hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

柚月裕子 経歴&既読本リスト

2018年09月30日 | 読書2

 

柚月裕子(ゆづき・ゆうこ)


1968年、岩手県生まれ。山形市在住。
2007年、『待ち人』で山新文学賞入選・天賞受賞
2008年、『臨床真理』で「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビュー。
2012年、『検事の本懐』で第25回山本周五郎賞候補、2013年大藪春彦賞を受賞。
2016年、『孤狼の血』で直木賞候補、日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)受賞
2017年、『盤上の向日葵』で山田風太郎賞候補、2018年本屋大賞2位

他の著書に『暴虎の牙』、『凶犬の眼』、『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』、『最後の証人』、『検事の死命』、『蟻の菜園』、『パレートの誤算』、『朽ちないサクラ』、『ウツボカズラの甘い息』、『あしたの君へ』、『慈雨』、『検事の信義』、『月下のサクラ』、『ミカエルの鼓動』、『チョウセンアサガオの咲く夏』、『教誨』、『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』、『風に立つ

 

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柚月裕子『臨床真理』を読む

2018年09月29日 | 読書2

 

柚月裕子著『臨床真理』(2009年1月24日宝島社発行)を読んだ。

 

表紙裏にはこうある。

臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当することになる。司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れることができず、美帆に心を開こうとしなかった。それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司はある告白をする。少女の死は他殺だと言うのだ。その根拠は、彼が持っている特殊な能力によるらしい。美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、調査をしてみようと決意する。

美帆は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らかになる。

 

 

『このミステリーがすごい!』大賞第7回大賞受賞作。

柚月裕子(受賞時、著者名は藤木裕子で、タイトルは「臨床真理士」)のデビュー作。

  

知的障害者入所更生施設「至誠学園」

藤木司:入所者。20歳。精神不安定で急に嘔吐。彩と仲が良い。共感覚者で人の声が色に見え、感情が分かる。

水野彩(あや):16歳。入所者。軽い精神遅滞、失語症、適応障害。司と仲が良い。

安藤守雄:「至誠学園」施設長

可奈:入所者。派手な、決まった服装しかしない。

 

東高原病院精神科

佐久間美帆:臨床心理士。29歳。統合失調症の弟・達志の自殺を防げなかった。

内田:看護師主任。30年のベテラン。

湯守遥:看護師。24歳。趣味は合コン。

高城(たかぎ):精神科医。美帆の上司。

 

栗原:県警のハイテク犯罪対策室。美帆の高校の同級生。

梶山健一:救急隊隊長、彩を搬送中に大けがをする。 新田・土居:救急隊員

大木戸隆:東郷製作所の人事部長

西澤利明:障害者就労援助センターの人材派遣部長

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

読み始めてすぐ大筋が読めてしまうのに、中盤以降の展開が遅い。イライラするくらい主人公はいつまでたっても気がつかない。

 

主人公の向こう見ずな行動は現実感を損なう。危険が予想されるのに一人で行動したり、倉庫にこっそり忍び込んだり、いきなり訪ねていって無遠慮な質問したり、医療従事者なのに個人情報の扱いに無神経で、警察情報も平気で横流しする。

クライマックスのグロく、気持ち悪いシーンが何ページも続くのには唖然。

でも、この後の柚月さんの活躍ぶりは見事で、新人発掘の難しさがわかる。まあ、ともかく一気に読んでしまったのだがら、読ませる力、書く力はあったということは確かだったのだろう。

 

 

柚月裕子 経歴&既読本リスト

 

 

また、忘れて、覚えていなかった漢字

霙:みぞれ

 

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マーシャ・ガッセン『完全なる証明』を読む

2018年09月26日 | 読書2

 

マーシャ・ガッセン著、青木薫訳『完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者』(文春文庫S9-1、2012年4月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

百万ドルの賞金がかけられた数学上の問題「ポアンカレ予想」。今世紀中の解決は無理と言われた難問の証明を成し遂げたロシア人ペレルマンは、しかし賞金を断り勤めていた研究所も辞めて、森へ消えた。なぜか? 彼とと同時代に旧ソ連の数学エリート教育をうけた著者だからこそ書けた傑作評伝ノンフィクション。解説・福岡伸一

 

変人ペレルマンについては謎だらけだ。

 (1)すべて等しい教育を受けるソ連で、何故、数学英才教育を受けられたか?
(2)ユダヤ人なのに、何故、高等教育を受けられたか?
(3)ひらめき型天才が挫折するなか、何故、彼はポアンカレ予想を解決できたか?
(4)数々の超有名大学からの誘いを断り、何故、数学を捨てて森に入っていったのか?
(5)100万ドルという大金を、何故、受取り拒否したのか?

