東3-15
交通:JR線土気駅から千葉中央バス「あすみが丘ブランニューモール」行きに乗車、「あすみが丘東4丁目」下車徒歩2~3分。有料駐車場あり。
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「東アジアの夢ーBankART Life4」 BankArt Studio NYK

BankArt Studio NYK
「東アジアの夢ーBankART Life4」 
8/1-11/3



BankArt Studio NYKで開催中の「東アジアの夢ーBankART Life4」を見て来ました。

ヨコハマトリエンナーレ2014の創造界隈拠点連携プログラム会場の一つであるBankArt Studio NYK。現在「東アジアの夢」と題し、主に過去バンクアートで行われた企画を紹介する展示が行われています。

会場内、撮影が可能でした。


山下拓也「L.A coHAMA OLYMPIC 14」2014年

山下拓也の作品が目立っていたのではないでしょうか。何と壁を切り取り、その破片でオブジェを作る作品を展開する。木版画なのだそうです。


山下拓也 展示風景

暗室を効果的に活かしたインスタレーション、「雨に散る油 Feat 横浜の」も映えていました。


黒田大祐「東風」

トイレ前の通路を見上げて驚きました。黒田大祐の「東風」、ご覧の通りの無数の扇風機のインスタレーションです。また一転して同じく小さな扇風機を使ったオブジェも可愛らしくもある。まるで小動物のようにひょこひょこ動きます。


青田真也「無題(Untitled)」2013年 

削りに削る青田真也も登場。昨年に神奈川県民ホールでの「日常/オフレコ」に出たピアノが再展示されていました。

「日常/オフレコ」 KAAT神奈川芸術劇場(はろるど)

今年春の「かたちの発語」展の一部再来です。田中信太郎 、岡崎乾二郎、中原浩大の作品も展示されています。


岡崎乾二郎「あっ熱っ。知らずに~」ほか 2014年

中でも圧巻なのが岡崎の彫刻群、冊子には「岩島」とありましたが、そのボリュームは確かに岩や巨石を想像させるものがある。コンクリート剥き出しの空間にも負けない迫力があります。


原口典之「オイルプール」

2009年の個展(原口典之ー社会と物質展)の記憶も甦ります。原口典之のオイルプールです。巨大な長方形に注がれた黒い廃油。周囲には鼻をつんざくような油の臭いも漂っています。


原口典之「オイルプール」

それにしてもこのプール、何度見ても魅惑的なもの。オイル越しに映りこんだ景色は全てがクリアに輝いている。鏡よりも美しい。鏡の向こうの世界こそが現実であるかのように思えてしまいます。


noridan「動く楽器自転車」

横浜では4年ぶりの公開だそうです。noridanコミュニティによる「Sprocket」。動く楽器自転車です。車には6つの楽器が設置され、2人の運転手によって演奏が行われる。車のホイールや鉄パイプが剥き出しになった車です。木琴や太鼓が貼り付いています。


高橋啓祐 映像作品

半ば常設と化した川俣ホールで展開される高橋啓祐の映像作品が秀逸でした。木組みのホールの全面に映し出されたダイナミックなインスタレーションです。身体を介在して人々が世界へと繋がる。ここは一推しにしたいところです。


「東アジアの夢」 会場風景

過去展の企画アーカイブなどはカフェ風の空間で紹介。ソファに腰を掛けながらゆったり寛ぐことも出来ます。


「国境の家」

タイトルの「東アジアの風」という意味からすると「国境の家」の展示も重要ではないでしょうか。おおよそ朝鮮通信使の時代の釜山にあったという「倭館」も再現。屋根が韓国式、平面は日本式です。

なお本展、入口受付にて単体券の1000円で入場出来ますが、トリエンナーレのセット券(一般2400円)でも観覧可能です。また横浜美術館や新港ピアから無料バスも運行中。実際に私も新港ピアからヨコトリのバスで移動しました。



またチケットは記名式のパスポート制です。会期中何度でも入場出来ます。

端的に展示映えする作品も多く、肩の力を抜いて楽しめるのではないでしょうか。ここはセット券でヨコトリから廻られることをおすすめします。

11月3日まで開催されています。

[ヨコハマトリエンナーレ2014関連エントリ]
「ヨコハマトリエンナーレ2014」(前編) 横浜美術館
「ヨコハマトリエンナーレ2014」(後編) 新港ピア
「ヨコハマパラトリエンナーレ2014」 象の鼻テラス

「東アジアの夢ーBankART Life4」 BankArt Studio NYK
会期:8月1日(金)~11月3日(月・祝)
休館:第1・3木曜日。
時間:10:00~19:00
料金:単体券1000円。*ヨコハマトリエンナーレ提携セット券あり。一般2400(2000)円、大学・専門学生1800(1400)円、高校生1400(1100)。中学生以下無料。
住所:横浜市中区海岸通3-9
交通:横浜みなとみらい線馬車道駅6出口(赤レンガ倉庫口)より徒歩5分。
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9月の展覧会・ギャラリーetc

