仁木英之著『ちょうかい 未犯調査室』(2015年7月13日小学館発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
構想5年! 前代未聞の警察(?)小説
東京・吉祥寺の雑居ビル。警察庁の外郭団体、犯罪史編纂(へんさん)室。そこに集う面々は、「ちょうかい」、すなわち「懲戒免職」レベルの危険な警官たちばかり。そんな彼らの真のミッション、それは、「これから起こる犯罪を未然に防げ」というとんでもないものだった。
しかも、彼らを束ねるのは、瞬間記憶の持ち主なのに、まさかの鳥頭という、最凶キャリア女子だった――。
(鳥頭(とりあたま)とは、「三歩で忘れる鳥頭」ということわざから、物忘れの激しいこと)
「犯罪史編纂室」には、最先端の犯罪防止システムが稼働をはじめた。日本を飛び交うあらゆる文字、音声、画像が集まるデータ空間で事件が起きる兆候を読み取り、現実の世界で関係者の行動に介入して発生を食い止める。
「犯罪史編纂室」は、井の頭公園に隣接する玉光(たまみつ)神社(実在する)のすぐ近くの雑居ビルにある。
仁木英之(にき・ひでゆき)
1973年、大阪生まれ。信州大学人文学部に入学後、北京に留学。2年間を海外で過ごす。1年間の会社員生活を経て、99年より個別指導塾を経営。
2006年『僕僕先生』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。
他、「千里伝」シリーズ、「まほろばの王たち」など古代ファンタジーから現代小説まで幅広く活動。
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
冒頭のかなりな数の人工衛星ネットワークと、あらゆるデータからデータマイニングで未犯罪情報を探し出すというシステムの説明は、それなりにそれで・・・と思わせるが、枝田千秋だけが入れるという「繭」なるものが登場すると、あとはオカルトになってしまう。
何かというと「吉祥寺」という言葉が出てきて、「ふむふむ」と思うが、言葉以外の詳しい説明はない。
登場人物
犯罪史編纂室の生みの親 警察庁情報通信局・局長 岩崎誠二郎
犯罪史編纂室
枝田(えだ)千秋 室長。警察のキャリアだが、落ちこぼれ。
あらゆるデータの集合体の空間である繭の中に入り被害者を見つける
通島武志(みちしま・たけし) 主人公、優秀な刑事、妻の沙織は植物状態
木内亮介 何にでも侵入できるシステム担当
魚住桂樹 来年定年の伝説の刑事
金田りえ ナビゲーター、ひきこもり
吉川技術課長 研究と決断に全精力を傾ける
三橋技術主任 番頭と呼ばれあらゆる雑務をこなす
今田隆 東陽銀行支店長、高級住宅地白金に200坪はある屋敷に住む
今田啓太 隆の息子で不登校
新藤一真 不登校や虐待を受けた子どもを受け入れるNPOを経営