  

1970年代のソ連では、すべての子供は全く同じ教育を受けていた。しかし、兵器開発に必須で、優秀な頭脳と紙と鉛筆さえあれば世界最先端の研究ができる数学だけは、世界的数学者コルモゴロフなどの努力で、エリート教育が認められた。コルモゴロフはモスクワ第二学校に続き、レニングラード第239学校を創設し、グリゴーリー・ペレルマンが入学した。


この頃のペレルマンは、ひらめきの点では彼よりも優れた者もいたが、考えがとことんまで厳密で、長時間粘り強く考え続けることができた点を評価されていた。
また、ペレルマンは、指導者ルクシンと母親のいいつけは良く守り、学校の規則も厳密に守っていた。

当時、ソ連ではユダヤ人は差別されていた。しかし、数学オリンピックで勝つためには、ユダヤ人は必要で、ペレルマンも13歳のとき数学オリンピック全国大会へ参加した。この時は優勝できず2位だったが、16歳で国際数学オリンピックで優勝した。

レニングラード大学では、ユダヤ人にも関わらず、ペレルマンの優れた才能が引き寄せた優れた指導者、数学者たちによって、そしてソ連が外へ開かれる時代になったこともあり、世界のひのき舞台に立つまでになった。

ソ連の崩壊に伴い、米国、カルフォルニア大学に移り、成果を上げたが、髪や髭は伸び放題で毎日同じ黒パンを食べる変人で、次の難問に取り組んでいった。

 

ペレルマンはロシアへ戻り、やがて人前にあまり姿を見せなくなった。彼もまた前途洋々のスタートを切りながら、実力以上の問題に出会って潰され、数学の世界から消えて行った者の列に加わったのだろうと思われるようになった。

2002年11月12日、10名あまりのアメリカの数学者にメールが送られ、論文を、査読付き専門誌でなく、arXiv(アーカイヴ)にあげたことを知らせてきた。

そして、彼はフィールズ賞受賞を拒否し、100万ドルも受け取らず、連絡を絶って森の中で引きこもりとなった。

 

ポアンカレ予想

フランスの数学者、哲学者であるポアンカレ(H.Poincar(e))が1904年に出した幾何学に関する予想。「単連結な3次元閉多様体は連続変形によって3次元球面になる」との予想。

 


マーシャ・ガッセン  Masha Gessen
1967年モスクワ生まれ。グリーシャ・ペレルマンと同様に、ユダヤ人であるにもかかわらず選抜され、数学専門学校で学んだ。旧社会主義体制下でのユダヤ人に対する差別を逃れるために、大学進学を待たず、1981 年に一家でアメリカに移住した。ソ連崩壊後1991年、ジャーナリストとしてモスクワに戻り、『 US News & World Report 』誌の特派員となる。

著書に、自らの2人の祖母が、ホロコーストと、スタリーンの圧政を生き延びた『Two Babushkas』(2004)など。

青木薫(あおき・かおる)
1956年、山形県生まれ。京都大学理学部卒、同大学院終了。理学博士。翻訳家。

主な訳書にサイモン・シンの『フェルマーの最終定理』『暗号解読』『宇宙創世』ブライアン・グリーンの『宇宙を織りなす物』など。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)


ポアンカレ予想とその証明についてはいくつかの解説本があるが、ペレルマンその人に焦点を合わせたのは本書が初めてだという。
しかし、著者は、森にこもったペレルマン本人には会うことができなかった。したがって、肝心のなぜペレルマンが森に消え、賞金受け取りを拒否したのかは、周辺の多くの人に取材した結果からの推測に過ぎず、もどかしさが残る。