9月に見たい展覧会などをリストアップしてみました。

展覧会

・「耀きの静と動 ボヘミアン・グラス」 サントリー美術館(~9/28)
・「美術の冒険 国立国際美術館コレクション展」 茨城県近代美術館(~9/28)
・「宗像大社国宝展」 出光美術館(~10/13)
・「アート・スコープ 2012-2014」 原美術館(~10/13)
・「鈴木康広展 近所の地球」 水戸芸術館(~10/19)
・「鏑木清方と江戸の風情」 千葉市美術館(9/9~10/19)
・「生誕200年 ミレー展 愛しきものたちへのまなざし」 府中市美術館(9/10~10/23)
・「名画を切り、名器を継ぐ」 根津美術館(9/20~11/03)
・「菱田春草展」 東京国立近代美術館(9/23~11/03)
・「印象派のふるさと ノルマンディー展」 損保ジャパン日本興亜美術館(9/6~11/09)
・「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 『遠く』へ行きたい」 東京ステーションギャラリー(9/13~11/09)
・「ボストン美術館 浮世絵名品展 北斎」 上野の森美術館(9/13~11/09)
・「輝ける金と銀ー琳派から加山又造まで」 山種美術館(9/23~11/16)
・「青磁のいまー受け継がれた技と美 南宋から現代まで」 東京国立近代美術館工芸館(9/13~11/24)
・「東アジアの華 陶磁名品展」 東京国立博物館(9/20~11/24)
・「見つめて、シェイクスピア!」 練馬区立美術館(9/28~11/30)
・「チューリヒ美術館展」 国立新美術館(9/25~12/15)
・「五木田智央 THE GREAT CIRCUS」 DIC川村記念美術館(~12/24)
・「リー・ミンウェイとその関係展」 森美術館(9/20~1/04)

ギャラリー

・「山田純嗣 絵画をめぐって 反復・反転・反映」 不忍画廊(~9/27)
・「フィオナ・タン Nellie」 ワコウ・ワークス・オブ・アート(~9/27)
・「パランプセストー重ね書きされた記憶 vol.3 井上雅之」 ギャラリーαM(~9/27)
・「斎藤陽道/百瀬文 ことづけが見えない」 ギャラリー・ハシモト(9/5~9/27)
・「TWS-Emerging 2014 第2期 廣田真夕/松田啓佑/渡邉ひろ子」 トーキョーワンダーサイト渋谷(9/6~9/28)
・「杉本博司 On the Beach」 ギャラリー小柳(~9/30)
・「六田知弘 水ノ貌」 加島美術(9/9~9/30)
・「レアンドロ・エルリッヒ」 アートフロントギャラリー(9/5~10/5)
・「中村一美個展」 Kaikai Kiki Gallery(9/5~10/2)
・「せいのもとで」 資生堂ギャラリー(9/5~10/12)
・「カンノサカン」 Maki Fine Arts(9/6~10/12)
・「クリエイションの未来展」 リクシルギャラリー(9/4~11/22)

さて今月はじまりの展覧会でまず注目したいのは根津美術館、「名画を切り、名器を継ぐ」展です。



「名画を切り、名器を継ぐ」@根津美術館(9/20~11/03)

やむなしか売却のため切り離された「佐竹本三十六歌仙絵」や、一度寸法を縮められた「大井戸茶碗 銘 十文字」など、本来の制作時の姿形とは異なる古美術品。本展ではあえてそのように改変された作品に着目する。これまでにはあまりなかったアプローチでの古美術展でもあります。

近代日本画ファン待望の回顧展です。東京国立近代美術館で菱田春草展が始まります。



「菱田春草展」@東京国立近代美術館(9/23~11/03)

何と東京では40年ぶりという大規模な展覧会。出品は100点超。新出や数十年ぶりの公開となる作品も展示されます。なお展示替えの情報もつい先日公式サイトにアップされました。前後期あわせて追いかけるつもりです。

拙ブログがこの9月で開設10周年を迎えました。

元々はクラシック音楽のホームページのダイアリーから派生したブログでした。その後、次第に話題が音楽から美術へと移り、今ではすっかり美術の感想ばかりになってしまいましたが、つらつらと駄文ながらも書き連ねて10年。我ながらよく続いたものだと思います。

一にも二にもこの飽きっぽい自分が10年間続けられたのは、ブログを読んで下さる方がおられるからです。またブログを介して色々な方ともお会いすることが出来ました。改めまして全ての方に感謝申し上げます。本当にありがとうございます。

この10年間、ブログ上でも色々と変化がありましたが、基本的に面白いと感じたものを素直にお伝えするというスタンスは変わっていないつもりです。今後も細々とマイペースで続けていきたいと思います。変わらずにお付き合い下されば嬉しいです。

それでは今月も宜しくお願いします。
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