余談

ロシアアカデミー会長で数学者のオシポフが、研究機関の財政的窮状をプーチン首相に訴えたら、首相はペレルマンの名を挙げて、世界的な仕事をしながら金をほしがらないばかりか、やると言っても断った人間もいるではないか、と言ったという。(文庫版のための訳者補記より)

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立川談志『談志楽屋噺』を読む

2018年09月23日 | 読書2

 

立川談志著『談志楽屋噺』(文春文庫た24-1、1990年3月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

楽屋は、芸人にとって人生の重要な修行の場でもある。立川流家元の著者は、現在、落語協会、芸術協会が取り仕切る寄席に出演できない。三十余年を過ごした寄席の楽屋への深い愛着と、そこで出会った有名無名の芸人たち。愛憎入り乱れて描く、狂気の男、純粋な男、小心な男、破廉恥な男たちの、面白くて哀しいエピソード集。

 

この本を書いている当時、談志(松岡克由)は50歳、高校1年生中退で柳家小さんに入門し35年。

 

三遊亭小円朝門下の朝之助から話は始まる。前座の談志のところにやってきて、小粋な芸だが売れていない市馬の弟子になりたいと云う。朝之助は人生と芸にマイナーな部分を求めてきた男だった。談志と朝之助は互いに稽古しあう仲だったが、彼の芸は陰気な芸で客に受けず、談志はどんどん人気が出てきた。彼はやがて競馬に入れ込み、酒におぼれ、寄席をしくじって、行方知れずになり、野垂れ死にしたという。

 

馬次は真面目で、若手で落語が一番うまく、今いれば古典派の大幹部だった。お内儀は「あれは作ってるんだから、無理している。いつかボロが出るよ」といったが、

あの頃あの世界は作らなゃあ居られないし、生地でいけば私のように総スカンを喰ったし、人がいいのは相手は警戒しないが、それまでだし……とまぁいろいろネ。

彼は、酒を飲んであたりかまわず喧嘩して、ヒロポンと女のトラブルで、寄席から遠くなって20代で自殺した。その後、歌次という前座も、春風亭一柳、柳家きん平も自殺した。

 

人気テレビ番組『笑点』の最初のメンバーは、司会が談志で、円楽、歌丸、きん平、小痴楽、金遊(後の小円遊)。

きん平は自殺、小円遊も、小痴楽も梅橋となって死んだ。「あとは円楽と歌丸も時間の問題だ。」

 

鈴々舎馬風は開口一番、「えー、よくー来たなー。…もうお帰りよ、って嘘だよ」という。「お客さまのもし近所に火事でもあったときは、住所と名前さえ書いといてくれれば、飛んでって手助けするよ。一日も早くあればいいと、ただそればかりを祈って……、悪い野郎だネ」

 

次々と、笑い話が続き、シャレというより酷い迷惑行為、酒やばくちで歯止めがなくなっての自滅が続く。

 

単行本:1987年(昭和62)白夜書房刊行

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

談志の意図は、滅びゆく伝統芸、そしてそれを支えた芸人たちを語ることに主眼があったと思う。談志は伝統芸維持の重要性をなにより尊重しているのだが、同時に、現代に支持されないと生き残れないことも十二分にわかっていて、ジレンマに悩んでいる。

 

私にとっては、伝統芸のうんぬんかんぬんよりも、競うように滅茶苦茶な生き方をして、それゆえに身を崩して死んでいった若者たちの生きざま、死にざまが衝撃だった。シャレもだんだんエスカレートして、シャレにならないようになり、迷惑千万な行為になってしまう。

「無事これ名馬」という言葉にすがりついて、なんとか40年のサラリーマン生活を切り抜けた男には、考えもつかない破天荒な若き日を過ごし、多くの者は死に至った若者の記録だ。

 

書いた時点がすでに30年以上前なので、すべて時代の空気が全く違う中での出来事ではあるが、よくも書き残してくれたと感謝したい。

 

TVをつければお笑い芸人が出てきて、ニュースキャスターまでお笑いで、女優、女子アナの結婚相手はまたまたお笑いという時代に、過ぎし日の芸人の生きざまを知るのも良いと思うのだが……。われも年取ったなあ。

 

 

 

目次

第1章 狂気と冒険―若くして逝った芸人たち(朝之助/円之助/馬治/橋之助/小痴楽/小円遊/つばめ/三平)
第2章 粋と爛熟―私の好きな芸人たち(馬風/小半治/アダチ龍光/東京の漫才師たち/泉和助/講釈師たち)
第3章 楽屋おもしろばなし

第4章 様々な落語家たち

対談 色川武大vs立川談志

あとがき

文庫版のためのあとがき

 

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柚月裕子『蟻の菜園』を読む

2018年09月20日 | 読書2

 

柚月裕子著『蟻の菜園 -アントガーデンー』(宝島文庫Cゆ-1-6、2015年8月20日発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして、殺人容疑がかかる円藤冬香。しかし冬香には完璧なアリバイがあり、共犯者の影も見当たらなかった。並外れた美貌をもつ冬香の人生と犯行動機に興味を抱いた週刊誌ライターの由美は、事件を追いはじめる。数奇な運命を辿る美女の過去を追って、由美は千葉・房総から福井・東尋坊へ。大藪賞作家が描く、驚愕の傑作サスペンス! 


蟻の菜園:南米にある。蟻は樹木の上に巣を作る。その巣に数種類の着生植物が生える。蟻は植物の実を食料とし、植物は蟻の廃棄物を栄養源にする共依存により成り立つ、

今林由美:ニュース週刊誌「ポインター」の記者、結婚退社し離婚後に外注のフリーライター

長谷川康子:「ポインター」の編集長、由美とは20年以上の付き合い、

 

片芝敬(さとし):千葉新報の報道記者で警察からの情報に強い、由美と情報交換、50歳ほど、

海谷(かいや)基樹:千葉県警捜査一課、片芝との付き合いは10年

与野井啓介:三国町役場児童福祉課勤務、東尋坊の命のボランティア

与野井幸江:啓介の妻、養護施設勤務

古森美幸:役場の戸籍係

山村兵吾:三国北駐在所の巡査長

 

円藤冬香:車中練炭死亡事故の容疑あり、結婚詐欺容疑で逮捕、43歳独身で美人、介護福祉士

沢越剛:建設労働者、46歳、アル中、ワゴン車に寝泊まり、

沢越早紀:剛の長女

沢越冬香:剛の次女

江田知代:数軒のレストラン経営者の妻、旧姓は本田、現在38歳


私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

ひどい虐待の話が続く箇所があり、まともに読む気がしない。
名前が変わりすぎる

 

柚月裕子 経歴&既読本リスト



霙:みぞれ、
嬲る:なぶる、

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早瀬耕『未必のマクベス』を読む

2018年09月17日 | 読書2

 

早瀬耕著『未必のマクベス』(ハヤカワ文庫JA1294、2017年9月25日早川書房発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

IT企業Jプロトコルの中井優一は、東南アジアを中心に交通系ICカードの販売に携わっていた。同僚の伴浩輔とともにバンコクでの商談を成功させた優一は、帰国の途上、澳門(マカオ)の娼婦から予言めいた言葉を告げられる―「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」。やがて香港の子会社の代表取締役として出向を命じられた優一だったが、そこには底知れぬ陥穽が待ち受けていた。異色の犯罪小説にして、恋愛小説。

 

タイトルの「未必のマクベス」とは、「必ずマクベスのようになるとは思わないが、そうなっても仕方ないと思っていた」との意味だろう。

王となると言われた主人公・中井は、マクベスのようにかりそめの王を殺害して王座を奪うのか? 中井は、あだ名は「バンコー」である友人・伴浩輔を手にかけ、中井の恋人・由記子は「マクベス夫人」になって心が壊れ、最後には自らの命も失うのだろうか。

 

中井優一と鍋島冬香

高校入学から卒業まで3年間、二人は同じクラスで、彼女は常に彼の後ろの席に座っていた。「三年とも同じクラスなんて、すごいと思わない?」と話しかける鍋島に、中井は「確率としては25分の1だよ」と無理に素っ気なく応える。(32頁)


二人は昔の男女にありがちなぎこちない関係で、冬香はあまににも稚拙な方法で優一に気持ちを伝え、彼は彼女を無理にないがしろに扱う。それなのに、中井は、大学でも、会社でも、ログイン・パスワードは、鍋島の名前をもとにしていて、パソコンを開けるたびに彼女を思い出す。冬香も……。

2014年9月に早川書房から単行本として刊行。

 

 

早瀬耕(はやせ・こう)

1967年東京生まれ。一橋大学商学部卒。

1992年、卒論をもとにした『グリフォンズ・ガーデン』で作家デビュー

2014年、22年ぶりの本書『未必のマクベス』で大藪春彦賞候補。

2016年、短編『彼女の時間』で星雲賞日本短編部門参考候補作

2018年『プラネタリウムの外側』

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

今まで読んだミステリーとは何かが違う。中心となる舞台が香港、マカオで、主な登場人物がバラバラと死んでゆく、などだけではなく、今までのミステリーとは異なる何か異質な味が漂う。
小さな問題はゴロゴロしているが、面白く、読みごたえがある。

 

確率に基づく理系の話しぶり、高校からの秘めた想い、男性に対してあまりにも純粋な女性たち、人を殺しても平然としている気持ち、すべてに無感動な主人公、といったばらばらな要素が(結果的に?)混じりあい何か新しい味を出している。


ごく普通のサラリーマンと思える主人公、高校同級生の〇、会社同期の〇がいずれも平気で人を殺し、女性の殺し屋2人、あきらかに金正男という男も登場する変な小説!

 

この本に続けて読んだ『蟻の菜園』に登場する謎の女性の名前は「冬香」で、混乱してしまった。



気に入った表現
殺し屋は仕事をするだけで、依頼者が殺人したと言える。「銃を使って人を殺しても、銃に罪がないのと同じだ。」

 

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マカロンを食す

2018年09月15日 | 食べ物

 

西荻窪の、ごく一部の人しかそう呼んでないが、乙女ロードのはずれにある小さな小さなマカロン店
MACARON ET CHOCOLAT”(マカロン エ ショコラ)。

 

場所は移動したが、もう5周年になるという。ほんのときどきしか買わなかったが、

新作の“マルゲリータ”2個、ショコラ、抹茶と買ってみた。

メニューはいろいろ。

 

シャルルドゴール空港で買ったラデュレ La Duree に次いで美味しマカロンだった。

 

 

武蔵野日赤病院入口のゴーヤが見事でパチリ。

 

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特養ができた

2018年09月13日 | 散歩

 

 

杉並の宮前でいつまでも工事に入らなかった建設予定地についに特別養護老人ホームができた。

入口には「かえで園 特別養護老人ホーム ショートステイ」とある。

 

新しくてきれいだ。

頑張って、要介護3以上になって、入ってやるぞ!

 

杉並区によれば、定員が、特養88名で、ショートステイが10名らしい。

 

特養は競争率が高すぎるが、ショートステイなら可能性が高い??

 

 

通りがかりのマンションの駐車場を覗いたら、なにか漫画チックな変わった車が。

ちょいとお邪魔してパチリ。

バイク? 三輪車? オート三輪? って、古すぎるだろ!

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虹を見る

2018年09月12日 | 日記

 

9月10日朝7時前、虹がでた。

久しぶりに見た見事な虹色。

というのはフェイク。

ボヤボヤ写真を画像処理したら、色が鮮やかになってしまった。

本当は、これに近く、かすかに見えただけ。

でも、朝からほっこりした。

 

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久坂部羊『祝葬』を読む

2018年09月08日 | 読書2

 

久坂部羊著『祝葬』(2018年2月13日講談社発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

「もし、君が僕の葬式に来てくれるようなことになったら、そのときは僕を祝福してくれ」自分の死を暗示するような謎の言葉を遺し、37歳の若さで死んだ医師・土岐佑介。代々信州を地盤とする医師家系に生まれた佑介は、生前に不思議なことを語っていた。医師である自分たち一族には「早死にの呪い」がかけられているという―。簡単に死ねなくなる時代につきつけられる、私たちの物語。

 

医師の手島崇が、大学時代の親友・土岐(とき)佑介の葬儀のため信州に向かうところから物語は始まる。

土岐一族は医師ばかりだが、全員早死にだった。

病院を創立した曽祖父の騏一郎は55歳で肝硬変で亡くなり、彼だけは早死にとは言えなかったが、

大叔父(騏一郎の次男)の長門は50歳で入浴中に溺死、

長門の息子の覚馬は52歳で肺がんで亡くなり、

祖父(騏一郎の長男)の伊織は52歳の時に奥穂高で滑落死、

父・冬司は49歳で胃がんで死に、

冬司の次男・佑介も37歳で突然死んだ。長男・信介だけは91歳まで生き永らえたが……。

 

祝葬

佑介の葬式に向かう途中で、手島は、祐介が「もし、気味が僕の葬式にきたくれるようなことになったら、そのときは僕を祝福してくれ。」と語っていたのを思い出す。また、「(結婚は)おれはいいよ。どうせ長生きしないから」「土岐家には早死にのDNAがある」とも。


真令子
川島芳美は母と伊織の母が姉妹で、幼い時から5歳上の伊織が好きで、大きくなってもその想いは続いた。19歳のとき、伊織は真令子と結婚してしまい、翌年、冬司が生まれた。真令子が病で死にかけて以来、伊織は真令子に異常な愛情を注ぐようになる。一方で真令子は……。芳美は想いを隠して伊織の相談に乗る。そして……。

ミンナ死ヌノダ
病院を創立した騏一郎は、是枝一族が牛耳る地元医師会と対立した一匹狼だった。覚馬は乱暴な治療を繰り返したという騏一郎の悪名について、そんなはずがないと、昔の人を訪ねて調べ始めた。佑介は昔のカルテから噂は事実だろうと冷静だった。

希望の御旗
冬司の妻となり、信介と佑介を医者にした信美の話。冬司の「がんは早く見つけて、早く切る。それががん撲滅の最短・最善の方策だ」と考え、切って切って切りまくって、病院も繁盛する。

忌寿
手島は88歳の現役医師として賞賛の記事になっていた。しかし、体はボロボロだったし、2030年以降、免疫療法が進歩して外科手術は不要になり仕事らしい仕事はなくなっていた。あくまで長生きしようとする患者たちが登場し、「長生きは良いことか、望ましくないことか」が問われる。
冬司の長男・信介が91歳になって登場するが、その姿は……。

 

初出:「メフィスト」2009年Vol.1、2015年Vol.3、2016年Vol.2、Vol.3、2017年Vol.2

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

がんは体力などものともせずに飽くまで切り取るべきだとか、ただただどうなっても長生きしたいなどと、今どき正面切ってそんなこと言う人もいないだろうと思う。著者はもちろん否定しているのだが、テーマとしては、古すぎる。

 

5編よりなる連作短編だが、最後の2編はテーマは同じでも毛色が変わっており、連作には不向き。

 

 

久坂部羊(くさかべ・よう)の略歴と既読本リスト

 

 

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トレーヴァ―ノートン『世にも奇妙な人体実験の歴史』を読む

2018年09月05日 | 読書2

 

トレーヴァ―・ノートン著、赤根洋子訳『世にも奇妙な人体実験の歴史』(文春文庫S19-1、2016年11月10日)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

性病、毒ガス、寄生虫。麻酔薬、ペスト、放射線……。人類への脅威を解明するため、偉大な科学者たちは己の肉体を犠牲に果敢すぎる人体実験に挑んでいた! 梅毒患者の膿を「自分」に塗布、コレラ菌入りの水を飲み干す、カテーテルを自らの心臓に通す――。マッド・サイエンティストの奇想天外、抱腹絶倒の物語。解説・仲野徹

 

「人体実験」といっても、ナチによる強制収容所での毒ガス実験や、日本軍七三一部隊による外国人捕虜への炭疽菌兵器の実験などではなく、その多くは、功名のため、いやその多くは知的興味のための研究者自身の自己人体実験であり、まさにマッド・サイエンティストの狂気の記録なのだ。

 

わずか約100年ほど前までは、医学の基礎理論が確立しておらず、論理的な仮説なしに、ただ実証実験が唯一の証明手段という時代だった。根拠のなしの信仰、呪術が幅をきかせ、怪しげな施術が横行していた時代に、時代を切り開き、自らの身体、命を犠牲にすることをいとわず、医学の進歩に貢献した彼らに栄光あれ! といっても、おもわず笑ってしまう事例も多く、楽しく読める。

 

淋病患者の膿を自分の性器に塗り付けたり、白血病患者の血液を体の中に注入したりする。これらは、もし自説が正しければ自分の身が危ないという自己実験で、常人には考えられない行為だ。命の危険より、真理探究を優先するとんでもない科学者の話が山ほど続く。

 

ラジウムの実験を続ければ危険だと気付いていたマリー・キュリーは言った。「人生に恐れなければならないものは何もありません。理解しなければならないものがあるだけです」

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

彼らの狂気にあきれるばかりだ。一つ一つが濃い話なのに、それらがヅラヅラ続くので、冗長ではなく、濃厚過ぎて読みにくい。

このような濃い話を読みたいと思う人はそれほど多くないだろうと三ツ星にした。


ここまで凄まじい行為となると、著者の語り口もあって、どことなくユーモアが漂う。

 

仲野先生の解説が面白い。

 

文中に(111ページ)、腸の中にいる白いミミズのような気味が悪い回虫の話が出てくる。若い方はご存じないだろうが、人糞を撒いて野菜を育てていた時代を生きた年寄はみな体の中に回虫がいたのだ。マッチ箱に入れた検便を学校に持参し、回虫の卵があると虫下しをもらって飲む。トイレの便のなかで大きなミミズのような回虫を見て、安心する。そんな子供時代を私たちは過ごしていたのだ。どうだ、参ったか!

 

 

トレヴァー・ノートン Trevor Norton
英国リヴァプール大学名誉教授。専門は海洋生物学。海の生態系について啓蒙活動をおこなう一方、科学史にも興味を持ち、科学者たちが挑んできた実験を自ら追試する

主な著書に『ダイバー列伝』など。

 

赤根洋子(あかね・洋子)
翻訳家。早稲田大学大学院修士課程修了(ドイツ文学)。

主な訳書に『ヒットラーの秘密図書館』『科学の発見』

 

解説者

仲野徹(なかの・とおる)
1957年生まれ。大阪大学医学部医学科卒業。ドイツ留学、京都大学医学部講師、大阪大学教授を経て、大阪大学大学院・医学系研究科・病理学の教授。

著書に、『幹細胞とクローン』『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』、『こわいもの知らずの病理学講義』など。

 

 

蛇足

信じられないことだが、我々はみんな、年におよそ1キロもの昆虫を食べている。そのおもな理由は、この鬱陶しいヤツらを食品加工のプロセスから完全に締め出すことは不可能だからである。……小麦粉1キロ当たり昆虫片450個、…チョコレート100グラム当たりネズミの毛1本…

 

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harumi’s でランチ

2018年09月02日 | 食べ物

 

久しぶりに「ヒカリエ」を通って東横線に乗る。安室奈美恵の宣伝がソコイラじゅうに。

女性が看板の前に立って、通りかかった人にシャッター押しをお願いしていた。

 

 

ランチは、ほぼ1年ぶりの碑文谷にある harumi's (栗原はるみの店)。

  

平日の13時前だが、店はほぼ満員。ただし、全員女性。一人以外は。

頼んだのは、harumi’sランチ ¥1,680。

週替わりのメインから1つ選び、以下のサイドメニュービュッフェから自由によそい、みそ汁、ソフトドリンクも持ってこられる。

 

 

私が取ってきたのが、

 

今日のメインは、黒酢の酢豚、えびと野菜のチリソース、揚げ鶏のねぎソース、豚肉のハーブラグーソースとカリフラワーのパスタ。

私の選んだメインは、えびと野菜のチリソース。

 

コーヒーも頼んでおなか一杯。

 

とくに凝った料理、特別な食材があるわけでもなく、普通のメニューなのだが、食べやすく、美味しい。

数ある料理から好きなものを少しずつ持ってこられるのもうれしい。

女性好みの店だ。おじいさんも。

 

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